パンケーキ

榊が食べに行きたいと言った。
ちょうど2、3日前にインスピレーションがよぎったところだった。
(自分たちは時々相手の環境や思考に関する匂いや印象を察知したりする)


付き合い出した頃は、甘いものなんて一切受け付けなかったヤツなのに。ここまで欲するなんて珍しい。

ちなみにどこに行きたいのかと尋ねたら
万惣など老舗系ではなく
最近の小洒落たふわっふわ系のところに行きたいらしい。
つくづく珍しい。


週末休めたら連れてってあげたい。冷めてなければ。

素パケディサラダ

小雨降る路地を眺めながらの朝ごはんは、スパゲティサラダとパン(例の昨日の白い食パン)だった。

茹で上がった麺にスライスした胡瓜とさらし玉ねぎ、ハムを加えたところで

「オイルと塩コショウで食べたいな、」

とぽつり。
もらしてしまった。


ポテトサラダもマカロニサラダもスパゲティサラダも、マヨネーズと和えて仕上げるが。マヨネーズと和える前、ツヤツヤとしたパスタやほっくほくとしたイモと、しっとり色鮮やかな野菜。その時点ですでに美味しそうだと思っていた。

ボウルからもくもくとのぼる素朴な香りと湯気を顔に浴びながら、マヨネーズをかけてしまうことは、美しい絵画に真っ白な絵の具を塗りたくるのと同じくらい、もったいないことのようにも思っていた。


親の手伝いで料理をしているのならそんなことはできないが、榊ならできる。できてしまう。

こんな変な思いつきや願望も、もらせてしまう。そして叶えてもらえたりもする。……だから、なんでも口にしているふしはある?が。
(榊は探究心があり、「実験」が好き)



果たして、食卓にはプレーンなスパゲティが、フライパンのまま出された。
オリーブオイル、塩、コショウ、念のためのマヨネーズ、パルメザンとフレンチドレッシングも並び、思い思いに調味して食べさせあった。

食パン

冷蔵庫の上に置かれた真新しい食パンの包み。
フリンジがきれいに波打ち、ピンと立っている。余計なシワはない。

中のパンは、耳も体も白い、ほわほわしたパン。柔らかそうだ。

自分が仕事や接待をしている間に、榊が、自分のことを思ってパンを買っておいてくれたこと。
嬉しさに胸が苦しくなる。


そう、今日は嬉しいことと哀しいことがいっしょくたにあって、よくわかない日だった。


だから、あのパンの白さを見たとき、胸がすっとした。そして幸せな気持ちになれた。


この家には榊からの愛があちこちに散りばめられている。

首筋

バスクシャツからのびた榊の首が綺麗だ。

なにがどうと、うまく説明できないけれど、いつも見惚れてしまう。
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