既婚者の義妹と略奪者

注意。これは、会話だけです。オチもない。


カムイside

マークス兄さんもう許して。私はどうなっても構わない。でももうこれ以上祖国から奪わないで。

マークスside

カムイ安心しなさい。私は、奪い取っていない。私は、罰を与えているのだ。お前を含めた守ってくれる白夜の王族がいなくなったことで白夜国民は、何かしたのか。無論なにもしないでいる。自分たちが安全な所にいればそれでいいと逃げ出した。それこそが白夜国民の驕りの罪だ。悲しい顔をするなカムイ。むしろ嬉しくするべきだ。

カムイside

違う!兄さんのやっていることは裁きでも何でもない!兄さんは、もう何もかもおかしくなっている。こんなことは、まちがっている。

マークスside
可哀想にカムイはこんなものがあるから苦しいのだろう。古巣がカムイを苦しめている。私が解放してあげよう。

カムイside

マークス兄さんやめて!それだけは、取らないで!返して!返して!

自分の指の一本動かないカムイの細い薬指から二本の指輪をマークスが抜きとった。

マークスside
これは、私が処分をしよう。もうお前は、私と子供達しか残っていないのだ。すべて終わるまでまた家族と穏やかな時間を取り戻そう。それまで待っていなさい。

マークスが部屋を出た。ただ一人車椅子に乗ったカムイは、泣いた。

カムイside

返してマークス兄さん。私の帰りを待っていたリョウマ兄さん達の印を!また白夜の兄弟姉妹に戻ってから護身になった一本目の指輪を返して!

マークスside

返したくない。長い時間カムイを実の妹のように暗夜で育ってきた。だがリョウマは、白夜に戻ることも難しいカムイに余計なものを渡してくれた。あぁっ‥‥こんなもの持つだけでリョウマから忌々しい声が聞こえてきそうだ。一途にも程があるだろう!


カムイside
リョウマ兄さんからの二本目の指輪を外されて寒い。あの指輪は、リョウマ兄さんからお母様も私も白夜王家と繋がりがないと知らせられた真実の印。結婚が出来ると告白されて本当の。本当の家族として迎え入れることができた指輪。あれだけは、リョウマ兄さんと私を繋がりを深くしている指輪を壊さないで。


マークスside
どんな卑怯な手を使ったのだ白夜王子リョウマ!実の妹であるカムイによくも白々しく手をあげることができたものだな。墓にいるリョウマに絶望の手向けの花をしてやろう。それには忘れ形見達に絶望を与えようではないか。具体的に何をしてやろう。時は、私の味方だ。

かつての高潔なマークス兄さんは、もういない。小さい頃兄と信じた心優しかったマークス兄とさんは、もういない。私が白夜王国についてしまったせいでマークス兄さんは、変わってしまった。なによりもリョウマ兄さんと繋がりの深い指輪が欲しい。ぷつりと夫のリョウマに関する繋がっていたものが切れたみたいに恐い。


終わりー。





























宝物 後編

続きです。
カミラ姉さんが登場します。

死ね!マークス!父上がお前の父ちゃんのせいで殺害しておきながらよくも図々しく幼いカムイに兄面ができるものだな!リョウマが五枚の満点の用紙に皺ができるくらいに握りしめた。

「私お外へ一人で出ちゃっただめなの。マークスお兄ちゃんかカミラお姉ちゃんと一緒じゃなきゃお父様に怒られる。ジュンマークスお兄ちゃんの花丸のあるテストを黄金の板に変えてきてね。」

五枚の花丸の紙切れを見る。紙吹雪にしてやりたい。でも出来ない。幼いカムイの文字だけを取り除ける呪術があればこんなもの破いてしまうのに出来ない。カムイを褒る兄面をしたマークスのコメントと花丸が達筆で不愉快。

