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第18話(下)

都内某所。怪人はいつもと違うパターンで出現。幹部の指示のもと、中級メギドと戦闘員で市民を襲撃したのである。


幹部は飛焔だった。

「俺が出てもいいが、鳶旺にでしゃばるなと言われちまったからなー…」


飛焔は正直、戦いたかった。戦いたくて、戦いたくてウズウズしてるのにあの人使い荒い上司(鳶旺)に制限かけられてしまうと…。

鳶旺って戦うとめちゃくちゃ強いらしいが、不気味なだけでわからないんだよな…。素顔は1度も見たことがない。
鳶旺と直接戦った、「蔦沼」とかいうゼルフェノアの人間は素顔を見たらしいが…。



中級メギドは爬虫類型だった。現場に到着したゼルフェノア隊員達。

時任は声を上げる。
「中級メギド久しぶりに見た!イグアナ?カメレオン?爬虫類っぽいな〜」
「つべこべ言わずにさっさと攻撃しろ!近くに幹部はいるはずだ!!」

御堂も戦闘員に攻撃しながら指示を出してる。今回は鼎もいたが、ブレードを長官に預けているため桐谷と共に援護。

「私は桐谷と共に援護に回る。ブレードは預けているから前衛につけん」
「鼎が援護って珍しいよな…」


あいつ、ブレードを長官に預けたって聞いたが。鼎の鷹稜は長官が作ったんだっけ…。


爬虫類型怪人ということで、晴斗と時任が攻め立てる。
「暁くん、こいつイグアナかな?トカゲとは違う気がする」
「時任さん、呑気だな!」


晴斗は怪人に攻撃しながら話してる。この中級メギドの能力がわからないまま交戦。
突如、怪人が能力を露にした。姿を消したのだ。

そして見えない敵にいきなり突飛ばされる2人。御堂は銃で応戦するも、敵の姿が見えないために苦戦。


どこにいる…!?


戦闘員に関しては鼎と桐谷がほとんど倒していた。
桐谷は敵の姿が消えたのを見るや、鼎にあるものを渡す。

それはカラフルなボールのようなもの。桐谷は鼎に伝えた。
「これはカラーボールです。これが当たると相手に色がつきます。…あとはわかりますよね?」
「爬虫類型に投げろというわけか」
「鼎さん、これも渡しておきます」


桐谷は銃用のものも用意していた。


「弾の代わりにこちらをセットして下さい。鼎さんはそのままカラーボールを投げるよりも、銃で撃った方が確実な気がします」
「…わかった」


晴斗達は見えない敵に翻弄されているが、御堂はあることに気づいた。
「こいつはカメレオン型だ!」


カメレオン!?


「御堂さん、どうすりゃいいのさ!?」
「お前のワイヤー使え。動きを封じればなんとかなるだろ」
「ラジャっす!」


時任はワイヤーを展開、敵を狙うのではなくあえて違う場所を狙ったのだ。
御堂は察した。なるほどな…。


鼎と桐谷はカラーボールを使い、見えない敵にマーキングする作戦を実行。
闇雲に投げる・カラーボール弾を撃つわけではなくタイミングを見計らっている。


まだだ…まだ…。
2人はジリジリとその時を待っている。そして!


ターンという銃声と共に一発の弾が爬虫類型怪人に命中。弾は弾け、怪人にマーキングされる。

撃ったのは鼎。


マーキングしたことで御堂は容赦ない銃撃を怪人にする。かなりのダメージ。
時任はワイヤーを引っ張り、鉄パイプを怪人に散乱させる。

「ワイヤーはこんな使い方もあるんだよ」
時任どや顔。


晴斗はダメージを受けた爬虫類型怪人に一気に発動を使い、とどめを刺す。
カメレオン型怪人は倒された。


晴斗はふと、幹部らしき人影を見た。
「御堂さん、あいつを追います!」
「あいつ!?」

御堂は見た先には飛焔の姿が。晴斗は猛ダッシュで街中を駆け抜ける。
「待てーっ!」

晴斗は飛焔を追う。そしてなんとか追いついた。


「ひ…飛焔…何考えてんだよ」
「お前…足速いな」

「そんなことじゃなくて…」
「予定狂わせるなよ、ガキが」


飛焔は突如冷たくいい放ち、手から蒼い炎を発する。そして剣の形へと変えた。


剣になった!?


