【悪の帝国ロシア包囲網 @】 / 光と闇の攻防
2022/03/03 17:06
【皆様へ】
初めての方、ありがとうございます。
引き続き御訪問くださっている方、ご無沙汰しております。
1年2ヶ月振りの時事作品の投稿です。
相変わらずの会話文です。
ロシアのウクライナ侵攻について取り上げています。
飽くまでも私個人の解釈によるものです。
お楽しみいただければ幸いです。
2022年3月3日 ちはや拝
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※本作品は『国擬人化漫画・ヘタリア』の二次小説です。
※幾つかのニュース記事やブログ、資料などを参考に執筆したお話しです。
※少々過激な発言があります。
※どの様な内容でも構わないとおっしゃる方は、ご自分の責任の下に御入場ください。
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日本アラカルト【時代の行方34・悪の帝国ロシア包囲網 @】
【欧米+日本サイド】
反ロシア連合…と仮に呼称しておく。
2022年2月24日から開始されたロシアのウクライナ侵攻を受けて、アメリカ発の反ロシア連合『悪の帝国ロシア包囲網』が形成されて行く。
アメリカを始めとする欧米各国がロシア制裁を声高に叫ぶと、それに同調する国々が日々増えて行く。
アジアの雄は日本であり、何故かChinaまでが消極的ながらもロシア制裁に加わった。
しかし、アメリカのアジアの同盟国の一つが尻込みをしているばかりか、次期大統領候補やその側近たちが、ウクライナに対し、コメディアン上がりの素人政治家が身の程を弁えずロシアを刺激したのが悪いと言い出す始末。
米:バカよね、世界の潮流が全く読めないなんてさ。
アメリカの嘲笑混じりの呟きにイギリスが応える。
英:元から変な思考の国だったが、文在寅が大統領になってから益々おかしくなったよな。
日本日本日本、慰安婦慰安婦慰安婦、徴用工徴用工、口を開けば日本非難の罵詈雑言ばかり。
Chinaや北朝鮮の顔色を伺うのに必死で、世界の政治経済の動きに逆らうような政策ばかりで、国内政治は独裁色が見え隠れしていた。
何処に向かおうとしているのか、何がしたいのか意味不明だ。
米:そうだね。
英:なぁ、アメリカ?
米:何だい?
英:結構重荷だろ、米軍情報をChinaや北朝鮮に垂れ流す常習犯を飼っている必要はあるのか?
いっそ同盟国の枠組みから外しちゃどうだ?
米:アメリカと会合した後はChinaにすっ飛んで行って逐一報告するらしいよ。
アメリカはニヤリと笑う。
米:でもまあ、あんな国でも、一応俺が金を注ぎ込んで育てた国だからね。
アジア経済では日本の次に発展している国を、タダでChinaや北朝鮮に呉れてやる気はないよ。
投資した分は取り戻さないとね。
うちの太平洋軍の高官も、米軍が半島を去る時はあの国を焼け野原にすると言っているよ。
それに…
英:それに?
米:まだまだ使い途はあるからね。
アメリカの青い瞳が向く先には…
米:本人たちは気づいていないだろうけど、あの国の基準は全て日本だからね。
日本を盾にすればどのようにでも転がせるから面白いよね。
何かと日本に噛み付かせておけば、嫌気の差した日本がアジア回帰をするのを防げるしね。
アメリカの青い瞳がイギリスを映す。
様になったウィンクを返すと、「馬鹿と鋏は使いよう」って言うだろうとアメリカは嗤った。
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■キエフ大公国 - Wikipedia
ja.m.wikipedia.orgキエフ大公国
キエフ大公国(キエフたいこうこく、古東スラヴ語: Роусь(ルーシ)、英: Kievan Rus')は、9世紀後半から13世紀半ばまで、東ヨーロッパおよび北ヨーロッパの東スラヴ人、バルト人、フィンランド人が、ヴァリャーグの王子リューリクによって創設されたリューリク朝の治世下で複数の公国が緩やかに連合していた国である。
ベラルーシ、ロシア、ウクライナの現代国家はいずれもキエフ大公国を文化的祖先とし、ベラルーシとロシアはそれに由来する名称である。
リューリク朝は16世紀にロシア・ツァーリ国となるまで大公国の一部を支配し続けた。
11世紀半ばの最大時には、北は白海から南は黒海、西はヴィスワ川の源流から東はタマン半島まで広がり、東スラヴ民族の大半を束ねた。
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【ロシアサイド】
雪と氷に閉ざされた真っ白い大地に立つ男がいた。
大地の色に同化しそうな白いコートとマフラーを巻いて男は飽きることなく何処までも続く雪原を眺めていた。
キュッと雪を踏み締める音がして女の声が言った。
辺:兄さん、ベラルーシも攻撃を開始しました。
露:ありがとう、ベラルーシ…
ロシアは振り返り労いの言葉を掛けた。
露:君まで巻き込んでしまってごめんね。
辺:兄さんと運命を共にできるのなら本望です。
私は何があっても兄さんの側を離れません。
露:ありがとう、ベラルーシが側にいてくれるだけで心強いよ。
辺:兄さん、ウクライナ姉さんを取り戻しましょうね、絶対に!
