ふわふわ。
浮かんで、消える、
しばし魂に例えられるもの。

ドレミファソラシド。
歌いながら小道を歩いて
お気に入りの花が咲く丘へ。

足りないもの、埋まらないままだって、分かってた。
不完全な生き物に、完全なものは創れない。
ごめんね、って声が泣いてて、
ぼくは振り返らなかった。
ずっと光が差す方を見ていたよ。


形あるものを空にかざすと、
形ないものを映し出す。
コール・アンド・レスポンスさ。
誰もいない丘の上。
ポケットの中のビー玉で、教わった魔法を試してみる。
ビー玉は光を透過して、影までも水色。
このまま、心まで透過して。
ずっと遠くまで行きたい。


言葉は心に刻まれて、最後まで残る、と思えば
足りないものなんて大したことはないよ、って。
抱きしめた、
遠い昔の記憶。


雲の隙間から光が差し込む。
その一瞬に大きく息を吸って、吹きかける。

どんなものにも終わりはあるって分かっているから、
少しでも長く、と願うのだ。

できるだけ長く、できるだけ遠くまで飛んでね。
みんなが知らない綺麗な景色を、たくさん記憶に残してほしいな。


ふわふわ。
触れられないこの重さは
しばし魂に例えられるもの。

綿毛は風に乗って空に。



ビー玉/雲/綿毛