「ねェねェサンジくん、今日ね、永実のママ友に、うちら4兄弟だと思われてたことが発覚したよ」
初香ちゃんが嬉しそうに云った。
「うちらって、くぅちゃんと初香ちゃんと来希ちゃん?」
ん?なら3姉妹じゃねェのか?
「それに、サンジくん足して4兄弟」
おれもかい。
「運動会とか遠足とか、お弁当の日はサンジくんにお願いしちゃうじゃん?普通はそんなの頼まれてもやってくれないよ?って云うからさ、家族ぐるみの付き合いだからね〜って云ったら、家族じゃないの?だって。家族でも、こんな密な感じじゃないらしいけど、普通って何なんだろうね?うちら、普通だよね?サンジくんは、お弁当作るのめんどくさい?」
初香ちゃんが云う“4兄弟”に、封印していた過去を思い出して、ちょっと難しい顔をしていたらしい。
「サンジくん?」
「いや、なんでもねェよ。チビたちの弁当作るのも楽しいし、問題ねェよ」
そう?と初香ちゃんはイマイチ納得いかないような顔をしたけど、
「厭じゃないならいいの。あ、掃除しないと永実が帰ってきちゃう!じゃあね」
と、家に帰って行った。
4兄弟……か。
同じような顔の3人が浮かんで消え、くぅちゃんと初香ちゃんと来希ちゃんの顔が浮かぶ。
「こっちのほうが、よっぽど本当の兄弟だと思えるよ」
悪い夢のように、過去のことは再び封印した。
*おちまい*