露:勿論だよ、ベラと僕とウクライナ姉さんが揃って『ルーシ』なんだから。
僕たちの『キエフ』を取り戻さないとね。
辺:西側の糞豚共は、ソ連崩壊の混乱にかこつけて、私たちからウクライナ姉さんを盗んだのです!
それなのに、また私たちから姉さんを奪おうとしている!
彼奴ら一人残らず殺してやりたい!
露:ふふ、お手柔らかにね。
辺:手始めにこのスパイを始末してもよろしいでしょうか?
露:スパイ?
普:よっ、イヴァン。
露:プロイセン君…? えっ、何で???
ベラルーシが振り返った先には、古い付き合いのちょっと面倒臭くて鬱陶しいけど、何故か憎めない男が縄でぐるぐる巻きにされて雪に埋もれていた。
その男に向けてベラルーシがナイフを突き付けた。
欧州最後の独裁国家と言われるベラルーシ共和国。
その国の化身ナターリア・アルロフスカヤは、独裁国家に相応しく何処の国の化身よりも懐疑的で好戦的であった。
兄のロシアと姉のウクライナ以外は眼中になく、兄に近づく者は全て敵認定である。
取り分け、ソ連邦時代の僚国東ドイツの化身でもあったこの目の前の男は、兄ロシアのお気に入りであり、その事実がベラルーシは気に入らなかったのである。
普:説明する前にこの女をどっかやってくんねぇ?
雪に溶け込んでしまいそうな白い男は、白に唯一色を添える柘榴色の瞳でロシアに懇願した。
辺:黙れ、ドイツの豚が! 兄さんに軽々しく話しかけるな!
兄ロシアを守らんと敵意むき出しのベラルーシが、男の喉元にナイフを閃かせようとしたのをロシアが寸前で止めた。
辺:兄さん、邪魔をしないでください!
露:ベラ、悪いけど『核部隊』の配備がどうなっているか聞いて来てくれない?
辺:しかし…
露:お願いだよ、ナターリア…
ベラルーシは慕わしい兄ロシアと、縄でぐるぐる巻きにされたプロイセンを交互に見て、徐ろにロシアの手を取った。
辺:兄さんのお願いを無碍にはできません、行って参ります。
ベラルーシは殊勝にそう応えた後、プロイセンの傍らに膝を着くと…
辺:いいか、兄さんにおかしな真似をするなよ!
万が一のことがあったら、この雪を貴様の血で真っ赤に染めてやるからな!
プロイセンは恐怖に顔を引き攣らせコクコクと頷いた。
*****
白金の長髪が雪原の向こうに見えなくなると、ロシアはプロイセンへ手を伸ばした。
その手をプロイセンの白い手が掴み、よいやっと立ち上がる。
プロイセンを縛っていたはずの縄がパサリと雪の大地に落ちた。
露:もう、縛られた振りをして! 縄抜けなんて得意でしょ?
普:おう、俺様に不可能なんてねぇぜ!
