敵サイドでは元老院が幹部3人を召集、飛焔を使い何やら計画を続行させようとしている模様。

飛焔の一言で元老院の長は「監察官候補」なる人間の迷い人(マヨイビト)を見せようとする。飛焔達幹部3人は元老院を長と若い男性と共に館内を移動した。



元老院本拠地・東館。そこは異空間に迷いこんできた人間数人が生活している。


部屋は個室を与えられているが、今の時間帯は監察官候補者として勉強中。この時点で彼らは洗脳されていた。
ある部屋に迷い人は候補者は全員集まっている。


元老院内部ということで、彼らも仮面を装着していた。人前では仮面着用ルールも候補者も同じ。例外は食事だけ。
監察官候補はまっさらな白い仮面だった。服装もライトグレーのローブにフードを目深に被っている。
出で立ちはフードの色以外元老院の元締め2人とほぼ同じ。


長は幹部達にに説明する。


「流葵に代わる候補者がこの5人だ。この中から1人だけ、元老院監察官になれるシステムになっているのだよ」
「なぜ迷い人を…」
飛焔は戸惑いを見せる。

「迷い人は使いやすいのだ。流葵を見たらわかっただろう?彼女はずっとメギドだと思い込んでいた。仮面の掟も効いてるがな。元老院において仮面は重要なのだよ」


なぜ元老院は人前では仮面着用なのだろうか。釵游は引っ掛かっていた。
長とこいつ(若い男性)も、互いの素顔を知らないということか…。

それにどいつもこいつも似たような出で立ちだ、なおさらわからない。
女性用の仮面はラインストーンの装飾など、華やかな装飾があることからすぐに性別だけはわかるが…。



長は候補者の様子を見ると東館を出た。

鐡は元老院とは違う場所にいた。そして不満げに様子を見ている。
「元老院のやつ、本格的に動き出したか…。あのジジイ、人間使って何を企んでやがる…」


鐡の言う「ジジイ」とは、元老院の長のこと。
鐡は今動けば元老院と衝突することはわかっていた。しかし、可愛い部下の釵游と杞亜羅を元老院に取り込まれるとはな…。



ある日。4件目の放火事件が起きてしまう。隊員達は待機していたにもかかわらず、飛焔はわずか約300mずれた場所で怪人態になり、放火した。
ゼルフェノアと消防隊は被害を最小限に食い止め、人的被害もない。



宇崎と解析班は読みから外れ、焦る。このまま行けばマズイぞ…!先回りしていたのにやられるとは…。
解析班の部屋にいる朝倉から通信が入った。

「犯人の怪人、名前が判明したわよ」
「…名前?」
「飛焔(ひえん)、飛焔と言う青年よ。人間態は青年だけど、怪人態になると豹変する」
「よく調べたな…」

宇崎は感心する。


「感謝するなら神さんに言ってよ。あとは飛焔の行動パターンを分析するしかないわ。
12年前の悲劇の再来を再現するとすれば…最後は間違いなく犠牲者が出る。規模も大きいから私達が解析やらなくちゃ」
「朝倉、本気出してるな」

「私達は戦闘に不慣れなぶん、バックアップで戦闘隊員を支えるしかないのよっ!解析班にもプライドはあるからな!」


朝倉は意外と熱い。



解析班のチーフ・朝倉は矢神と凸凹コンビのようになってるが、解析班において矢神は必要な隊員。

2人ともインドア派で引きこもり体質なせいか、激務になっても気にならない。


なぜなら解析班の部屋の中には仮眠室という名のスペースがあるからだ。そこには寝泊まりする率の高い朝倉・矢神・神の寝袋が常備されてる。


朝倉と矢神はよく仕事の合間や休憩中にゲームをしている。
オンラインゲームから情報収集していることもある。遊んでいるわけではない。…たまにがっつりと遊んでいる時もあるけど。


解析班は6人いるが、だいたい朝倉・矢神・神の3人だけで回ってる。
解析班は戦闘隊員のような昼夜交代制ではない。基本的に早番だけみたいなのが解析班。



解析班の部屋。朝倉は次々と指示を出していた。


「零課(警察)との連携で怪人情報が次々と出てきたけど…まだ、まだ情報が足りないわ!
このペースだと5件目は数日後に起きると見てる。警察も同じ見方をしている。いい?皆、飛焔の行動パターンをさらに分析して。人間態もわかったからさらにわかるはず」

「チーフ、熱いっすね」
「矢神も動きなさいよ」
「へーい」
矢神は一見すると冴えない眼鏡だが、解析モードになるとキャラが変わる。元凄腕ハッカーの神は淡々と作業していた。

神はゾーンに入ると、小さい声でぶつぶつと呟いてしまうらしい。
「この区域がターゲットなのは間違いない…。5件目が出るとするなら…」


朝倉は神を横目で見ながら指を動かしてる。
神さん、ゾーンに入ってしまったか。しばらく話しかけないでおこう…。



警察でも零(ゼロ)課があわただしく動いていた。零課は警視庁の怪人案件の部署。
怪人案件はゼルフェノアがやっているためにほとんど機能していなかったが、今はかつてのメンバーが集結している。


刑事の西園寺は仲間と共にゼルフェノア解析班が出した、今現在の解析データと警察が導き出したデータを合わせてる。


「5件目が起きたらいよいよマズイのはわかってるだろ!?飛焔の足取りを追え!」
「西園寺警部補、確かに規模は拡大しています。ゼルフェノアのおかげで、ギリギリ人的被害は出ていませんが。12年前の再来なら、負傷者が出たのは7件目…。規模が大きいとなると…」

「束原、放火犯は怪人も同じ心理だと思うか?」
「わかりかねますが、いてもおかしくないはずです」



飛焔はとある廃ビル内で次なる放火のターゲットをじっくりと決めていた。

美しく燃える様を見たいのに、邪魔される…。地獄絵図を見せてあげようか?人間どもが。