言語化

行き違いで、そのSNSの知人とすれ違いかけた榊。

一旦拒絶したのちの数日後、電話で話をした。
相手もどんな内容でも事実や本音を知りたかったようだ。
自分の物理的および精神的状況やスタンスなどを語っていた。


それを傍で、聞くとはなしに聞いていて(榊はイヤフォンしてたので、榊の部分だけ)
僕も納得や共感できる部分があった。

なんとなく2人とも卒業の匂いがしている。



翌朝、夏至のせいか早く目が覚めた2人で、ベッドの中でそれ関連のことをたらたらと喋りあった。

世代のせいなのか、SNSのせいなのか、異様な関係性や世界観、価値観の世界だよね、と。

すべてはその人の自由だけど、
現実世界での差異のようには理解できないし、
それくらい乖離しているので、理解や助言のために言葉を交わそうみたいな気持ちもわかない。
ただただ諦観。傍観。


言ってるそばから
泊まりがけイベントの件で榊の携帯が通知でブルブルなり続ける。

当初の予定とは真逆の我儘を言い始めた大人が出て、それを他の若い子たちが軌道修正しようとフォローのコメントを入れる、みたいな。
若い子たちも片目潰れる範囲での我儘を言っちゃったせいもあるんだけど。

「「ほんと、みんな自由だね」」

幹事の榊もため息。



ネガティブな疲れもあれば
ポジティブな疲れもあって
とにかく目まぐるしい世界。


僕らはそれほど投げ打てる体力も時間もお金もない。(別のことに使いたい)


カーテンでは遮れきれなかった光で柔らかく仄暗い部屋で
2人呆けていた。

そこには、もう満足といった
いよいよ終わるなぁといった空気が、気配が、漂って、共有していた気がする。

「俺には鮎川しかいないんだからさぁ?」
そうだね。僕も、榊だけでいいんだよ。


こうやって遠くから
眺めあえる程度の知人がいればいいくらい。

交わるのは相方だけでいいよね

カリモノ

すべては借り物。仮のもの。
いつかは天に返すもの。

そう思えば
今の不思議な状況も、やがては消え薄れゆく、無常のもの。

ならば
執着しなくても、行く先々までの身の振る舞いを過度に案じなくても、大丈夫な気がしている。


今一時的に僕の元にやってきているだけ。
いつかは去ってゆく。
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