言って御覧
2014.8.10 05:00 [Sun]
銀さんに片想いしてる新八がわりと元気に恋をエンジョイする話
片想い新八が書きたいよー。
あっさりなやつ。
好きだけど、叶わないってわかってて、諦めてる。でも今は銀さんが好きで、それはどうしようもないことだと割り切って恋をしてる。
そんな新八。


 あの人は案外鈍感なのだと気が付いたのはわりと最近だ。
 聡い人だから隠し事なんかはすぐにばれてしまうのだけれど、こと色恋、しかも自分に関するものにはてんで駄目らしい。実はそこそこモテるのに、モテないモテないと嘆き続けている理由がやっとわかった。知ってて気付かないふりをしているのかと思っていたが、本当に気付いていないのだ。きっとさっちゃんくらい直球に伝えない限り彼は永遠に新八の気持ちを知ることはない。
 新八はその事実を発見してから、とにかく銀時を見つめるようになっていた。
「……なんなの、お前。最近めっちゃ見てくるじゃん」
「別に何もありませんよ、気のせいじゃないですか?」
「……ふーん」
 怪訝そうに訊ねられても何でもないの一点張りで押し通す。銀時は納得がいかない様子で首を傾げる。けれどしばらくするとジャンプに意識が移っている。
 そんなものだ。彼は疎い。自分に向けられる好意にひどく疎い。殺気や悪意には敏感なくせに。
 それは裏を返せば新八は恋愛対象に入っていないということにもなるけれど、そんなことは今更だ。
(あーあ、もっと早く気付いておけば良かった)
 こんなにも真っ直ぐ銀時に見惚れていていいなんて、自分はどれだけ時間を無駄にしてきたのだろう。
 ほぅ、と溜め息をついて、新八は再びジャンプのページを捲るうつくしい指先を見つめた。

category:短文メモ/今後書く銀新
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