▼"蜂"の歴史
それは神代家の傘下にいた下級の家系。
働きぶりは真面目だけれど名を覚えられるほどの功績はなく。
記録に残すにも惜しいほどのいつかの何か、そこで"彼"はしくじった。
そこで絶える運命だったが、気まぐれか、戯れか、当時の神代家の誰かに救われた。
たったそれだけ。もしかしたら相手は助けたことすら覚えていないかもしれない些事だけれど。
元来真面目で一途な"彼"は席を辞し、戻って少ない一族たちに言い伝えた。
「私の命――ひいては"我ら"の命でもある――寛大なる、神代家に助けられた。その恩に全身全霊を持って応えたい。しかしこれは"我ら"の独りよがり。迷惑をかける行為はならぬ。自惚れることもならぬ。そして恩を忘れることは断じてならぬ。お声がかかるその時まで、静かに、密かに、技を磨くのだ。それがたとえ、何代先になろうとも。必ず、必ず、"彼ら"の誰かが覚えていてくれようぞ。故に、"我ら"の誓いはひとつ。その時が来たら、何があっても"彼ら"の手となり足となって、この恩に報いるのだ。」
灰の髪に黒い髪の"彼"は、"蜂"と名乗って隠密の心得があるものを集め、技を得た。
増やさず減らさず、少数精鋭を保ちながら何代も何代もこの話を受け継ぎ、技を磨いた。
それは初代の"蜂"から続く長い長い恩返し。

▼"蜂"の制度
表向きは農業を中心とした小さな集落。実態は"蜂"という名の隠密育成集団。
初代に倣って「灰の髪」「黒の瞳」が"蜂"の候補になる。
心技体共に優れたものが"蜂"を名乗り、技の衰えと共に次代へと引き継ぐ。
初代から続く神代家への恩を忘れぬよう。
恩に報いることができなかった者たちの思いを忘れぬよう。
老若男女問わず、一人称に集合体のような呼称(○○たち、ら)を用いる。
神代家に対しても"あなたがた"のような呼称を用いる。

●蜂(cv.河西健吾)
灰の髪に黒の瞳。当代の"蜂"。
初代に似て、真面目で一途。そして純粋無垢。
鍛錬の成果で感情の起伏はほぼないが、神代家(特に黒蓮)に関わると話は別。
全ての決定権は神代家(黒蓮)にある。
できることもできないことも、神代家に命じられれば全て実行する。
黒蓮以外の前に姿を現す場合は黒布で顔を覆い、実態を隠す。

●虚(cv.関智一)
後にも先にも唯一無二の"最強"と謳われた"蜂"。
初代の話と共に「手本とせよ」と語り継がれた伝説の存在。
心技体すべてに於いて卓越し、また、次代を育てる師範としても優れていたという。
彼の人生のうち、不運と言えば2つ。
1つは何を除いても、神代家のお声がかからなかったこと。
稀代の天才であればこそ、お力になれたこともあっただろうに。
その無念は死してなお残り続けたという。
2つは集落が流行り病に侵されたこと。
ほとんどの"蜂"候補が罹患し、数名を残して壊滅寸前に至ったという。

神代白菊の秘術によって蘇った「リターナー」。
身体は"蜂"の血を引く青年のもの。ゆえに髪は藍、瞳は灰である。
中身は壮年。悲願を達成した喜びは何物にも代えがたい。
基本思考は"蜂"に違わず真面目で一途であるが、師範経験もあってかやや説教臭い面も。






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