神様が公式性転換してくだすったんで妄想を書き殴る。
いきなり始まり、いきなり終わる。
【説明】
塾生全員性別反転。
雪男→雪緒
坊→お嬢
子猫丸→子猫姫
後はそのまんま。
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梅雨の正十字学園。
豪華絢爛な建物は、しとしと降る雨の前ではその華やかさを潜めている。
雨の日の昼休みは、それ以外の日に比べてやはり校内で昼食を取る者たちが多く、どこも賑やかだ。突如湧き上がる女生徒たちによる姦しい笑い声に負けぬよう、知らず知らずのうちに誰もが声量が上げている。
「ええぇぇーー!!!???」
そんな中、一際大声を上げる一角が。
それは奥村燐の声だった。
「お前処女じゃねぇの!?」
平日の昼間とは思えぬ卑猥な用語が飛び、周囲は一斉に振り向いた。
「なに?」「誰?」「誰が処女じゃないって?」「なになに?聞こえなかった」
さわさわと囁き合う生徒たち。
勝呂竜子は顔面蒼白に燐の口を叩くように塞いだ。
「阿呆ッ!!! デカイ声で何言うてんねん!!!」
無声音に怒鳴ると、燐は眉をハの字にして手で拝むように無言で謝った。
勝呂は「ったく」と呆れながら燐から手を離した。
「いやだって超ビックリじゃね?」
燐は目をまん丸に向かいに座るピンク色のツインテールを見た。
そのツインテールとは志摩廉。志摩はにやりと笑いながらウインナーパンを食べずに、べろりと卑猥に舐め上げた。
横で見ていた三輪子猫姫が、うっ、と顔をしかめる。
「やめなさい志摩さん。男子もいてはるんですよ」
「あ、せやった」志摩はわざとらしく、たった今気付いた振りをして「出雲くんドキドキしてもぉた〜?」
と猫なで声で隣席の黒髪長髪の男子にすり寄った。
「気持ち悪い!やめろ!」
艶めく漆黒の髪を背中まで伸ばし、ポニーテールでまとめているのは女ではなく男。神木出雲である。
出雲は特徴的な丸い眉毛をぐっと寄せてあからさまに志摩を拒否した。
「近寄るな!変態がうつる!」
「ひどぉ〜い。出雲くんいっつもあたしにこうなんよ〜?ひどいと思わへん?」
志摩は瞳をうるうるさせて、今度は朴朔雄に話しかけた。
朴は出雲の隣で終始苦笑いしていた。
「僕も女の子がそういう事するのはあんまり‥‥」
今も彼は苦笑いしながら出雲の顔色を伺った。
「ほんならどういうのならええの?」志摩は身を乗り出した。「つーか、ぶっちゃけこん中でいっちゃん誰が好み!?」
「え!?」と朴は声を上げた。
現在、彼らは屋内テラスのテーブル席で昼食を取っている。円形の広場には中心に花壇があり、その花壇の中心には女神像が立っている。天井は高くドーム型で、この広い場所が更に広く感じる。ここには燐たちのように昼食中の生徒たちで賑わっていた。
「えーと‥‥」
素直な朴は、志摩に聞かれるがまま素直に友人たちを順番に見ていった。
円形のテーブルを囲む男女7人。
左から志摩、勝呂、子猫姫、燐、そして奥村雪緒。
雪緒はその名の通り雪のように肌が白く、朴はこっそり白雪姫と呼んでいた。
「奥村先生、かな」
と朴は恥ずかしそうに小首を傾げて言った。
「えええ!?あたしじゃないのぉ!?」
と叫んだのは燐。
同時に
「あたしやないのぉ!?」
と叫んだのは志摩だった。
彼らは一斉に雪緒を見た。
「え、あ、あの‥‥」
雪緒は急に注目を浴びてしどろもどろだ。
「どうなん先生?朴くんのご指名やで」
勝呂が意地悪くにやにやしながらテーブルに頬杖をついた。
「雪緒ちゃんご指名入りました〜!!!」と高らかに叫んだのは勿論志摩だ。「ささっ、もっと席寄せて寄せて!」
雪緒を立たせ、椅子を勝手に朴側に近付ける。
「ちょ、ちょっと」
狼狽える雪緒をよそに、燐までもが「じゃーあたしヘルプ入るね!」と椅子を尻につけたまま移動を始めた。
その時、ガタンッと出雲が椅子を蹴って立ち上がった。
