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好きと言ったら

(椎華)


「園長、わたし園長のこと好きですからね」
「? 当然じゃ。ワシのこと嫌う大馬鹿もんなんか置いとくか」
「ふふ、そうですね。けど覚えていてくださいね。わたしはずっとずっと園長が好きですから」
「訳のわからん奴じゃ。それより蒼井華!なんか面白いことしろ。そうじゃ!ニンジンを頭に刺してみろ!」
「無理ですよっ!」

あなたはいつか知ることができるでしょうか。私がいつでも側にいたいと思うことの意味が。
あなたが、私を側に置いておきたいと思う、その感情を。

華は夜空を見上げる。今日もまた、星たちは命を燃やすように瞬いていた。


椎華いいよ椎華(゜∀゜)=З

埋もれたいかも?!

(シシ華)


事故であった。まごうことなくそれは事故であった。

食事の配給をしていた華に、シシドが肉を貰いに近づいた。そこまでは普段となんら変わりない光景であった。そう。シシドの足元にバナナの皮さえ落ちていなければ、である。
足元のバナナの皮に気付かぬシシドが一歩踏み出した瞬間、滑る。前のめりにつるりと。そして見えたのは華の驚いた顔―…華の着ている白いシャツ―…それから。


ぽふり、シシドの頭が顔が二つの柔らかな山に埋まる。果たしてライオンであるシシドにその事の重大さが分かるであろうか。
一方、華は頭では分かっているつもりなのだ。相手はライオン。人間の姿をしようと動物。けれど逆を言えば相手はいまや人間なのだ。しかも人間の「男」である。
華の顔は真っ赤に染まり、目尻には涙が浮かび始めていた。

シシドはいまいち状況が理解できずにいた。自分の前にいるのは間違いなく飼育員だ。そして飼育員の胸部に自分は顔を埋めているのだろう。それならば早く起き上がればいい。何も怪我をしている訳ではない。
なのに何故。
なぜかこの二つの山からなる柔らかな感触と、華の柔らかな体温から離れるのは酷く辛いことに感じられた。

沈黙を破ったのはシシドでも華でもなく、大上とウワバミであった。

「だ、大丈夫!?ハナちゃん!」
「シシド!早く起きろって!ハナちゃん潰れちまうだろが!」

二人(二匹?)が声をかけねばシシドと華はずっとそのままだったろう。
大上がシシドを起き上がらせ、ウワバミが華を起こす。

「ハナちゃん大丈夫?」
「あ、う、ウワバミさん…大丈夫、です。私、大丈夫。シシド君は…?」
「オイ、シシド。お前どうしたんだよ。どっかぶつけたか?」
「本当にもうバカネコ!ハナちゃん潰れたらどうすんのよ!」

三者三様の声がかけられてもシシドは茫然としていた、が。ぼんやりと自分が倒れこんでいた華を見やり、今まで自分がどんな態勢で華の上にいたのか理解すると……
シシドの顔はまるで夕陽のように赤く染まった。
つられるように華の顔も染まり、ほろりと涙が一筋。

瞬間、シシドは一目散で走りだしていた。混乱する頭は何より華から離れることを優先させたのだ。
走る走る。
一刻でも早く頭の中を片付けたい。心臓の激しい鼓動を抑えたい。
けれど、甦るのは華の胸の感触、ニオイ、体温。
間もなく動物園に若い獅子の雄叫びが響いた。




「ハナちゃん、本当に大丈夫かい?」
「ありがとう大上くん、私は大丈夫…けどシシド君が」
「大丈夫よハナちゃん。これで少しは自分の気持ちに気付くと思うし」
「だといいけどなぁ?」
「?」





ナイスハプニング!シシド君やったね!ハナちゃんてばおっぱい大きいから埋もれ甲斐があるってもんよ!そこ代われ!

正面から好きと言ってみる

(シシ華)


「好きだよシシド君」

って言ったら険しい顔して「バーカ!」なんて言われてしまった。

けど、顔真っ赤だし私の隣から離れないんだもん。だからちょっとくらい、期待してもいいよね。
ね?シシド君

またきてしかく

(トイトイと華ちゃん)


私の世界は鈴木が中心!鈴木が褒めてくれるならなんだって頑張れる!ほら見て鈴木!何を隠そう逆立ちだってできるし片足立ちだってできるんだよ!!

「わあ、モコモコ〜!トイプードルですよね!」
「ああ。トイトイって言うんだ」

むむむ。人間の女!どっか行ってよ!鈴木に話しかけないでよ!鈴木は私のなの!

「可愛いですね〜!触っても大丈夫ですか?」

可愛い?いま私のこと可愛いって言った?鈴木聞いた!?いまこの人間、私のこと可愛いって言った!可愛い…。私、かわいい!

「う〜ん、あんまりオススメできない…って、今は機嫌いいみたいだ。これなら大丈夫だよ」
「わあ!やった!」

いいよ人間!触ってもいいよ!可愛いって言ってくれたから特別!モコモコでしょ!ふわふわでしょ!いつも鈴木が整えてくれるんだから!

「ふふ、かわいい…」

あ、人間笑ってる。笑ってる顔かわいい!ね!鈴木!この人間かわいいね!聞いてる鈴木!可愛い!

「オイ、蒼井華!そろそろ行くぞ!」
「あ、はい園長!それじゃあ今日はありがとうございました」
「いや、此方こそなんもお構いできなくて」
「いえいえ!そんな…」

もう帰っちゃうの?人間…蒼井華!蒼井華っていうのね!覚えたよ!鈴木、褒めて!私覚えた!蒼井華っていうんだよあの人間!
蒼井華!いいからね!また私のこと撫でにきてもいいんだからね!ね!鈴木!




トイトイ可愛すぎ。そして下乳。エロスとかわいさのフュージョン体やでぇトイトイ…!

捕食者とワン、ツー

(シシ華)



「それがなんだってんだよ」

一通り華の話を聞いたシシドが言い放つ。

「俺はオス。お前はメス。それだけで十分だろ」
「それとも…やっぱり俺じゃなくて椎名がいいのか?ボスがいいのか?」
「例えそうでも、俺はお前がいい。だから」


(彼は捕食者の目で私を見つめていた)




シシド君に「俺とつがいになってくれ」と迫られて、種族の問題とか話したら一蹴されてしまった華ちゃん。頑張れシシド君!華ちゃんもう少しでおちるぞ!

明日はお仕事なのになにしてるんだろう……
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