素パケディサラダ

小雨降る路地を眺めながらの朝ごはんは、スパゲティサラダとパン(例の昨日の白い食パン)だった。

茹で上がった麺にスライスした胡瓜とさらし玉ねぎ、ハムを加えたところで

「オイルと塩コショウで食べたいな、」

とぽつり。
もらしてしまった。


ポテトサラダもマカロニサラダもスパゲティサラダも、マヨネーズと和えて仕上げるが。マヨネーズと和える前、ツヤツヤとしたパスタやほっくほくとしたイモと、しっとり色鮮やかな野菜。その時点ですでに美味しそうだと思っていた。

ボウルからもくもくとのぼる素朴な香りと湯気を顔に浴びながら、マヨネーズをかけてしまうことは、美しい絵画に真っ白な絵の具を塗りたくるのと同じくらい、もったいないことのようにも思っていた。


親の手伝いで料理をしているのならそんなことはできないが、榊ならできる。できてしまう。

こんな変な思いつきや願望も、もらせてしまう。そして叶えてもらえたりもする。……だから、なんでも口にしているふしはある?が。
(榊は探究心があり、「実験」が好き)



果たして、食卓にはプレーンなスパゲティが、フライパンのまま出された。
オリーブオイル、塩、コショウ、念のためのマヨネーズ、パルメザンとフレンチドレッシングも並び、思い思いに調味して食べさせあった。