【Short×3 Story】†パロディ、ぱんどら
10/08/25 23:39 Wed
空いていた時間の手慰みに書いたもの。
サンホラ『魔法使いサラバント』、或は千夜一夜物語パロディ。
要望が無かった場合書きませんが、続きはブレギル想定です。
「死んだ人間を生き返らせるにはどうしたら良い」
青年はその問いの答えを求めてさ迷う。
長い長い旅だった。辛く苦しい道行だった。
けれども、たった一つの願いを叶えるために――。
行き着いた薄暗い路地で声を掛けた男。彼はその方法があると囁いた。
とある崩れかけた屋敷にある石が、三つの願いを叶えてくれるのだと。
「ワシはこの通り眼が見えん。お前さんをそこへ案内する代わり、石を見つけてくれんか」
対価は願い事一つ。譲るために一つ。それでもただひとつ願いが叶うならば充分だと、青年はその条件をのんだ。
「ここ、が…」
「そう。この屋敷の柱にある赤い石に触れることさえ出来れば」
――それで、長年の夢が叶う。
崩れかけた石柱。枯れ果てた庭木。割れた床の大理石。灰色のその屋敷に青年は足を踏み入れた。
まともに歩くことすら困難な廊下を手探りで行く。しかし、青年にとってそれは苦労とは程遠く。
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