桜餅

榊が買ってきてくれた。
祖母に供えたい、と。


ウチにあるのは、仏壇ではなく、写真だけ、心ばかりのもの。

先月の月命日に、入院中の祖母と分け合って食べた果物と同じものをたまたま近所のスーパーで見かけ、供えることにした。

写真は自分とのツーショットなどを持ち帰っていたのでそれを使うことにし、写真立てを調達して、即興的に設えた。

それからというもの、水は一日2回、変わったおやつを時々、供える習慣になった。


僕以上に、榊が心込めてあれこれするから、たまに僕を見る写真の祖母の顔がしょっぱくみえることがある。



部屋の中が、甘塩っぱい桜餅の香りでいっぱいだ。

朝、デザートにひとつ頬張ったから仕事中、お昼に鯖を食べるまでは、手までにおっていた。

何度も何度もかいだ。