（2021年1月14日 投稿作品）
［皆様へ］
拙作を御訪問いただきありがとうございます。
日本アラカルト［時代の行方32・ Make America Great Again］シリーズは
本章を以って一応終了となります。
本作品は、飽くまでも私の解釈で書いたものです。
大きな間違いがあるかもしれません。
それでもよろしければお楽しみください。
2021年1月14日 ちはや拝
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日本アラカルト［時代の行方32・ Make America Great Again／肆］
朝からギルベルトがイライラと歩きまわっていた。
ぽち君の散歩の権利をじゃんけんで勝ち取ったアルフレッドが、散歩に出て小一時間が経とうとしていた。
日：そろそろ戻ってくると思いますよ、まあ落ち着いて、ハーブティでも入れてくれませんか？
菊はそう宥めて炬燵の天板にハーブセットが入った籠を置いた。
ギルベルトは直ぐに踵を返して数種類のハーブの中から一種類を選んでポッドに入れ湯を注いだ。
砂時計できっちり１分を測って二組のカップにハーブティを注ぎ入れた。
日：レモンのいい香りがしますね。
カップを受け取り菊は一口喫した。
普：レモングラスだ、効能は…
その時、玄関のドアが開く音がして、ただいまなんだぞというアルフレッドの元気な声が聞こえて来た。
続いてドタドタと賑やかに廊下を小走りに走ってくる音がした。
廊下は走らない、と毎回注意しているのに…、と菊は今はもう諦めて、
（アーサーさん、どういう子育てしたんですか！）と内心でアーサーことイギリス連合王国に文句を言うことにしていた。
普：アルフレッド、ちょっと来い！
ハーブティのカップを手にしたままギルベルトは声を張り上げた。
軍事訓練で檄を飛ばし続けているギルベルトの鍛えられた声はよく通る。
米：たっ、えっ、な、何だい？
ギルベルトの声の響きがいつもと違うのを敏感に感じ取ったアルフレッドは、ぽち君を抱えたまま居間の入り口で立ち往生していた。
普：いいからここに座れ！
ギルベルトはもう一つのカップにハーブティを注ぎ入れると、ギルベルトの右手の天板に置いた。
アルフレッドはギルベルトと菊の顔を見比べつつその場所に腰を降ろした、正座でである。
ギルベルトも炬燵を出て正座でアルフレッドの方を向くと、思わぬことを口にした。
普：アルフレッド、お前、消えるつもりか？
日：えっ！
問われたアルフレッドではなく、菊の方が声を上げた。
普：菊、ちょっと黙ってろよ、アルフレッド、どうなんだ。
米：…もう、何で気づくかなぁ、そんなこと俺だってわからないんだぞ。
普：トランプ大統領がテキサス州の軍司令部に保護されたのは何故だ？
米：何故って、それは…
普：テキサス州はアメリカ50州の中で、唯一『独立』を許されている州だからじゃないのか？
菊が驚きの表情でギルベルトを見、アルフレッドを見た。
普：独立国だったテキサスは、州の中で唯一『領土割譲』ではなく、条約によってアメリカ合衆国に加盟した州だったよな？
唯一，州旗を合衆国旗（星条旗）と同じ高さに掲げることができ、望めば合法的に独立国なれる州だよな？
米：そうなんだぞ…、トランプ大統領をアメリカ合衆国憲法から護ることができる唯一の州なんだ。
だから、バイデン政権が誕生して、トランプ大統領の身に危険が及びそうになったら、テキサス州は独立を宣言して合衆国憲法から離れることができるんだ。
そして、テキサス共和国を建国して、トランプ大統領が初代大統領になれば、アメリカ合衆国もバイデン政権も手出しできなくなるんだぞ。
訥々と話すアルフレッドの声を聞きながら、ギルベルトが苛立っていた由理が理解できた菊だった。
国家の枠組みが変わる…、その影響は当然のことながら、アメリカ合衆国そのものであるアルフレッドにも及ぶ。
米テキサス州のパクストン司法長官が、新型コロナウイルスの世界的大流行（パンデミック）に乗じて大統領選の手続きを不当に変更し、選挙結果をゆがめたとして、ジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州を相手取り連邦最高裁に提訴した。
