2018-8-13 09:09
声
いつもと変わらない朝。
開かないシャッター、いない人影。毎日当たり前にあったその風景は二度と再現されないことを知る。お盆だからじゃない。
知ったのは土曜で、いつでもどこでもその知らせが貼り付いていて、見慣れない人影が出入りしたりして、人違いではないんだなと思う。
もう二度と受け止めてもらえない、いってきますを口に出してみる。手応えがなく、陽射しの粒に吸い込まれて霧散されていく。むなしさが胸を埋め尽くしていく。
実感が否定の余地を奪う。自らの手詰まりで、自ら追い詰まった心の突き当たりで、ぽっかりとなる。穴があくなんてもんじゃない。穴そのものだ。
寝てればいいのに、
いつもの声が聞こえる。
耳が欲してる。
いつのまにか変わった
頑張ってきてください
は、あの人なりの察知だったんだろうな。でもらしくない。嬉しくなかった。突き放されたようで。
寝てればいいのに、があの人らしくていい。
耳が欲してる。僕はそれを欲してる。