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突発銀ちゃん

「ドキドキしたい」
「は?」
「ドキドキしたいっつってんだろこの天パ」
「そんなキレられても困るんですけど」
「ドキドキが足りねー、トキメキが足りねー」
「いつもそんな口調じゃないよね?アレ、なんか目が冷たいんですけどォォォ!」
「別れようか、銀ちゃん」
「ドキドキが足りないから!?」
「嫌ならドキドキさせろ、キュンッてなるコト言え」
「否、でも銀さんそんなもの求めてないし」
「じゃ、別れようか」
「お前がいればドキドキしっぱなしだから求めてないって言ってんの」
「……ドキドキが足りねー」
「今イイ事言ったと思った自分死ね」
「私も銀ちゃんがいれば何もいらないよ?」
「キューン!」
「ウソだけどね。間に受けんなよ天パ」
「もう死にたい」
「銀ちゃんが死んだら生きていけないよ…」
「キューン!」
「ウソだから、間に受けんなって言ってんだろ」
「もう死にたいィィィ!」
「でも、好き。これは本当」
「キューン!」
「だからドキドキさせろ」
「あ、そこに戻っちゃう?」
「早く」
「あー、まぁ、その………結婚するか」
「……決めつけんな天パ」
「すいません!結婚してくださいィィィ!!」
「いいけど」
「あ、まじで」
「ウソ、間に受けんなって何度言ったらわかるんですかコノヤロー」
「銀さんもう生きていけない、結婚してくれなきゃ死ぬ」
「収入が安定してから出直してこい」
「安定したら結婚してくれる?」
「…いいよ」
「今度は本当?」
「疑うの?最低」
「(さっきまで散々嘘ついてただろお前ェェェ!)」





本当はドキドキなんて求めてないよ

キヨ夢



「何人目の彼女なの?」

ドキン、やらギクン、やら心臓がおかしな跳ね方をした。そろりと彼女を見れば、何も問題など起こっていないみたいに普通の顔してパフェを掬っている。それがふっくらとした唇の間に消えて行くのを眺めながら、俺はさっきのは幻聴かななんて都合良く考えてみた。

「一週間で4人来たよ、キヨの彼女ってコ」

今度はもっとおっきく跳ねた心臓に、益々まずいなぁと自覚する。話す事がメインというよりは食べる方がメインの今のうちに、言い訳を考えなくちゃいけない。

「全部元、だよー」

「一人は2日前からってコだった。私と付き合い始めたのは?」

「は、半年前から…です」

あぁ、まずいなぁ。最低限の化粧しかしない彼女の目を見て、もしかして泣くのかななんて確かめてみたら、彼女はタイミングよくパフェから俺に視線を移して来た。全然泣きそうじゃないや。

「皆、私に言うのよ。キヨは私のだから別れてよって」

「あは、は…」

「何故か私の痕跡だけ見付けるみたいね、だから気になったのよ、私は上から何番目?」

「一番に決まってるよ!」

直ぐ様答えた。ら、他にも彼女を作ってたって肯定してしまった。あぁ、殴られるかなぁ。

「じゃあ、本命は私だったのね」

過去形にされてしまった。今までで一番頑張ったコなんだけど、アンラッキー。

「俺、フラレるの?」

カラン、パフェのグラスにスプーンが戻される。薄ピンクに色付けされた指先が、自然に伝票を取った。

「どうして他のコが私の所に来るか分かる?」

「…分かんないよ」

ホントに、他のコの痕跡なんて残してない筈なのに。

「寝言で呼ぶそうよ、私の名前」

クスリと笑った彼女が、そのまま俺に手を差し出した。なんだ、俺って一途なんじゃん。

「キヨって私の呼び出しにすぐ来るわよね」

浮気する暇もないほど呼び出してあげようか?彼女の微笑みがやけに心地よかった。



鎖で繋いでくれても良いよ!
なんだ、彼女の事めちゃめちゃ愛してるよ

突発ルカワ


花道とは中学校からの言わば悪友で、洋平達と共に桜木軍団なんて言われる中で、私は唯一の女だったという訳だ。
高校に入ってすぐ、いきなりバスケなんて始め……急激に青春仕様になってしまった花道。
洋平が青春してるアイツを笑いに行こう、と提案してそれに何気ない気持ちで乗っかり、訪れた先…――バスケットボールが弾む音が響く体育館で、まさかの青春が私を待っていた。