連邦最高裁は、テキサス州に他州を訴える法的資格はないとして門前払いを喰らわせた後、テキサス州共和党のアレン・ウエスト議長は「法を遵守する州は結束し、憲法を遵守する州の連合を形成する必要がある」と述べて、『憲法を遵守する州の連合』の結成を提案している。
明確に独立を呼び掛けたわけではないが、メディアには独立宣言と受け取られている。
そう受け取られた背景に、テキサスがアメリカ合衆国に加盟した経緯が関係していたのである。
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2020年12月14日
■武器を使わない"南北戦争"再発か テキサス州共和党が「新南部連合」結成を呼びかけ 南北対立の構図は残っていた：FNNプライムオンライン
www.fnn.jp
【テキサス州の４州提訴に名を連ねた18州】
テキサス、ユタ、モンタナ、ノースダコタ・サウスダコタ、ネブラスカ、カンザス、オクラホマ、ミズーリ、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、ルイジアナ、テネシー、アラバマ、フロリダ、サウスカロライナ、ウエストバージニア、インディアナ。
【南部連合11州】
・提訴した州
テキサス、ルイジアナ、アーカンソー、ミシシッピ、ルイジアナ、テネシー、フロリダ、サウスカロライナ
・提訴しなかった州
ジョージア、ノースカロライナ、バージニア
米国の南北戦争は1865年に終結し奴隷も制度的には廃止されたが、北軍の撤退後南部の支配層は「ソリッド・サウス（堅固な南部）」と呼ばれる団結で北部に対抗するようになり、この対立の構図は今日に至るまで続いているとされる。
それは、北部が「国家は経済活動に積極的に介入すべき」という重商主義的考えに対して、南部が「自由放任的でなければならない」という重農主義に根ざした考えを尊重することで分かれる。
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2020年11月3日以降のバイデン民主党のやり方を見て来て、アメリカ合衆国の未来に希望が持てないと思った州がテキサス州に同調しないとは限らない。
アメリカ合衆国が南北に分断され二つの国家が誕生することになったら、アルフレッドはどうなるのか？
北部連合国家がアメリカ合衆国の名を引き継いだとしても、その化身はアルフレッドなのか？
その立場上、アルフレッドは南部連合国家の化身にはなれないはずだから、新たな化身が生まれることになるだろう。
果たして、北部連合国家に新たな化身が生まれないと言い切れるのだろうか？
ドイツが東西に分断された時、西ドイツの化身としてルートヴッヒが残り、東ドイツの化身にはギルベルトが配されることで新たな化身は生まれなかった。
しかし、アメリカ合衆国に『ギルベルト』はいない。
菊は、二人の間を割って入りアルフレッドの胸倉を掴むと、思いっきりその頬を叩いた！
パシーーーン！
普：菊！
二度三度と往復ビンタをお見舞いした後、菊は胸倉を掴んだままアルフレッドを揺すり上げた。
日：消えるなんて赦しませんよ！
アメリカ合衆国を殺していいのは私だけです！
私だけが、お前を殺す権利を与えられている！
お前の首を掻き切るのが私の望み、消えるなんて赦さない！
菊の忿怒の怒りに、ギルベルトは度肝を抜かれ、アルフレッドは頬を打たれたまま項垂れていた。
菊は突き放すように胸倉を離し、一旦居間を出たと思うと床の間の刀を携えて戻って来た。
そして、敷居の前に仁王立ちすると、刀を左腰に、右手を柄に…
普：菊、止せ！
日：師匠！
ギルベルトの手が、柄を握った菊の右手を抑えていた。
日：離してください！
普：落ち着け、菊、まだ消えると決まったわけじゃねえ！
頼む、アルフレッドと話をさせてくれ、頼む！
二人の無言の睨み合いが続く。
力を抜いたのは菊だった。
菊はそのまま敷居の前に座り、刀を左側に置いた。