「ジュンどうしたの紙切れを持って。」

「カミラ王女様。」

「あらこれは、お兄さまの花丸じゃない。駄目よジュンこれは、カムイの宝物を返しに行くわよ。」

「カミラ様これは違います。カムイ様に泉の女神を探すように頼まれたんです。」

カミラに届かないように上にあげた。

「泉の女神?」

「落とした物を泉の女神に正直に言えば花丸の紙を黄金の花丸の板にかえて欲しいとたのまれたんです。」

「まぁ。カムイは、乙女チックね。でも残念あなたの足では泉にもたどり着けない。空を飛ぶ竜のライセンスを習得できない限りは。」

意地悪い笑みでカミラが言った。年相応の妖艶さがあるカミラの笑みは、下心のある貴族のハートを射ぬかれる。

「カミラ様は、泉の場所は、知っているのなら少し教えていただけないのですか。」

「泉には興味はないわ。」

怒りとも悲しいともつかない目付きでジュンにズバッと言った。

「あなた最近カムイと積極的に仲良くなっているわね。前までは、仕事人間だったのに。」

「お褒めくださって光栄です。」

「でもだからと言ってカムイと仲良しになりすぎるところを見るとくやしいわ。マークスお兄さまから兄のポジションを取り上げない程度に仲良くなさい。でないと雇い主であるお兄さまにあなたの首は飛ばされるわ。」

「ご忠告ありがとうございます。」

もし過去にいるヒノカがカミラの話を聞いていたら頭に血がのぼって薙刀を振り回していただろうな。

「では、失礼します。」

「ちょっと待ちなさい。」

「なんでしょか?」

「私にいいアイディアがあるの。一緒に私と来てちょうだい。」


数日後。

「カミお姉ちゃんいっらしゃい。ジュンおかえりなさい。」

カミラに抱きつくと次は、ジュン(リョウマ)の足にしがみついた。

「ジュン早く黄金の花丸の板を見せてよ。」

「カムイ様これを。」

「どうしたのこれは?」

カムイの目の前に可愛い飾りのリボンのついた小さな箱を五つも渡された。

「開けてみてもいい?」

「どうぞ。」

ひとつラピングをほどいて最後のひとつをほどいてから箱を開けると

「髪飾りが五つも。」

箱の中にピンで止めてもずり落ちない髪飾りが五つも入っていた。白と黒の飾りのついたリボンに。白い薔薇。銀色のシンプルの髪飾り。

「ねぇジュン黄金の花丸はどうしたの?」

「それが泉の女神様にマークス様の花丸を没収されてしまいました。」

「えぇー!?なんで!なんで!ジュン女神様に嘘を言っちゃったの!」

「いいえ。正直に言ったのです。そうしたら泉の女神様が機嫌悪くなってしまわれて。いたたた!」

「わーん!ジュンのバカバカ!」

カムイがジュン(リョウマ)の(自慢の)髪を引っ張り攻撃してきた。

「どうして取り返さなかったの!マークスお兄ちゃんの花丸もうないじゃん!ジュンの嘘つき!」

小さな体で髪を引っ張られる。カムイから離そうとするも逆に離れまいとジュンの髪にしがみつかれた。正直リョウマには、痛いすぎる!

