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お昼前に、


お昼前に、あの人に逢えました
階段の近くでした
逢えるなんて思っていなかったので
挨拶なんて出来ませんでした

やはり
今日の黒のスーツに赤のネクタイが
もっとも、あの人に映えます

明日、その服装を着て欲しかったな
見惚れたかったもの

心が折れてしまいそう。

心が折れてしまいそう。
あの人のせいで。

今日は逢えなかった、と
日が暮れて真暗な空を見ながら
思ってました。

朝、今日の放課後に大学入試の面接の練習があると知り、
職員室へ行った時に逢えるかも、と
期待をしてしまっていたのです。

それだというのに、職員室には
あの人がいなくて
仕方ないと思おうとしても、
もう逢える機会が少ないというのに
と思うと仕方ないなどと思えなくて

そう思いつつ、もう一度
職員室へ行くと
あの人がいたのでした
逢いたくて焦がれていた、あの人が

気付かれないように垣間見て
満ち足りれたと思えました。

それだというのに
立ち尽くしていると話しかけられたのです。
大した内容ではなかったので、会話らしい会話ではありませんでした。

けれども

心が折れてしまいそう。
あの人のせいで。

きちんと迎えなければならない


きちんと迎えなければならない
もう子どもではないのだから

もう、あの人は長袖を着ている
寒い日は、上着を羽織っていて
金曜日には、フリースまで羽織っていた
もう、終わりの季節だ
もう、あの人と他の季節は過ごすことはない
だけれど、だ

きちんと迎えなければならない
もう子どもではないのだから

あの人は本当に物知りです
どの分野でも詳しいのだもの
少女漫画にまで詳しかったのは
知っていたけれど、ここまで―雑誌によって、どう違うかを言える―だとは
思っていなかったので、驚きです

さすが、あの人
嬉しくなってしまいます

そう、他にも知れたことがあります
あの人の弟のことです
名前くらいしか知らなかった、あの人の弟
薬剤師をしていると、今更だけれど知れました
写真だけれど、顔―優しそうな人でした、あの人の面影があるのですが、黒目がち瞳と上がっている口角が違いました―も見ました

あとは、笑ってしまったのが、塩の話
あの人、頬などに流れた汗が乾くと塩になる経験があります、なんて言うのです
そうなるまで、バスケットボールをしていたのかな、あの人

そんな事があって、気付くと授業は終わってしまいます
でも

きちんと迎えなければならない
もう子どもではないのだから

そう思おうと思うのに
あの人に落とした修正テープを拾われなどするから
ただそれだけの事だけれども、揺らいでしまうのです
私には、あの人が必要だと思ってしまうのです

まず言葉が浮かびます


まず言葉が浮かびます
最近、そのことに気付きました
あの人の言葉、声、表情の順番に

あの人が話す言葉は敬語―というよりも丁寧語―で話し方は吃音です

「静かに、して、くだ、さい」

書き言葉にしてしまうと不自然ですが、あの人が言うと自然に聞こえるのは本当に不思議です

そして、あの人は、古い流行語を思わず使っています

“おニュー”や“タカビー”は、聞いたことはあるけれども、あの人が言うと、やはり驚いてしまいます

でも、“アウトオブ眼中”は、聞いたことすらなくて、世代の違いを感じてしまいます

丁度、半分違いますものね、あの人も言っていたけれども

言葉が浮かぶ時は、笑って済ませれますが、頻度は少ないけれども、声が浮かぶ時は、そうでは済みません

数日前は、身体測定の時の出来事と共に、声が浮かびました

言葉は、とるにたらない言葉でした
私が呼びかけていた先生の名前でしたから

幾度もその先生を呼びかけていたというのに気付いてもらえなかった時でした

あの人が私の声に重ねるように、その先生を呼びかけたのです

おかげで、その先生に気付いてもらえたのですが

あの時ほど、泣いてしまいそうな時はありませんでした

やはり私には、この声が必要で、けれども、必要とすることが出来ないと気付いてしまったからでした

そして、不意に想い出してしまい、やはり泣いてしまいそうになってしまいます

そう、まず言葉が浮かびます
最近、そのことに気付きました
あの人の言葉、声、表情の順番に

色褪せなどしない


色褪せなどしない
むしろ色鮮やかになっていく錯覚を感じる

球技大会

行事らしい行事は最後だった

だから、あの人の姿をすぐに見つけられなかった時には、狼狽えてしまった

けれども、あの人は、きちんと観客として存在していた

どうしてかジャージ姿でなかったけれども

では、体育祭が、あの人のジャージ姿を見れる最後だったのかと思うと、口惜しく思えた

もう少し見ていれば良かった、と

あの人は、あいかわらず普段からは想像が出来ないほどに表情が豊かだった

今年も決勝戦でないとはいえ、私のクラスとあの人のクラスとで試合をしていたのも思わず笑ってしまう

それよりも、だ

思いがけない事があった

あの人がバスケットボールの試合に出たのだった

私の学校では、バレーボールあるいはバスケットボールの試合に優勝したクラスが教師たちと試合をする

ということがあるのだけれども、一昨年にバレーの試合があったのだけれども、去年は、なかったから、もう中止になったと思っていたのです

それだというのに

まさか、あるだなんて

しかも、あの人が高校生の頃に夢中になっていたというバスケットをする姿を見られるなんて

理解をしてくれているとはいえ友達の手前、あまり見惚れてなどいられなかったから

気付くと、紺色のジャージ姿で扉から出て来るのだもの、驚きでした

そして試合前に、真面目に準備体操をする姿にも

いや、カラー帽子を被ったのが1番の驚きでした

小学生みたいでした

顎にゴムをあてているから、そして髪型が影響しているのだろうと思います

どうして、あんな小学生みたいな髪型なのだろう

あの人の事だから、しっかりした理由があるのだろうけれども

それよりも、試合について、です

あの人は、大人げなく、本気など出さずに、目立つことなく、けれども充分に活躍していました

まさに、最高の普通、でした

本気など出さなくても、3本もシュートをきちんと決める、あの人は素敵でした

本気など出さなくても、休憩で上着を脱いでいたから、暑かったのでしょうけれども

途中で顎に、あてているゴムが気になったようで帽子の上に避けるという動作も、あの人らしかったです



もちろん、悔いなどありません
あの人のバスケットボールをする姿を見惚れることが出来たのですから

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