2016-1-28 22:43
葬
母の、さいごの悲痛な叫びと姿が焼き付いて離れない。
前を見続け、母を抱き締め続けた父親が、強かった。
僕らこどもはなにもできなくて
母と父、そして無抵抗に吸い込まれてゆく棺に、視線を往復させるしかなかった。
でもわかる。
ガバッと口を開けた炉の入り口の残酷さ。
金属の冷たさと
無機質な白さと、影。
僕もねゾッとしたんだよ。
通夜よりも
告別式よりも
一番つらかった。
さいごだから、じゃないよ。
あのつらさは。
僕も、いつかのこと、耐えられそうにない。