「ことごとく邪魔されてイライラしてんだよ。俺が戦うの、お前じゃなくて仮面の女なら良かったのに」
「鼎さんに何の関係が!?」
「お前聞いてないのか?俺が12年前の一連の放火事件の犯人なんだよ。都筑家を放火したのもな」
「なっ…」


晴斗は動揺していた。


そして恒暁を発動させる。特殊発動させ、飛焔の炎から変化させた剣と交戦していたが…力の差は歴然。
なんとかダメージを与えたられたが、こいつはまだ人間態。

怪人態になったらさらに強さを増す…。あの火の剣、なんなんだ!?



飛焔は楽しげにひとしきり戦うとやめてしまう。

「俺が戦いたいのは『紀柳院鼎』だけだ。お前じゃない」


そう言うと飛焔は消えた。



本部では飛焔が火から剣に変化させた瞬間を見逃さなかった。


「…あれ?長官は」

宇崎は司令室に自分と南しかいないと気づく。南は真面目そうに答えた。

「蔦沼長官は先ほどお部屋へ行きましたよ。今日はもうお休みになるそうです」
「南も休みなよ」
「そうですね…。それでは部屋へと行きます。我々はあと2日ほど泊まる予定ですので」

「南も大変だな…」
「飛焔が剣を使うと判明したのは大きいですよ。大収穫です」


そういうと南は上層部用の宿泊スペースへと向かった。
本部には隊員用の簡易宿泊スペースもあるが、上層部用の宿泊スペースも存在する。南は長官の秘書でもあるため、上層部用に泊まる。



本部・上層部用宿泊スペース。長官の部屋。


「南、報告ありがとね。やっぱり飛焔は剣を使ったか…。あと2日で『鷹稜』の調整を終えなくてはね。しかし、暁もよく攻めたな〜」
蔦沼は感心してる。南は長官を心配。
「長官、そろそろ休んで下さいよ。今日本部に来てからずっと調整していましたよね…」

「じゃあ、そろそろ休むとするかな」


第18話(上)

敵サイドでは鐡の行動により、元老院では監察官がいなくなる事態に発展。鐡は迷い人が異空間に迷わないように、ゲート対策も秘密裏にしていた。

一方、ゼルフェノアでは長官が本部を訪れる。今度は個人的な理由で来たらしいが、秘書兼世話役の南も一緒。



本部・司令室。宇崎は蔦沼にホットコーヒーを淹れながら話をしてる。

「こんどは何の用で来たんですか、蔦沼長官」
「紀柳院の日本刀型ブレード・鷹稜(たかかど)の調整しにね」


調整?調整は俺もしているが…。


「紀柳院の鷹稜は僕が作ったの、宇崎は覚えているでしょ?彼女には通常装備は負担になるからね。良くても対怪人用銃が限界だ。
刃物となると、彼女の身体の負荷をさらに軽減させなければならないわけで」
「それで紀柳院専用武器『鷹稜』が作られたんですよね」

「炎使いの飛焔に対抗出来る相性抜群の武器は『鷹稜』だが、発動してこそ威力は発揮される。今までの発動では幹部相手じゃ効果が薄いんで、僕が調整に来たのさ」


はぁ〜。それで長官がわざわざ本部に来たのかい。
めっちゃ個人的だな…。鼎に会いに来たようなもんじゃんか。


「…てなわけで、紀柳院呼んできてくれる?」



数分後。司令室に鼎がブレードを持ってきた。


「鷹稜の調整って、室長の調整とは大幅に変えるのか?」
鼎はブレードを蔦沼に渡す。蔦沼は鞘を抜き、発動が制御状態にあると見抜いた。

「宇崎、このブレード…発動出来ないように制御かけただろ」
「長官は鋭いなぁ」


蔦沼はブレードを元に戻し、鼎に優しく言う。安心させるかのように。


「紀柳院の身体の負荷がかかりすぎないように、なおかつ発動出来るよう、調整するからブレード貸してね。この調整は幹部撃破には重要なんだ。飛焔と相性抜群なのは『鷹稜』しかない」