二人してプロイセンの身体に塗れている雪を落としつつ軽口を交わし合う。
露:やっぱりプロイセン君にはその色がよく似合うね。
雪の下から現れたプルシアンブルーの軍服は、昔懐かしいプロイセン王国軍の軍服であった。
普:ドイツの軍服を着るわけに行かねえし、軍服を着ていなけりゃ便衣兵に間違われる恐れがある。
もう亡くなった国の軍服なら、ドイツに迷惑を掛けることもねぇだろうと思ってな。
プロイセンの軍服は、俺様が一番格好良く見えるようにデザインされたものだから似合って当然なんだけどな、ケセセセセー
露:わあー、鬱陶しいなぁー、ドイツ君に電話して引き取ってもらおうかなぁー
普:ばか、止めろ!
露:ドイツ君には内緒なの?
普:いや、知ってるぜ。
ちょっくらロシアに行って来らぁと言って出て来たからな。
露:えー、もうー、ドイツ君に睨まれるのは僕なんだよー
普:別に止められもしなかったぜ。
何か言いたそうにはしていたけど、気をつけてとだけ言って送り出してくれたぜ、さすが俺様の弟!
何がさすがなのかはわからないけれど、ここ数日の張り詰めた気持ちが一気に和らぐのをロシアは感じていた。
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【欧米+日本サイド】
米:えっ、プロイセンがロシアへ!? どういうことだい!?
ドイツはロシア側に付くつもりなのかい!?
アメリカが動揺を露わにドイツに噛み付いた!
独:ドイツの代表の俺が此処にいるのに、何故ドイツがロシア側に付いたことになるんだ?
お前の要請に応じてノルドストリーム2の建設から手を引いたし、Swiftからのロシア排除にも協力している。
米:それはそうだけど…、でも、プロイセンがどうして?
君は止めなかったのかい、君の言うことならプロイセンは聞くって…
独:止めて止まる人だと思うか?
兄貴のプロイセン王国はもう無い、あの人を縛るものは無いんだ!
兄貴からプロイセンを奪ったのはお前たちだろ、よもや忘れたとは言わせんぞ!
睨み合うドイツ連邦共和国とアメリカ合衆国!
不穏な空気を感じ取って遠巻きにする国々の中から歩み出た国があった。
日:すみません、ドイツさん、小耳に挟んだのですが、師匠が…、プロイセン殿がロシアにいらしたと言うのは本当ですか?
アメリカの背中をぽんぽんと叩いて落ち着くよう宥めると、日本は柔らかな声でドイツに尋ねた。
独:ああ、北京五輪が終わったとほぼ同時にロシアに行くと言って出て行ったんだ。
日:私たちの中では誰よりもロシアのことをご存じでしょうから、思うところがあったのでしょうね?
ウクライナに立ち寄られるとはおっしゃっていませんでしたか?
独:細かいことは聞いていないが、兄貴のことだからウクライナに立ち寄らないということはないだろうな。
日:それは宜しゅうございました。
ロシア、ウクライナ、双方の実情がドイツさんにもたらされるかもしれませんね。
独:うーむ、それはどうかな?
ロシア側、ウクライナ側のどちらかに加担するとかじゃなくて、ただ単に現状を見に行ったという感じだと思うんだが…?
米:スパイしに行ったとかじゃないってことかい?
独:俺の兄弟としての印象なんだが、ちょっと遊びに行って来る…、みたいなそんな軽い感じだったな。
何らかの情報はもたらされるかもしれないが、可もなく不可もなくといった程度だろう、あまり期待しないことだ。
米:それって、プロイセンはロシア側に付いたのと同じじゃないか!
独:何処がだ? 兄貴は昔馴染みを心配した、それだけのことだと思うぞ。
あの人はあれで情が深い人だからな。
日:アメリカさん。
日本がアメリカに頷いてみせた。
米:…わかったよ、ドイツ、君の兄弟とやらの勘を信じて上げるよ。
でも、プロイセンが裏切ったら、ドイツ、君にもそれ相応の責任は取ってもらうからね。
独:裏切るも何も、プロイセン王国はどちらに付くとも表明していないんだが?
ドイツが挑発するように嗤った。
日:そこまでですよ、ドイツさん、アメリカさん。
NATO会議の時間です、私もオブザーバーとして呼ばれていますのでご一緒させていただきます。
米:そう言えば、フィンランドがNATO加盟を検討しているんだったね?
フィンランドは来ているのかい?
日:ええ、フィンランドもスウェーデンもウクライナへの武器供与を決めたそうですよ。
米:そいつは朗報だね!
アメリカは機嫌を一転させると足早にNATO会議場へ向かった。
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