青白く怒りを滲ませた顔色は変わらなかったが、ギルベルトは菊を信じて背を向けると、突き放された時の格好のまま固まっているアルフレッドを助け起こした。
米：ごめん…
どちらへともなくアルフレッドは呟いた。
ギルベルトは菊とアルフレッドの間に腰を降ろすと、再びアルフレッドに問い掛けた。
普：トランプ大統領はお前を捨てて新しい国を創るつもりなのか？
ギルベルトの労わるような声音は、アルフレッドの気持ちを柔らかに包んだ。
アルフレッドは頭(かぶり)を振った。
米：わからない…、わからないけど、トランプ大統領は俺を…、アメリカ合衆国を諦めたわけじゃないと思う。
普：そう、思うんだな？
米：うん…
普：どうしてそう思った？
米：どうしてって…、アメリカ合衆国はアメリカ合衆国だよね？
ギルベルトの誘導でぽつぽつと話し始めたアルフレッドは、不思議な問い掛けをした。
その目は不安そうにギルベルトを見、菊を見た。
菊の目はひたりとアルフレッドを見ていた。
米：でも、違ったんだ…、アメリカ合衆国だけど、アメリカ合衆国株式会社でもあったんだ。
株主は欧州のある一族と仲間…
普：イギリス王室とロンドンシティ、そしてバチカン市国だな。
米：そうだよ…、そして、一番の大株主はロスチャイルド中央銀行。
アメリカは国家として形だけは独立していたけど、国家運営の資金はロスチャイルドが握っていたんだ。
そして、1913年からはFRBが創設されて、アメリカ国民の血税はユダヤ人たちの手に握られることになったんだ。
俺は長い間知らなかった…
教えてくれたのは、第35代アメリカ合衆国大統領、ジョン・F・ケネディ。
彼は、アメリカ合衆国株式会社を終わらせようとして暗殺されたんだ…
普：金本位制の導入、それが都合が悪かったんだな？
米：そう、だと思う…
日：……
米：トランプ大統領もそのことを知っていた。
アメリカ国家を歪め、アメリカ国民を苦しめているのが何者なのかを…
彼は、去年(2020)の5月3日に、欧州株主たちの権利を放棄させ、アメリカ合衆国株式会社を終わらせてくれたんだ。
そして、約半年間の準備期間を置いて、10月1日に生まれ変わったアメリカ合衆国を新共和国として建国宣言を行ったんだ。
このことは知っている人だけが知っていて、公には知らされていない。
トランプ大統領は、新共和国の初代大統領に就任する。
就任式は3月4日、1月20日じゃない。
アルフレッドを見ていた菊は、視線をギルベルトに向けた。
それに気づいたギルベルトは、小さく頷いた。
普：菊に、菊の持つ日本国の権限全てを引き渡すように言ったのは、そういうことか？
米：何となくかなぁ、言ったら菊はどう言うだろうかって…、案外俺にくれたりしてって…
でも、二千年もそれ以上も…、俺には想像できないほど永く、菊は日本という国の国土と国民に愛されて来たんだってわかったんだ…
そして、菊も、日本という国土と国民を愛していることがわかったんだ、身に染みるほどにね…
バカだよなぁー、初めっから無理だとわかっていたのに…
アメリカ合衆国になる為に生まれて来た俺が、他の国の国そのものになれるはずがないって…
確かめたかったのかも、可能性を…、だってギルベルト、君には言えないだろう？
普：大きなお世話だ！
ギルベルトの手がアルフレッドの頭をパシリと叩(はた)いた！
菊の口元が笑っているのをアルフレッドは目敏く見つけた。
気づいた菊は刀を抱えて立ち上がると、奥の間に向かって姿を消した。
アルフレッドはパタリと倒れ込むと、大きく息を吐いた。
米：怖かったー、本当に殺されると思ったんだぞ。
やっぱり日本人は怒らせちゃダメだね。
普：日本開国の頃の欧米人の合言葉だったよな。
『顔色が青白くなって無言のまま黙り込んだら、理由はわからなくてもとにかく謝れ！』だったか？
米：怖かったんだね、昔も今も日本人って。
普：日本と真っ向勝負したお前が言うかー
ハハハハハハハー
アルフレッドは力なく笑った。
米：わかっただろ、俺がアーサーを嫌う理由が…
普：ああ、酷え兄貴だ。
米：兄なんかじゃないよ、ギルベルトとルートヴッヒのような血の繋がりはないもの…
でも、自分が何者ともわからなった幼い頃に出逢って、それから色々なことを教わった。