「他の装備はどうなんだ?」
「効果てきめんなのが鷹稜だっただけであってね…。ゼノクのシミュレーション武器データは、隊員の装備を元にして作成したんだよ。
3幹部には武器の相性があるらしい。現にこの間の釵游戦で暁の『恒暁(こうぎょう)』が相性抜群だと証明されている」


鼎はしばし、間をおいた。


「…ではお願いします」
「鷹稜は僕が作ったものだ。子供のようなもんだよ。絶妙に調整してあげるから数日間、待っててくれないかい?」
「はい」

鼎はブレードを蔦沼に預けた。



休憩所。彩音は鼎が妙に明るいと感じていた。


「鼎、どうしたの?」

「長官が来てて…ブレードを預けたんだ。幹部撃破には必須らしくて調整に」
「なんか鼎、あのトラウマ克服やめてからスッキリしたように見えるよ」
「バーチャルでも怖いものは怖いからな。今は休んだ方がいいかもしれない。悪夢を見るくらいなら一時的に離れた方がいい」

「そうだね…」
彩音はふと気になっていたことを聞いてみた。


「ブレード預けている間、どうするの?出動出来…るか。状況次第だけど」
「バーチャル怪人と戦うしかないだろ。幹部は『強』設定じゃないと倒せないと聞いた。任務は援護につく。銃なら扱える」


そうだった。鼎はブレードにかき消されがちだが、銃も扱えるんだった…。
御堂の後輩らしく、銃の腕はいいらしいが鼎の戦闘スタイルではあまり銃を使わない。



鼎は席を立つ。彩音は気になった。

「ど、どこ行くの!?」
「トレーニングルームだよ。これからバーチャル怪人と稽古をつける」


鼎、本気だ…。



本部・研究室。


蔦沼は鼎のブレード調整に入っていた。なぜか宇崎も一緒。南は研究室の外で待機中。

「しかし、なんで長官直々に調整なんて」
蔦沼は鼎のブレードの刀身を見ている。
「たまにはいいじゃないか。自作の武器を調整するのも。この調整は繊細だから3日くらいかかるかもね」


「3日!?」
宇崎は驚いている。

「宇崎は絶妙な調整なんてしたことないでしょ?これは僕の得意分野だからまぁ見てな。
…あ、そうだ。調整の関係で僕と南は今日から3日ほど、本部に泊まるよ」


南は研究室から漏れた声を聞いて「あー、やっぱりな…」という反応。



本部・トレーニングルーム。

鼎は手始めにバーチャル怪人「弱」1体と戦い、あっさり撃破。これには見ていた時任も驚いていた。

「きりゅさん、すごい…」
「時任、これは『弱』だ。私が倒したいのは幹部なんだよ。上級メギドは『強』でシミュレーションしないと意味がない。…が、次は『中』で行こう。いきなり難易度飛ばすと痛い目みるからな」


長官製作のシミュレーション怪人装置は強さ設定がおかしい。「中」が「標準」レベルじゃないのだ。異様に強いのが「中」レベル。
「強」はさらに強いと推測される。

偽物でも油断出来ないのが、長官製作のシミュレーション怪人。厳密には蔦沼と西澤の共同製作だが。



鼎はバーチャル怪人「中」1体と肉弾戦で戦っていた。


見た目は戦闘員だが…意外と強い…!
鼎はバーチャル怪人に苦戦。「中」レベルでこの強さとはなかなかにキツい…。


鼎の得意な蹴り技を駆使しても、攻撃がうまくいかない…。
持久戦が苦手な鼎からしたら、キツいものだった。

「きりゅさん!私も参戦していい?」
「足引っ張るなよ」
「バーチャル怪人『中』レベルは中級メギド並みか、それ以上だって聞いたんす。だから『強』を倒せたらマジでヤバいよ!!」


