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【PM5:30/ロロノア家】
「それで……どうして、その…来希ちゃんの浮気相手におれが抜擢されたんだい?」
「サンジくんはエース張りに優しいから。」
「え…そんな事ねェと思うんだけど……。」
「そんな事あるよ。それにサンジくんは確かレディとの経験はないんだよね?」
「ッ!?」
「…来希で良ければ……抱いていいよ?」
「なっ!!?」
「ううん…抱いて、下さい…。来希…エースとの経験しかないし、ハジメテでもバカになんかしない、から…っ……。」
「来希ちゃん…愛する人がいるのに、他の野郎にそんなお願いなんてしちゃいけないよ?“辛い”って顔に書いてあるし…。」
「それよりおれの前で堂々とアホ眉毛を誘うなんてバカかこいつ。」
「うるせェ!傷心のレディをバカ呼ばわりしてんじゃねェよ!!」
「だいたい、てめェが勝手に見た夢で旦那と姉がヤってたからって、腹いせに自分も浮気するって…訳分かんねェよ。」
「いいからマリモは黙ってろ!!」
「へいへい。…だが一つだけ言っておく。来希…、」
「?」
「こいつはおれのモンだ。」
ちゅうっ
「…ッ!!」
「バッ!!おま…!」
「…サンジくん、ごめんね。ご迷惑をおかけしました。」
「ら、来希ちゃん?!」
「おうち帰る…。」
「フン…。早く帰ってエースとじっくり話し合え。ま、一回ヤれば簡単に仲直りできるんじゃねェか?」
「マ〜リ〜モ〜!!」
「ん?お前も仲直りのセックスがしてェのか?」
「違うわボケェ!!」
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【PM6:30/木村家】
「初香、ただいまだよい。」
「マルコさんおかえり〜!」
ちゅっ…
「おりこうにしてたか?」
「うん…でもマルコさんがいないこの家でお留守番は淋しかった。」
「そうか…今夜も可愛がってやるから安心しろよい。」
「ふふ…マルコさんだ〜い好きっ!!」
「おれも大好きだよい。」
ちゅっ、ちゅっ、ちゅうっ…
「…あ、ねぇマルコさん。朝の来希からのメールの件なんだけど…、」
「ああ…事の真相が分かったよい。」
「!もしかしてエースから聞いた?」
「そうだよい。くだらな過ぎる。」
「まさか来希の夢の中でエースに顔射されるとはね〜…。来希ったらいつの間にハレンチな子になったのかしら……ってマルコさん?」
「顔射…?」
「うん。来希が今朝くぅちゃんに話してった夢の内容。他にも色々激しかったらしいよ?」
「……今夜は顔中…いや、全身にぶっかけてやるから覚悟しろよい。」
「ッ?!え…マルコさんもしかして嫉妬?」
「…うるせェよい。今すぐぶっかけるぞ?」
「!!それも捨てがたいけど…初香、来希んとこに抗議しに行かなきゃ…。」
「あ〜…それなら少し待てよい。」
「なんで?」
「エースがお前の妹に何やら話すって意気込んでいたから、今は夫婦二人にしといた方がいいだろ。」
「そうだね。じゃあ…1回だけ、ヤる?ただしぶっかけるのは、来希に抗議し終わってから。」
「抗議は絶対なのか…。まァいいよい。お姫さん、ベッドに行くよい。」
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【PM6:45/ポートガス家】
ドンドン!!
「おい来希!いい加減出て来いっ!!」
ドン!ドンッ!!
「………。」
「来希!話があるんだ!!」
「…来希は今、エースと話したくない。」
「〜ッ!!らい「来希っ!!おれ漏れそうなんだっ!!早く出て来てくれ〜!!」
………ガチャ
「…ルフィ、どうぞ。」
「ありがとう来希〜!!」
「ルフィ…!ありがとな!!」
「何がだあ?おれはクソがしてェだけだぞ!じゃ!!」
バタン!
「「………。」」
「……ここじゃ何だから、寝室に行くぞ。」
ぐいっ!
スタスタスタ…
バタン…
「…来希、こっち向け。」
「………。」
「ハァ……じゃあそのままでいいからちゃんとおれの話聞けよ?」
「………。」
「おれは怒ってんだ。」
「っ、け、今朝の…事?」
「!あ〜…まァ来希がバカな事言いそうになってた事も凄ェ腹が立ったけど、今ムカついてるのはそれじゃねェ。」
「?」
「おれがイラついてるのは、お前の夢の中のおれに対してだ。」
「え…?」
「今回の浮気騒動…おれは断じて悪くない。悪いのは夢の中のおれ…偽物のおれだ。でも…その偽物野郎が、おれの大事な来希を泣かせやがった。」
「!」
「偽物のくせに……お前が泣いちまうくらい、その偽物は来希に想われてんだって思うと、心の底からムカつくんだ。」
「…っ、」
ぎゅうっ!!!
「お前は!おれだけのモンだ!!おれだけを見ろ!!おれだけに笑え!!おれだけに怒れ!!おれだけに照れろ!!」
「エー…ス……。」
「おれだけを……愛してくれ来希…!!!」
「…ッ!!」
ぎゅぅうううっ!!
「エース…ごめんね…。」
「来希…。」
「そうだよね、夢のエースは声も顔も体つきも…まんまエースだったけど、でも…アレはエースじゃ、ない……。」
「………。」
「だって“本物”は、今、来希の目の前にいるエースだけだもんね…!」
「ああ…。“おれ”以外はみんな偽物だ。」
「うん…来希、どうかしてた。エースはこんなに来希を想ってくれてるのに……来希以外を抱く訳ない。」
「!当たり前だバカ…。」
「ホントごめんね?エースを傷付けちゃったよね…。」
「いや…来希が今笑ってるから、それでいい…。」
「エース、」
「ん?」
「来希の事、ここに閉じ込めておくの…?」
「?何言ってんだ?」
「“おれだけに笑え”とか…普通に生活してたら難しいなぁと思って。」
「ッ!?そ…それはモノの例えっつーか、その…だな…、」
「あはっ、分かってるよ大丈夫!」
「からかうんじゃねェよ…。」
「えへへ……でも、四六時中エースと一緒にいられるって物凄く魅力的。閉じ込められるのもアリかも…。」
「バッ…!お前…んな事言ったら、本気で離したくなくなっちまうだろうが…。」
「…離さないで。」
「!」
「偽物って分かっていても、やっぱりあんな夢はもうイヤ…。二度と見ないように、エースが…ずっとずっと来希にいい夢を見させて、下さい…。」
「ああ…任せろ。」
ちゅ…
「来希、」
「エース、」
「「愛してる。」」
*END*