「泉の女神様は、最初は、話を聞いて返そうとしてくれたわ。」

「お姉ちゃんジュンと一緒に女神様を探してくれていたの?」

「えぇ。女神様は、持ち主が誰かも分かっていてね。「年頃の女の子をお勉強ばっかりにさせずにおっしゃれに気を使わせるべきです」って怒られたの。」

「ジュン本当なの?」

髪を引っ張らるのをやめてジュンに訪ねるカムイにそうだと答えた。

「あぁ。頑張ることもいいけど女の子は、可愛いく綺麗になって自分が好きになれる気持ちを忘れないように花丸を髪飾りに変えてくれたのだ。」

「そうだったの。」

「宝物がなくなってカムイ悲しいか。髪飾りに変えられて嫌か?」

ふるふると首を横に振った。

「髪を引っ張ってごめんねジュン。もういやじゃない。女神様が花丸の紙を髪飾りに変えてくれたからもう風で飛ばされる心配もしないで済むからいい。」

「そうか。」

「ジュンありがとう。髪飾り大事に使うね。あっでもこれどうやって着けたら可愛いのか分かんないや。」

「カムイお姉ちゃんが髪飾りのつけかた教えてあげるわおいで。」

「うん。カミラお姉ちゃんお願い。」

ジュン(リョウマ)に背を向けとてとてカミラの元へ歩くカムイ。

過去から現代に戻れたらリョウマにしたいことがひとつ増えた。それは、現代のカムイに髪飾りのことに思い出があるのかを確かめることをだ。それには、暗夜の王族がカムイと仲良くするところを見るのをたえるしかないということにリョウマは、決心した。

「ジュン髪をとかしてー。」

「はい。カムイ様。」

おわり。

















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愛でるものは閉じこめるもの

暗夜王国。貧しく作物が育たない朝の来ない夜だけの国。 そこに暮らす人達は、疑り深く攻撃的で僻み人を陥れるのが日常茶飯である。王族も王族の縁者もその人種で少ないわけがない。

とある飼料館マークスは、目ぼしいものを探していた。

「これにもないか。では、これか。」

なかなか見つからず最新の記録を探しても見つからなければ床に投げた置いた。

「何をしているマークスよ。」

「父上!用が済めば片付けますので気になざらずに。」

後ろから父が声がかかりマークスは、驚いた。

「飼料館では、記録してはならぬものもある。探しても見つからなければ白夜王国へ侵攻して女王の元へ尋ねればよかろう。」

「白夜への支配は、我が悲願」

父上が最近出るようになった口癖。先代のスメラギが不慮の事故で崩御したことにより統治者が後妻のミコトに代わった。情勢が不安な状態なら攻め落とすことが出来なくない。だが白夜には特異な術を使う者がいることで有名でゆだんができない。

「北の城塞にいる子供は、誰の子供でしょうか。」

「亡霊が出るところに行ったか。憑りつかれずによく戻って来てくれた。」

「カムイと名乗っていた生きた女の子でした。父上の子供なら何故王城ではなくあのような場所に暮らさせているのですか。白夜の王族の兄弟姉妹には5人いたはず。そのうちの一人が行方不明なのは、おかしい…はっ!」

「マークスあれは、お前にとって義理の妹だ。」

「父上!どうして暴挙に出たのです。前までは、他国に手をあげなかったではないですか!」

矢継ぎ早に質問するマークスにどこ吹く風もなく平然とガロンは、言った。

「白夜王国が前から気に入らないかったからだ。白夜は、暗夜に助けてくれたか。作物に困窮している暗夜を豊かに作物が育ってられた白夜は、食べ物を恵ませてくれていたか。」

「いいえ。」

「疫病で苦しむ子供や老人のために白夜は、暗夜へ腕の良い癒し手を往診に遣わせたことがあるか。」

「いいえ。」

「表面上心優しく平和を愛している白夜王国は、自分達が平和に暮らせばそれでいいと考える者が多い。それを暗夜が白夜の浅はかさを正さねばならぬ!」

父が胸に握り拳を作りマークスに演説した。白夜王国は、確かに礼儀に重んじ清く正しい眩しい国であった。父の言葉には、力が強い。暗夜王国にも暖かく照らす光をもらう権限がある。

