遠のく

「お前、SやKの時は、うるさい、って怒鳴るほどゲラゲラ笑って電話してんのに、まったくなのな(笑)」
全然楽しそうじゃなかった、と榊。
クーラーのない別室にいたから、倒れたのか心配にもなったとも。


盆シーズンによる、せっかくのノー残業ウィーク。
一緒にいられる時間を二時間も(諸々込みだと四時間近く)、知人の電話に奪われたのだ。

電話開始の約束の時間を身勝手すぎる都合で急遽繰り下げられ、
話は、こちらの回答関係なく、本人の思考そのままの無限ループを繰り返し、もはや会話ではなかった。

僕はゴミ溜めか。

自分が病んでくるし、荒んでもくる。あまりにアホらしくなって。



就寝準備万端な寝室に倒れこめば、榊は

「おつかれさん。」

と労ってくれるだけ。

榊はちっとも責めないんだ。