時任はパンチを使い、鼎はキックを使う。どうにか2人でバーチャル怪人を倒した。
鼎はかなり息切れしていた。時任はスポーツドリンクを渡す。

「きりゅさん、火傷のダメージで持久戦が苦手だもんね…。水分補給は大事だよ」
時任はにっこりとする。鼎はスポーツドリンクを受け取った。


相当来たのか、仮面をずらして飲み物を飲んでいる。

「ねぇきりゅさん、一緒に頑張ろ。あいつら(幹部)許せないもの!」
「…そうだな」



晴斗と御堂はアスレチックみたいな物体がある、第6トレーニングルームにいた。


「晴斗、お前どんだけ身軽なんだよ!忍者みてーだな…」
「忍者は言い過ぎでしょ!御堂さんもだんだん器用になってきているじゃん…」


確かにそうだった。


このアスレチックなようなSSUKEのような物体があるトレーニングルームとグラウンド横のスペースは、ほとんど晴斗と御堂が使っている。

晴斗は屋外の練習場も積極的に使っていた。


鍛練にストイックな御堂は晴斗に対抗心を燃やすうちに、だんだんこのアスレチック的なものに慣れ始めている。
最近では互いにタイムトライアルもするほど。


端から見ると遊んでいるようにしか見えないが、そうではない。



本部・射撃場では桐谷と霧人が銃の腕を上げていた。

普段は大型銃火器専門の桐谷だが、さすがに射撃場では拳銃サイズの対怪人用銃か対怪人用のライフル銃を使う。
霧人は変わった武器を好むが、たまに桐谷と射撃場にいる模様。


「桐谷さん、また腕上げたでしょ?」
「そんなことないですよ、渋谷さんだって」


射撃場とは別に弓道場みたいな場所も存在し、そこでは弓矢やボウガンの腕を上げている隊員が。
解析班チーフの朝倉は時々ここで弓矢の訓練をしている。朝倉は戦闘慣れしてないが、銃と弓矢だけは使える。



鼎は時間を置いた後、再びバーチャル怪人と戦っていた。時任はアシストしながら鼎に攻撃のチャンスを与える。

2人はいつの間にか連携が取れていた。鼎の蹴り技が炸裂し、バーチャル怪人撃破。



隊員達の幹部撃破に向けた動きは活発になる。
宇崎と長官も元老院の動向を注視していた。





第18話(下)へ続く。


マンホール無差別テロ


話題:最近見た夢
昨日見た夢なんですが、日本じゃないどこかの国の駅前でマンホールが突如爆発→マンホールの蓋がぶっ飛び→中から火柱が出てきて通行人を襲うという、無差別テロ的な夢を見た。


国は欧米っぽかったが、駅前周辺は野辺地駅周辺に檄似。駅舎なんて謎の言語(架空の言葉と文字)以外はほぼ野辺地駅だった。
気持ち悪いくらいに駅周辺は既視感があったの。


そのマンホールテロに巻き添えになったのが通行人の女性。女性は火傷を負い、応急措置を受けていた。

場面は病院に変わったが、海外ドラマの医療ドラマみたいに急になって→警官も出てきて海外ドラマ感半端ない。



なんだったんだろ、この悪夢…。巻き添えの女性が可哀想だわ…。火傷は軽傷っぽかったけど。

野辺地町は以前住んでた町なんで、たまに夢に似たような街並みが出ることは…まぁある。


携帯復活

話題:ひとりごと
昨日、一昨日の拍手ありがとうございます。携帯が止まったので今日支払いに行ってきました。
今後もちょいちょいこんなことがあるかもしれません。

携帯止まったのが初めてだったせいか、必然的にネット断ち状態になり→ただただもう、自己満小説の話を脳内で進めていたわけで。


18話〜20話までくらいかな〜、一気に頭の中で固まったの。ネット断ちした形になり、やることがなくなったせいでしょうか…。
妄想がえげつない形になってる…。脳内描写がすげーリアルなんだが、果たして文章力が追いつくかというと戦闘パートはそうでもない…。


ちなみに昨日はやたらとぬいぐるみちゃん達に話しかけてました。イルカちゃんとゴマさん・カマちゃん触りすぎか!…ってくらいに触ってた。
イルカちゃんはふかふかなので寝落ちしやすい。



携帯止まった反動で、小説更新しそうでヤバい…。
ネット断ちした反動で今日はブログ徘徊しそうでヤバいぞ…。

ネット断ち状態になると、インターネットゾンビと化すことが判明した…。テレビなんて信用ならねぇ。



18話〜20話の間に幹部の1人が倒されます。


第17話(下)

