マッサージ

寝る前に大腿をマッサージしてあげた。最近よく、脚が痛いと言うから。数年前に事故で怪我している。

太腿に触れてみてまず、想像以上のかたさに驚いた。これはなんとかしなきゃと思った。

10分ほどだと思うが、一生懸命施術した。
「もういいよ」という榊の制止に素直に従い、確認してもらった。ら、「すごい、」と、ぱっとこちらに顔を向けた。「全然違う」

榊は自身の手で何度も何度も太腿を触り、抓り、揉みしだき、確かめていた。
「〜〜〜〜っ」
言葉にならない呻きが、榊の口から漏れる。
「…ありがとう、」
再び向けられた榊の顔。青みがかった瞳に光がともり、優しく震えていた。