第一次産業はほとんどがロングスパンで考えなければならないが、その中でも林業はダントツ!ということはよくわかった。
質の良い木を売れば大金になるが、そんな木にする為に代々の気の遠くなるような丁寧な手入れがあってこそ。
そしてその手入れはパッと見、過酷&地味。
だから林業従事者が減ってるんだろうな。
そんな林業をテーマにしたのがこの映画。
大学入試に失敗したチャラ男がパンフの美女に惹かれて林業研修に飛び込むという
なんとも軽いノリ
ケータイが通じない山村と豊か過ぎる自然と過酷な労働にカルチャーショックを受け逃走を企むが、そんなチャラ男を思い留まらせたのはパンフの美女の実在と遭遇と恋心(つまりスケベ心)
甘やかされて育てられた挨拶もできない都会のチャラ男の林業従事者としての成長物語…のはずだが、成長…したのか?
長〜い目で見てくれる村の人々に育てられたことは確かだが、目を見張るほどの成長があったかどうかは疑問
どうしようもない都会のチャラ男が林業に携わるちょっとチャラい兄ちゃんになったくらいか。
村へ着いた時から祭りまで、ほとんどチャラ男のカルチャーショックの物語だった気もする。へっぽこながらも頑張った、頑張ってたけどね。
村人は研修生を受け入れながらも、温かくもよそ者扱いだし、チャラ男も積極的には村に馴染もうとはしないし。
そんなチャラ男も最初は道祖神を物珍しげに見てただけなのに、中盤ではおにぎり半分供えたり(そしてお供えの効果はバッチリ)、物見遊山でやってきた元カノのサークル連中を始めは歓迎するが、山村を見下した物言いをした途端にキレるという仕事や村に馴染んだ素振りの描写もあった。
村人はだいたい温かいが村の暮らしを手取り足取り教えくれるワケではなく(そりゃ彼らにしたら日常なのだから)、チャラ男は戸惑いと驚きの連続。
それでも道祖神の御利益(?)で山から子どもを救出したことで50年に一度の大祭に参加させてもらえることになるのだが…
この祭り、仕掛けが大きくて大層で大らかで清々しいほど卑猥な祭りである。
面白い、面白いが物足りない
映画的には一番の見せ場だし、こんなコトやる映画はないだろうと思う。
一発本番のリテイクのない撮影で、様々な箇所からカメラを回し迫力ある映像!
なのだが物足りない
う〜ん
エキストラの数もあるが、大木をレールに乗せて落とすという点が迫力あるが迫力不足
日本語ヘンだがそう思った。
あそこはやっぱり男衆が担いで下りるとか、レールなしで落としながら下りるかだろう。
大木に乗ってるのも不慮の事故(?)でチャラ男のみだが、こーゆー祭りは大勢の男衆が乗ってるモンではないか?
原作未読だから原作がどんな描写になってるか知らないが、先祖代々続く祭りで大木を下ろすレールを作っておくというのはアリなのか?ワタシ的にはナイんじゃないかいという気がした。
祭りの為に切り出す御神木への祈り(その前に禊ぎ)から切り出す風景はなかなか勇壮だったのだけどな。
チャラ男はそこで一人前と認められて切り出しに参加…なのだろうけど、なんか違う気がした。
研修が終わって一度は街に帰るチャラ男が山に戻る描写も…まあこんなモンかなぁ。
染谷将太演じるチャラ男の勇気、なかなか良いチャラ男だったと思う。
伊藤英明演じる林業のエース・ヨキ。筋肉俳優といえばこの人なんだろうけど、もうちょっと野暮ったさが欲しかったかなぁ。もうちょっと髭が濃い方が良かったかも。
長澤まさみ演じるパンフの美女・直紀。オトコマエな行動に惚れ惚れしました(笑)
祭りのふんどし一丁のおっちゃんの群れは眼福だったが、おっちゃんらにもうちょっと筋肉欲しかった。人数もね。
祭りの女衆も大祭にしては少なかった。
前夜はともかく祭り本番の人いきれが感じられなかった。
エキストラ集めの限界かなぁ