いつもと変わらない朝。
開かないシャッター、いない人影。毎日当たり前にあったその風景は二度と再現されないことを知る。お盆だからじゃない。

知ったのは土曜で、いつでもどこでもその知らせが貼り付いていて、見慣れない人影が出入りしたりして、人違いではないんだなと思う。

もう二度と受け止めてもらえない、いってきますを口に出してみる。手応えがなく、陽射しの粒に吸い込まれて霧散されていく。むなしさが胸を埋め尽くしていく。
実感が否定の余地を奪う。自らの手詰まりで、自ら追い詰まった心の突き当たりで、ぽっかりとなる。穴があくなんてもんじゃない。穴そのものだ。


寝てればいいのに、

いつもの声が聞こえる。
耳が欲してる。


いつのまにか変わった

頑張ってきてください

は、あの人なりの察知だったんだろうな。でもらしくない。嬉しくなかった。突き放されたようで。


寝てればいいのに、があの人らしくていい。
耳が欲してる。僕はそれを欲してる。