「あーもー!何なんだろう、めちゃくちゃカッコイイ…」

うんざりしたような花道の視線を受けながら、私はココにはいない流川君の事を考えていた。
いわゆるヒトメボレ、真剣な表情でボールを追う彼はとにかくかっこよかったのだ。

「あんなキツネどこがいいんだ?」

本気で理解出来ない、と言いたげな花道。むしろ私はそれが理解出来ない。

「まず顔」

「む…」

「あと、バスケ以外に興味がないとこ」

「オマエにもな!だはは!」

「るせー花道、晴子ちゃんもオマエに興味ねーよ」

「そんなコトはない…!」

如何に自分と晴子ちゃんが良い感じかを語る花道は無視して、私はクールな流川君の姿を想像してみた。

「マジ好き、流川君でどんな時に照れたりするのかしら?」

「……どあほう」

「む、キツネ!」

花道が私の後方を見て眉を寄せた。………マジでか!
そんなベタな事があってたまるか、と小さく呟きながら振り返ると、本当に流川君が私達を見ている。

「赤木先輩が呼んでる」

「ゴリめ!この天才になんの用だー!」

単細胞が走って行ってしまい、微妙な空気の私達。

「…どあほう」

もう一度そう言われ、やっぱりクール!なんて惚れ直す私の目に映ったのは、耳を赤く染めた流川君。






彼はどんな時に照れたりするのかしら?(あれ、もしかして脈アリ?)


――――――――――
脳内スラダン祭(笑)
ルカワ夢なのに流川はほとんどでないと言う罠

言いたかった言葉は、




シリウスと彼女が寄り添うように歩くのにも見慣れた、リーマスが切なく顔を歪める事もなくなった。

私は

私は…――




言いたかった言葉は、言えなかった言葉








天気が良かった、だけどリーマスの顔色は悪かった。
それもその筈で明日は満月だから。1週間前から段々と顔色が悪くなって行くリーマスを変に思いつつも毎日を送っているジェームズ達は、いつか満月と彼の関係性に気が付くのだろう。
けれど今はまだ謎のまま、その事に気が付いているのは私だけで良い。

彼女は、気が付いていたのだろうか。それともただ、何も打ち明けてくれないリーマスに抱えきれない何かを感じたのだろうか。

「此処にいたんだ。皆探してたよ」

疲労感の滲む顔に笑顔を浮かべて、リーマスが私の横に並んだ。中庭で空を睨む私を見つけた時、何を感じたのだろう。彼の瞳には恐怖の色があった。

「具合、悪いのね」

「ちょっと、ね」

断定した言い方に苦笑するリーマスは、私に倣って空を見上げた。眩しそうに細められた目は諦めの色に変わっていた。
彼は、私が気付いている事に気が付いたのだ。触れて欲しくない、けれどそのままでいられるはずもない。
そう、言っている気がした。

「生まれつきなの?」

「……いや、小さい頃にね、咬まれたんだ」

躊躇するような沈黙の後、リーマスは本当に小さい声で言った。

「貴方がなんであろうと、私には関係ないわ」

「それは、同情かい?」

冷えきった声に、心が震えた。違う、私は…――
様々な言葉を脳内に並べて、そのどれもが口から出る事なく消えた。
ただ無言でリーマスの隣から去る私を、彼はなんと思ったのだろう。




口をきかなかった、目を合わせなかった。
私達の異変に気が付いてもどうしようもないジェームズ達には申し訳ない事だとは思う、けれどリーマスに関わる事を拒絶された私には静かに待つしか何も出来る事はなかった。