幹部が3人いると判明したのはいいが、いまいち打開策がない。
晴斗はたまたま釵游と交戦したことで、晴斗の日本刀型ブレード・恒暁(こうぎょう)が釵游の十文字槍と相性抜群だと判明。


「あの手応えって、そういうことだったの!?」

晴斗はびっくりしてる。御堂はだるそう。
「みたいだぜー。どうやら相性があるみたいなんだわ。俺が戦った杞亜羅の扇子にも効果的な装備はあるはず」
「飛焔の炎には何が効くんだろ…」

「単純に考えたら『水』になるが、簡単には消火出来ねぇ代物だぞ。あいつの能力は。
ゼノクから送られてきた武器シミュレーションデータによると、鼎の鷹稜(たかかど)が有力らしい。それも発動状態という、条件つき」

「発動はマズイでしょ!?」
「鼎は少しずつ火のトラウマを段階的に克服しているみたいだが、精神的にかなり負担らしくてな…心配だわ」
「そういえば今日、鼎さん来ていない…」
「トラウマ克服のための精神的疲労のピークが来たみたいでな、急遽今日休みにして貰ったらしいぞ」

「鼎さん、無茶したのかなぁ…頑張りすぎて」


心配する晴斗に御堂がさらっと言う。
「鼎は頑張りすぎてるくらいに頑張ってんだろうが。無茶しやすいけどよ…」



鼎が火のトラウマの克服を始めてから1週間以上経過していた。
バーチャルの火にはそこそこ平気になったが、まだ本物の克服には行けてない状態。小さな蝋燭の火ですら苦手なのだから。


鼎はこの克服を始めてから、あの事件の夢を頻繁に見るようになる。
真っ赤に燃え盛る炎と怪人。自分が生きたまま焼かれる夢だ。

夢はだんだんリアルさを増していた。悪夢にうなされる…。


そして、毎回のように夢の火の熱さで中途覚醒してしまっていた。実際は夢なので熱くないのに。
あまりにもリアルすぎたので、思わず自分の体を確かめた程だ。



鼎は火のトラウマ克服をやめようと考えていた。
日に日に生々しくなっていく、あの日の悪夢。



鼎が急遽休んだ翌日、彩音にこう告げた。

「トラウマ克服を始めてから、夢にあの事件が毎日のように出てきて…。もう耐えられない…。だから…火のトラウマ克服は辞退するよ…」


鼎の声に力がない。

毎日!?これは予想外だった。鼎に悪影響を及ぼしていたなんて。


「鼎に無理…させたかな…。そうだよね、辛いよね。毎日あの悪夢って……しんどいよ」
「日に日に生々しくなっていったんだ。解放されたい…」


鼎からしたらこの克服は酷だった。



そんな中、鼎にリモートで話がしたいとゼノクにいる流葵(るき)から連絡が。鼎は研究室の小部屋へ。


久しぶりに見た流葵は白いベネチアンマスクを着けていた。方針を変えてあえて人前ではそのままにしたとは聞いたが――。


「紀柳院さん、お久しぶりです」
「久しぶりも何も、あれから1ヶ月経ってないだろうが…」

「そうでしたね。こうして紀柳院さんと話が出来る場が出来て嬉しいんです」
「治療は進んでるのか?」


「今はゼノク内の居住区に住んでます。通院してますが、ひどい洗脳からはほぼ解放されましたよ。
仮面は人前では思うように外せないんで、西澤室長が『そのままでもいいよ』って。ゼノクの人達は優しいですよ」
「そうか…」
「紀柳院さん、本当は嬉しいんじゃないんですか!?仮面仲間の話、聞いたんです。それが引っ掛かってて…」


「流葵は6年も洗脳されていたのだな…。なかなか仮面、外せるはずもない。無理する必要はない」
「そのうち会えるといいですね。たくさん話、したいんです。紀柳院さんと」

「…あぁ」


リモートが終わった。

流葵は声のトーンからするに、元気そうだった。仮面をあえてそのままにする選択肢、西澤は私を参考にしたのだろうか…。いや、まさかな…。


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