「私も日の光が見たい。」

「マークスよ。王命を言い渡す。」

「はい。」

「カムイを暗夜の王族として育ってよ。処遇は、お前に任せる。」

「はい父上。第一王子が白夜第二王女カムイを暗夜の王族として信じこませてみせます。」

「期待しておるぞマークス」

資料館から出るガロンにマークスは、こうも質問した。

「父上。カムイを拐ったのは、白夜王国の侵略の鍵としてですか?」

「違う。あやつは、暗夜を照らす光だ。けっしてその光を枯らしてはならぬ。」

今度こそマークスへの質問が終わるとガロンは、出ていた。


数年後ー。カムイは、育った兄弟姉妹を裏切り白夜王国に味方をした。白夜の第一王子の安堵の表情とマークスに刀を向けるカムイの表情に怒りを通り越し嫌悪を覚えた。例えるなら雛鳥が突然可愛くもない鶏に成長したのと同じくらいに。

次にカムイと再会したのは、アミュージア公国。最後に再会したのは、暗夜の王城。争いは辛うじてマークス率いる暗夜軍が勝利に終わった。そうしてマークスは、行方不明になった父王から王位を継承した。暗夜王国国民から先代の圧政のせいでマークスに怒りをぶつけられたり。白夜王国から不信感からギクシャクされたものの。持ち前の誠実と勤勉さと気配りの上手さからマークスは、「豹変する前のガロン王の再来」と祖国から呼ばれるほどに信頼を取り戻していた。

「マークス様が国王になられてから飢えずに済めてよかったわ」

「白夜王国からも食料の輸入が出来るからマークス国王様万々歳。」

「マークス様国王になられたのなら妻となる人がいないのよね。」

「私お妃の候補に入ろうかしら♪」

「よしなさいな。あなたのようなぼんやりじゃマークス様は見向きもしないわ。それにマークス様には、もう奥様がいるのよ。」

「え?それは、誰!」

メイドがマークス国王に花を咲かせて話している頃噂の当人は。


「ただいまカムイ。」

車椅子に乗っているカムイに声をかけた。カムイが肌身離さずに持っている竜石を手のひらに持ち上げる。

「‥‥‥‥」

「カムイ寂しかっただろう。だが今は、安静にしていろ。先の戦争でまだ本調子ではないのだから。」

「‥‥‥‥」

「子供達に会いたいのか。カムイは、子供想いで優しい母親だ。全てを終わらした後でまた家族と穏やかな時間を取り戻そう。」

「‥‥‥‥」

楽しそうに話すマークスにカムイは、返事をしなかった。いやカムイは、まるで人形みたいに大人しくマークスの話を聞かされるだけの物言わぬ存在になっている。それでもマークスは、構わず兄のように。恋人のように物言わぬカムイを愛でた。

コメント

本編のマークスお兄さんもいいけど。白夜についた義妹のことで病むマークスお兄さんもまた違う魅力を感じるから捨てがたい。


























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宝物 前編

このお話は、「お兄さん暗夜王国行く」短編です。日常のお話です。



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feif人柱アリス 三番目アリス2

手触りの物が身体全体に当たり目が覚めると。

「あれ???」

寝台も何時ものサイズでなく。キングサイズで幅も広い。自分の声も低い。床に足をつけて立ち上がると目線も高い。

「鏡。鏡は。」

覚束ないで足取りで鏡台の鏡で自分の姿を見る。シルクの寝巻きを着た金髪の眉間に皺の寄った長身の大人の男性が鏡台の鏡に映っていた。手をふる仕草をしたり片足あげてみせると鏡も同じ動きになる。

