五日目、お互いに慣れ始める。

良く言えばベタの存在に慣れ始め、悪く言えば新鮮味を失い始めた頃。
当初、水槽を覗いたり指を翳すと、大慌てで逃げ惑っていたベタが近付いて来る様になった。
懐いている訳では無いだろうけど、「餌が出てくる何か」程度の認識はあるのだと思う。自分の利益になる事の覚えは早い、そこはハムスターに似ている。

この日は三日目に購入したアナカリスを水槽に投入する事にしたが、数えてみるとアナカリスは六本あった。
ハサミで半分に切ったアナカリスを二本入れた時点で、ベタが泳ぎ回るスペースを残して、水槽は一杯になった。
とてもじゃないが、残りの五本は入らない。半値で三本にしとくんだったと、相変わらずセコい後悔をする。

アナカリスの処遇を考えていた時、理科室のオオカナダモが日光だけで自然繁殖していた事を思い出した。
そして、『ソロモンの指輪』第二章に登場した水草のカナダモの挿絵が、アナカリスに酷似している事に気付く。
オオカナダモ=アナカリス?
自家栽培を目指し、アナカリスの入ったバケツに液肥を添加する。

肝心の、半分に切ったアナカリスを水槽に入れた後のベタはと言うと、尾鰭にピンホールが生じる事は無かったので、嫌いでは無い様子。
アナカリスに酸素を出して貰う為にも、水槽を窓際へ移動させる。水槽を乗せる台を購入、200円。

沈澱する汚物をプラレンゲで除去していたものの、余り除去出来ず、汚物が溜まり始める。

餌を吐き出している疑惑が浮上する。

この日の夜から『ソロモンの指輪』で記述があった、泡巣を作り始める。どうすべきか悩む。