「バッカらしい!こんな奴らと飯なんか食えるか!朴、行くぞ!」
彼は朴の腕を取ると、食べかけのパンとドリンクを持って足早に立ち去ってしまった。
「あ〜あ、行ってもうた」
志摩がしょぼんと頭を下げる。
「からかい過ぎや」
と窘めたのは子猫姫。
「神木がキレやす過ぎんねん」
出雲を非難したのは勝呂だ。
「なんだか悪い事をしてしまいました」
雪緒は全く非がないのに申し訳なさそうに顔を曇らせた。
「まーでも丁度いいや」と楽天的に言ったのは燐だ。「で!?」
と志摩に詰め寄る。
「で?って、なに?」
志摩はきょとんとした。
「だから!志摩の初体験の相手って誰!?」
ハキハキとした大きな声に周囲がまた一斉にこちらを見た。
「だからやめぇ!!!」
勝呂がまた燐の口をバシンッと塞いだ。だがすぐさま振り払われる。
「なあなあ誰なんだよ〜!?あたしの知ってる人!?京都で会った!?」
燐は目をキラキラさせて、更に志摩に顔を近付けた。
「教えへ〜ん」
だが志摩はにやにやしながら知らん顔。
「教えてよ〜!カッコイイ!?」
「さあ〜?どうやったかな〜」
「最初ってやっぱ痛い!?」
「さあ〜?忘れたわ〜」
「ねー!教えてよ〜!」
燐はキャッキャとはしゃぎながら志摩の手を取りぶんぶん振り回す。
周囲の視線が痛い。特に男子からねめつけるような、いやらしい視線が集まっている。
勝呂、子猫姫、雪緒の三人は羞恥に赤面しながらそれぞれの昼食をもそもそ咀嚼した。
「姉さん、恥ずかしいからもうやめてよ」
雪緒が言うと、
「せやで奥村!それに志摩!そーゆうんは誰もおらんとこでせぇ!」
勝呂も賛同した。
だが燐は聞いてない。
「ねーねー!おっぱいとか揉まれた!?」「気持ち良かった!?」「フェ●チオとかしたの!?」
と大興奮の大暴走だ。
どんどん、ざわざわしてくる屋内テラス。
「奥村さんっ、もうその辺にして下さいっ」
子猫姫は周りを気にしながら燐を制止する。彼女の頬は真っ赤だ。
「だって!」と燐は子猫姫を振り返った。「だって志摩セックスした事あるんだぞ!すごくね!?」
「デッカイ声でセックス言うな!!!」
デッカイ声でそう怒鳴ったのは勝呂。だが燐も負けてない。
「だって勝呂はセックスした事ねぇだろ!?」
「あるわけないやろ!つか声がデカイ言うとんねん!」
「お前のおっぱいの方がデケェんだよ!」
「あたしの乳の話はどうでもええやろ!お前の話や!」
「あたしだってもっとおっぱい大きくなりたい!」
「デカイ声でおっぱい言うなこんボケ!!!」
「だって勝呂Eカップなんだろ!?イイ(E)おっぱいなんだろ!?」
「な‥‥っ!?」
勝呂は絶句した。だがみるみるうちに顔を赤くする。
「なんっでお前があたしのカップ数知っとんねん!?」
「やっぱりEカップなんだ!?勝呂のおっぱいはイイおっぱいなんだ!?」
燐は絶望に打ちひしがれた。
「じゃかあしぃわクソ女ァ!!!」勝呂は激高した。「つかカマかけたんか!?お前今カマかけたんか!?」
「オカマにカマかけたとか言われたくねぇよ!」
「誰がオカマや!」
「お前だよ男女!!!」
燐はここで何を思ったのか突然勝呂のスカートをめくりあげた。
テラス中の生徒が昼食を吹き出した。
「ギャアアアア!!! 何すんねん阿呆ッ!!! 阿呆ッ!!!」
勝呂は悲鳴を上げながらバチコーンと燐の頬をひっぱたいた。だが燐はびくともしない。それどころか更に興奮気味に勝呂のスカートに顔を突っ込んだ。
「お前チンコついてんだろ!?男女だからチンコもついてんだろ!?」
「ついてるか阿呆!!! お前殺すぞ!?」
「勝呂のパンツ超エロくね!?お前なんでこんな真っ赤なパンツ穿いてんの!?」
「言うなーーー!!!! お前殺す!!! 絶対殺す!!!」
ぎゃあぎゃあ喚き散らす二人を置いて、志摩と子猫姫と雪緒はそっとその場から逃げ出した。
―end―