壁際に追い込む。
怯えと戸惑いが入り雑じった双眼が俺を映す。
分かってない。
分かっちゃあない。
彼の顔を挟み込むように乱暴に両手をつく。
びくり、と彼の身体が跳ねる。
少し涙に滲んだ瞳。
俺しか映っていない瞳。
それに満足する自分に呆れてしまう。なんて醜い独占欲。
困惑を口にしようと、薄く開いたその唇に被りついた。
堅く閉ざされた歯列をなぞって、ナカにある柔らかな舌を堪能する。
粗くなる吐息。
甘さを含む呼吸。
彼の全てが俺に向かう。
彼の立てられた頑なな膝を割り開き、自分の足を差し込む。
身体の境界線が分からなくなるくらい彼に密着する。
薄く、脆い彼の身体を取り込んでしまおうと貪欲な俺が言う。
誰もそれに反対する者はいなかった。
壁についていた両手で彼を絡め取る。
俺の腕の中で彼が徐々に咲き誇って行く。まるで、それは月下しか咲かない花のように儚い。けれど、人を惑わす。
つぅ、と彼の頬から首筋にかけて唾液が伝う。
ご く り
その肢体に飢えた獣のように喉を鳴らす。
――ああ、本当に分かっていない。
分かっちゃあ、ない。
俺は、自分の濡れた唇を舐めて、迷わず彼の首筋に噛みついた。
end
お久しぶりです。齋藤です。
ほぼ1ヶ月近く消えてましたが、そんな中、皆様から心暖まるコメントをいただきありがとうございました(´∀`)
齋藤は果報者です。
急ピッチで過ぎていった1ヶ月でした。
もう、訳のわからない波にさらわれた気分です(苦笑)
一番大きな波は祖母の逝去でしょうか。
あまりにも突然で。
あまりにも衝撃的で。
ほら、今も文章打ちながら泣きそうです(笑)
小さい頃から長期休みになれば祖母の家に入り浸るほどにおばあちゃんっ子だった齋藤にはちょっぴり…結構ショックでした。
人ってこんなに泣けんのかっていうくらい泣きましたねー。
小さくちいさくなった祖母があまりにも頼りなくて、
その身体が焼かれてもっと小さくなって、
あんな小さな箱に収められちゃうなんて、
信じられなかった。
信じたくなかった。
今もまた現実味がありません(苦笑)
でも、泣くだけ泣いて、笑って見送れたので、また頑張ります。
おばあちゃん。
おばあちゃん。
大好きだよ。
見守っててね。