「これがなりたい僕の姿なのか。いいや。これがなりたい姿の私か。」

子供口調で言う大人だとおかしいと思ったマークスは、大人の口調に変えて言った。

「まるで父上と同じ部屋にでもいる気がする。」

大人の口調の方が低い声に合っているのでこの調子で話そうと胸中に秘めた。

コンコンとドアを叩く音が聞こえた。使用人が朝ご飯の用意でもしてくれたのだろう。

「入れ」

と一声かけるとおや?使用人では、なく子供が入ってきた。顔つきも幼い自分と少し似ていると思った。身なりからして王族の子息だろうか。

「迷子になったか。お父さんとお母さん探してあげよう。」

「父上。昼寝で元気になりましたか。」

幼いながら張りのある声でマークスに言う男の子。

「もうすぐおやつの時間です。今日は、父上の大好物「すまない。父上とは、誰のことだ。君は、誰なんだ?」

話の途中で割り込むのは、行儀が悪いと思いつつ男の子に質問した。男の子は、少し驚き顔になるがすぐに表情を戻す。

「笑えないことは言わないでください父上。私は、マークスの息子のジークベルトです。」

「私の息子だと?!」

「寝過ぎて忘れたのですか。父上は、暗夜王国の国王殿下。私は、ゆくゆく父上の跡を継ぐ暗夜の第一王子です。」

窓の方を見ると夜のままの暗夜王国の空。不思議の国へ行ったのに暗夜王国と同じ。

「父上そろそろ中庭に行きましょう。母上と弟のカンナもまちくたびれてます。」

ジークベルトのマークスの袖を掴んだ。不思議の国へ来たことでマークス自身が自分の立ち位置に驚いていたが顔に出さないようにした。自分の子供?の前では、冷静でいようとした。

「ジークベルト母親の名前は言えるか。」

「カムイです。まさか母上のことも忘れたのですか。母上は、異国の王族で生まれでありながら父上の元で妹として育った女性であり。現透魔王国の女王様です。弟のカンナを連れて透魔王国から来てくれたのですよ。」

苦笑いしつつ息子のジークベルトが解説してくれた。くい、くい、袖を引っ張りマークスを急かした。


中庭のテーブルに来るとアフターティーの準備がもうしてあった。そこに人が二人いた。女性が一人。男の子がいた。女性の方は、艶のある銀髪に赤い瞳をした不思議な美しさをもった人。子供の方は、カンナだろ。女性と同じ耳が尖っていた。

「マークス兄さんお久しぶりです。」

「お父さん遅いよー。もうおやつが食べたいよ」

微笑みを浮かべる女性と頬を膨らませ文句を言うカンナ。

「あの兄さん?」

「あぁ遠いところからよく来てくれたな国王として歓迎しよう。」

「今さら他人行儀って」

女性の方は、吹き出した。マークスの頬に手をあてる。

「いたたたた。離せ!」

「兄さん目が覚めましたか。」

「あぁ。夢ではないのだろう」

「夢?」

「何でもないこっちの話だ。」

つねられたところがじわじわ痛かった。不思議の国の登場人物からマークスは、暗夜の国王陛下になっていたことを知り。加えて異国の女王カムイを妻にして二人の子持ちの父親になっていたことに驚いた。それ以前に。

