私が二十代の初めの頃、ある夜の店で、同じ年代の2人組と知り合った
意気投合して、おしゃべりをして、飲み、食べた
その店は、私の行きつけの店だったので私はリラックスしていた
ふたりとも、とびきりハンサムで頭もよく、育ちもよさそうだった
私はそのうちの一人と
その日の内に、恋に落ちた
そのまま、彼の家に三泊して、これ以上は仕事を休めないところで自宅に帰ることになった
駅まで見送りに来た彼は、突然、私の腕をつかんでくいいるように、私の瞳の中を見つめた
自分から私を離すのが辛そうだった
心から辛そうだった
私は一種の高揚感にとらわれて、かれと一時の別れをした
一週間ほどして彼を尋ねた
ところが、何処にも彼の家は見つからなかった
夏の暑い日盛り、うっすらと汗をかきながら大切な彼を捜した
携帯も家電もおかない時代だった
彼は医学生だった
今なら、住所を聞いておくとか、地図を書いてもらうとか
知恵は働くが、私たちは抱き合うばかりで永遠に
私たちはカップルだと信じていた
今でも彼を想い出す
彼は、私のその後の長い生涯を通して
最高の人だった
理想の愛 だった