食パン

冷蔵庫の上に置かれた真新しい食パンの包み。
フリンジがきれいに波打ち、ピンと立っている。余計なシワはない。

中のパンは、耳も体も白い、ほわほわしたパン。柔らかそうだ。

自分が仕事や接待をしている間に、榊が、自分のことを思ってパンを買っておいてくれたこと。
嬉しさに胸が苦しくなる。


そう、今日は嬉しいことと哀しいことがいっしょくたにあって、よくわかない日だった。


だから、あのパンの白さを見たとき、胸がすっとした。そして幸せな気持ちになれた。


この家には榊からの愛があちこちに散りばめられている。