今思い返しても、大事にされていた、愛されていたってわかるんだ…
でもね…、でも、だからこそ悔しいんだ！
なまじ優しい思い出があるから、哀しいんだ！
アルフレッドは腕で目元を覆った。
米：優しさなんて要らなかった！
愛情なんて要らなかった！
だだ広い原野に放っておいてくれたら、こんな思いはしなかったのに！
普：……
米：アーサー、アーサー、君なんて大っ嫌いだぁー！！！
涙を腕で隠しアルフレッドは叫んだ！
愛情と慕わしさと、哀しみや悔しさが綯い交ぜになり、心を掻き乱していた
愛するなら最後まで愛して欲しかった！
裏切るくらいなら、初めから放って置いて欲しかった！
何故愛した！ 何故構った！ 何故優しくした！
何故何故何故何故ーーーっ！！！
アーサー、君は、何時だって残酷だっ…！
米：…日本に酷いことをした…
俺を殺したいと憎まれても仕方のないことを…！
人類始まって以来の残酷なことを…！
それは消すことのできない事実だから、俺は背負って行かなけりゃならない！
普：……
米：…でも、アーサーはどうなんだい!?
イギリスだって、原爆投下のGOサインを出したんだ…！
殺れってせっついたのはイギリスなんだ！
確かに…、原爆を落として、日本人を殺したのは俺だけど…！
だけど、アーサーだって同罪じゃないか！
俺だけが背負って、俺だけが責められて…、アーサーは素知らぬ顔で菊に笑いかけるんだ！
何で俺だけ！ 何で何で何でーーーっ！！！
日：原爆投下から75年が経った今でも『被曝の後遺症』で苦しんでいる人がいます。
2発の原爆による死亡者数は、2020年8月時点で、広島32万4,129人、長崎18万5,982人、合計51万111人です。
被爆の後遺症で毎年数千人の方が亡くなっています。
原爆投下から75年経った今も、死者は増え続けているのです。
衣擦れの音がして、菊が座る気配がした。
アルフレッドは顔を隠したまま息を飲んだ。
日：アメリカ合衆国、貴方はその事実を知っていましたか？
苦しんでいる日本人のことを一度でも想い遣ったことがありますか？
米：っ…
日：苦しみなさい、アメリカ合衆国。
それが、言い訳ばかり、責任逃ればかりの貴方が背負うべき罰です。
アメリカ合衆国ある限り、未来永劫大罪の頸木から逃れることは出来ないと思い知りなさい。
菊は膝を滑らせると、アルフレッドの顔を覆う腕を払った。
驚いて顔を上げたアルフレッドの、その顔を真上から覗き込み、菊は言った。
日：貴方を簡単には、楽にして…、上げはしませんよ。
だから、生きなさい。
我が国ある限り、貴方は生きて苦しむ責任があるのです。
貴方を殺す権利がある私が、貴方を殺すまで、消えてはなりませんよ。
いいですね、アメリカ合衆国！
静かな怒りのオーラに気圧され、アメリカ合衆国はコクコクと頷いた。
日：さて、小腹が空いたでしょう、休憩にしましょうか。
アルフレッドさん、コーヒーを入れてくださいな。
菊は何事もなかったようにそう言うと、居間の入り口脇に置いてあった盆を引き寄せた。
盆にはコーヒーセットと、珍しくショートケーキやフルーツタルトが乗っていた。
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被曝75周年広島原爆犠牲者慰霊平和記念式典（令和2年8月6日奉納時）の奉安数等は次のとおり
・新たに追加奉安される原爆死没者名 4,943名
・原爆死没者名簿登録者数 32万4,129名
・死没者名簿の冊数 119冊
被爆75周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典（令和2年8月9日奉納時）の奉安数等は次のとおり
・新たに追加奉安される原爆死没者名 3,406人
・原爆死没者名簿登録者数 18万5,982人
・死没者名簿の冊数 191冊（白紙1冊、長崎市広島原爆死没者名簿1冊を含む）
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（続き）
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