湯河原さんの足元を、何かが転がっていった。
瞬時に、彼女はそれをねずみと思った。
「うちの地方は“時期”があって、だから別にそれほど驚きもしなかったんです」
いちいちねずみごときで驚くほどでもないくらい、日常茶飯事らしい。
が。
「ねずみじゃなくて、よく見たら」
それは肉塊。一部からは髪の毛、目玉も見える。
転がっていく肉の塊。
「あぁ、そっちの“時期”でもあるよな、って」
やはり彼女は驚かなかったらしい。
何の“時期”なのか、聞いてもわかりそうになくて、鐘子は聞けなかった。
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鐘子が見たこと、聞いたこと。説明がつかないことが、確かにある。
湯河原さんの足元を、何かが転がっていった。
年 齢 | 35 |
誕生日 | 5月26日 |
地 域 | 東京都 |
職 業 | 公務員 |