蛇の目でお迎え

図書館に逃げてきた。

榊とうまくいかなくて。



それは僕に(も)原因があるんだけど。




気づいたら
着信


さっきまでなかったのに
途端に4回も。



ふと目をやったら
次々とやってくる人たちが傘をエントランス外でバサバサさせている。雨だ。



電話した。
心配させたくなかったし
話したかったし。


冷たい出方されることも覚悟していたら

「いまどこっ、」

と叫ばれた。



傘持って迎えに来てくれるって。

僕の気持ちを先回って行動してる。先に諦めて、そして折れてる。



「図書館 -そこ- でまってなさい!」



申し訳なくて外の庇の下で待っていた。

風が強くふきつけ、雨が顔から体からたたきつける。

おじいさんが風にあおられてよろける。


いてもたってもいれなくて、飛び出した。
距離を縮めれば、少し早く帰れる。避難できる。
心配だ。

「…、ちょっ、あーた、どこにいんの!」


すぐの曲がり角で対面した。

カッパ着て、傘さして、傘持って現れた。

早々に叱られた。


図書館から20歩出ただけで怒られた。