またいつか、彼と話をして、笑って…――





「あいつが具合悪くなるのって、周期的じゃないか?」

私とリーマスが話をしなくなってから、10回目の満月。シリウスが人気の無くなった談話室でポツリと溢した。
とうとうこの時が来たと思う私をよそに、ジェームズは静かに談話室の窓から外に視線を投げた。ぽっかりと浮かぶ満月――頭の良い彼らの事だから、もう答えは出てるはず。

「リーマスは…狼なんだね」

万が一を恐れてか、ちゃんとは言わなかったジェームズに少し感謝しつつも、私に向けて確認を取るような言い方に疑問を抱く。

「お前は、いつから知ってたんだ?」

シリウスにそう問われ、私がずっと前からその事実に気が付いていた事まで見抜かれていた事を知る。

「3年の時…私は空を良く見ていたから」

「そっか、ずっと黙ってたんだね」

責められているような気分になった私は、黙ってうつ向いた。

「俺たちはそんな事であいつと友達じゃねぇとか思わねぇよ!」

そんな理由じゃない、ただ私は…――

「特別になりたかっただけ、ただ好きなだけだったのに……」

思い上がりも良いとこだった、知られたく無い事を知ってもリーマスを好きでいれる。側にいれる人になりたかっただなんて、そんなのは私だけじゃない。
そして、そうなれるのは私じゃない。




「君が言ったの?」

翌日、大広間で昼食をとっていた私にリーマスが言い放った。なんの事、なんて聞かなくても分かった。

「違う…私は」

「楽しい?弱みを握れて」

畳み掛けるように言うリーマスは、怒っているのに悲しそうだった。
私は否定するのも忘れて彼を見上げて、どうしたらその悲しみを取り除く事が出来るのだろうと考えてた。

「なにか、言ってよ…」

「リーマス…」

しゃがみ込むリーマスに手を伸ばせば、触れる直前に払われる。拒絶と救いを求める彼はとにかく危うい。

「ジェームズ達は、そんなの気にしないって言ったんじゃないの?」

リーマスの前にしゃがみそう言えば「噛みついて逃げて来た」と弱々しい声が返ってくる。
雰囲気もそっちのけで噛みついたってお前、なんて考えて、大広間に駆け込んで来たジェームズ達に片手を挙げて場所を知らせる。

「私は噛みつかれようがなんだろうが、リーマスが好きだよ」

ずっと言いたかった言葉をリーマスに告げて、ジェームズ達と場所を交換した。
弾かれたように顔を上げたリーマスがジェームズ達が目の前にいる事に驚いて逃げ出し、さらにシリウスに捕獲される一連の動作を見ながら、私は久しぶりに彼の笑顔を見たような気がした。



――――――――――――
夢ネタリーマスの続き。まだ続くかも?

庭球夢(日吉)



柔らかい色をした貴方の髪が好きです。


唐突に、本当に唐突にそう言われた。
俺はいきなりそんな事を言い出したクラスメートを正面から見据え(向かいあって日直の仕事をしてたから、顔を上げれば自然にそうなる)その言葉の真意を聞こうとした。

「日吉君の髪、優しい色してます。私、好きです」

俺が口を開くより早くそう重ねた後、俺の返事を待つでもなく日誌に視線を落とした。

「なんなんだ、お前」

思ったままを口にして、こいつがまた視線を上げるのを待った。

「なんなんだ、と言われましても…好きだと思っただけです」

待ったのに、視線を上げもしないこいつにイライラとする。髪が好きだからなんなんだよと思っている俺に気付いていないのか、日誌の最後の欄を書ききったこいつは静かに日誌を閉じた。

「優しい貴方に良く似合った髪の色だと、思います」

にこり、と笑いかけられて絶句する。優しいだなんて、何を思ってそんな……

「優しい貴方が、私は好きです」

そのまま鞄を持って教室を出ていこうとしている事に気付いて慌てて立ち上がれば、扉に手をかけたまま、彼女は振り向いた。

「日誌、出しときますね。部活頑張って下さい」

ちょっと待て、今のは告白じゃないのか?問いかけたかった言葉は、口から出てくることもなく萎んでいった。





(優しいなんて、初めて言われた)





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日吉が好きです(何)
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