「兄さん。」

妹として過ごしていたのは、長女のカミラ一人くらいで。カミラ以外の弟と妹とは、親睦を深めていない。

「兄さん!」

「わっ!何だ?」

「話の途中ずっと上の空じゃありませんか。ぼんやりするなら寝てからにしてください。」

「ぼんやりなどしていない。ただ考え事をしていただけだ。」

「私のことを思いだそうとしたことですか。」

「ふっ戯言を言うな。ちゃんと覚えている。」

「兄さんが嘘をつくと垂れた髪を揺らす癖があります。」

「え?あ!」

「なんて嘘でーす。兄さんがあわてふためくところ初めて見ます。」

「カムイ」

「ウフフ。」

悪戯っぽく笑うカムイ息子二人とも他愛ない話に相づちいれながら会話した。


カムイとジークベルトとカンナを初めマークスは、慕われていた。父親としても。一月が経過した頃マークスは、夢を見ていた。

「父上見てください。先生から満点貰えたんです。」

父王の部屋に入ってからマークスは、満点のテストの用紙を落とした。父王ガロンの上に裸で喘ぐ女性がマークスの目に入ったからだ。

「ごきげんようマークス王子様。満点のテストを取られてすごいです。それなら私めから国王殿下になられるマークス様にお世継ぎの作り方をおうしえしましょ。」

「来るな。‥‥来ないで‥‥。」

股に液体を流しながら裸で小馬鹿にした表情で女がマークスに近づく。嫌悪感から後ろに後退りをした。

「あらマークス様のお道具既に準備万端で先生としては、嬉しいわ。」

逃げられないことをいいことに女は、マークスの道具にやりたい放題をしはじめた。

「マークス様の×××が私の口の中にゾクゾクしますわ。」

女の方は、恍惚な表情をしているのと対象にマークスの体は血の気が引く冷たさがかけめぐった。

「では、そろそろ私にお世継ぎ作りにぶちこませてくださいませ。」

「‥‥父上助けて‥‥」

「父に頼るな。自分でどうにかしろ。」

「父上には、母上一筋ではなかったのですか!なのに他の女と汚いことを私に押しのけて!」

ビリッ。紙が破ける音がした。音の方を振り向くと既にドレスを着た女がむくれ面で

「マークス様がくずくずするから満点の紙を破ってしまいましたわ。ガロン王様ごきげんよう」

嗤いながら女は、部屋に出ようとした。マークスは、女の肩を掴んだ。

「なんですの?マークス様。きゃ!」

女は、そこで事切れた。マークスの手にある護身のナイフから血が流れていた。


暗い寝室にマークスは、目を覚めた。夢だったとわかった。寝汗がひどい。喉が渇いた。マークスの隣にカムイが寝ていた。カムイの寝顔が夢に出た卑しい女の死に顔と重ねて見えた。発作的にカムイの首にマークスの手が重なった。殺してしまおう。得体の知れない女を妻にした覚えもない。権力の力でカムイのことを行方不明にさせてもいい。妃を暗殺した罪を別の人になすりつけることにすればいい。カムイの首を力を込めて握った。大丈夫。マークスの腕なら女の首などあっという間に。

「ぐっ。カハッ」

咄嗟に手を離した。目を開いたカムイは、呼吸が落ち着くまで咳き込みながら酸素を入れようとした。その間マークスは、自分が何をしたのかわからなかった。

「‥‥‥マークス兄さん‥‥‥」

「カムイすまない。私が‥‥」

「マークス兄さん待って行かないで」

後ろを向いて離れようとすればカムイが後ろから抱きつく形で止めた。

「兄とも呼ぶな!私は、お前のことを一つもおぼえてなどいない!カムイの知っている兄でもなければ夫でもない!」

懐からナイフを取り出すとカムイの鼻先に当てた。

「顔に消えない傷をつけられる前に私から離れなさい!早く!」

カムイは、目をそらさずにマークスをみるだけだった。マークスもナイフをカムイの鼻先につけるだけで微動にしなかった。カランと床に落とす音が寝室に響いた。マークスが身を守るものを落としたのだ。五分経過してカムイは、マークスから離れようとしなかった。

「何故殺そうとした相手に攻撃してこないだ。私はおまえにひどいことをしようとした。」

「マークス兄さん。」

マークスの顔に柔らかいものが触れた。それがカムイの胸だと気づくと滑らかな手が髪に触れた。心が落ち着く徐々に穏やかになっていくことがわかった。

「私が小さい頃にある人から教えてくれたのです。頭を撫でる人がいることは、その人のことにひとりぼっちじゃない元気をあげていることだと。人に抱きしめることは、親愛の証であるということを。」

顔をあげてカムイの顔を見れば子供を慈しむ母のような表情をしていた。

「私は、おまえの想いに応えることなど出来ない。それでも私を兄だとおもっているのか。」

「はい。」

「妻と主張してもお前への愛など応えられぬ。」

「そうであっても私は、家族になっていた時間を取り戻したい。マークス兄さんと過ごしていたかもしれない時間も。産まれてきていた可愛い息子達との時間も。あっもう寝ている。」

視界が黒くなった。決して真っ暗でない。温もりのある真っ暗がマークス意識に広がっていた。

続くかも。


































































































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