「ミシェル、一緒に住まないか」
「えっ」
「もうすぐ家の更新だから、それに合わせて引越し…ミシェルがよければだけど」
「わ、私はいいけど…」
「じゃあ許可もらいに行こう。お父さん、いつ空いてるかな…」
話したいことがあるのでお時間くださいってお願いして、翌日会うことに。
「お父さん今日休みじゃないの?なんでスーツなの?」
「話したいことがあるんでしょ?」
「そうだけど…お兄ちゃんたちまで…」
「そりゃあ、なぁ」
「お時間作っていただきありがとうございます」
「うん、で?話って?」せかす
「ミシェルさんと同棲したいと思ってます」
「「「……は?」」」
「お許しいただけないでしょうか」
「……なんだぁ、同棲かぁ。いいよいいよ、好きにして」
「あ、はい。ありがとうございます」
「はい解散」
「え、ちょ、お兄ちゃん?…なんなの」
特に引き止められずちょっと悲しいミシェルさん。
「お父さん達どうしたの?」
「ふふ。お前にうちの娘をやれるかー!ってやりたかったみたいよ」
「お父さん気が早くない?」ちょっと恥ずかしい
「(殴られる覚悟をしておかねば)」
「今まで一緒に暮らしてたから、同棲するなんて思ってなかったんじゃないかしら」
「…たしかに」
「たしかにって…」
「ふふ。またすぐ挨拶が必要になりそうね」
「えっ」
「…また連絡します」
「えっ」
「待ってますね」
ちゃんと手順踏もうと思って同棲提案したけどたしかにもうお互いの暮らしわかってるんだし、結婚すればいいじゃん!って思うレーヴェさん。
でも思い悩む今さら。
思い悩みすぎて体調崩す。
胃潰瘍。
「仕事、大変なの?ごめんね、気付いてあげられなくて」
「仕事じゃない」
「え、じゃあ、どうして…」
「ミシェルのこと、考えてたら…胃に穴が開いた」
「私のせい?…冗談でしょ?」
「…」ふるふる
「わ、私なにかしたかな…」
「…一人にしてほしい」
「…わかった」
ぐずぐずに泣いちゃうミシェルさんね。
でも数日後のバレンタインにお菓子作って持ってく。
病室で女の子とキスしてるシーンに遭遇。
「!」
「ちょっ、やだぁ…///」
「ミシェル…」
「…っ」
逃げ出すミシェル。
追わせない女の子。
「今のが彼女?」
「なんなんだよお前…」
「先輩、私と付き合いましょうよー」
「…お前じゃ勃たない」
「は、はぁ?!さいってー」バシーン
誤解の解けないまま退院するレーヴェさん。
家に帰るとミシェルさんが家にいる。
「あ、あれ?退院今日だったっけ…」
「うん…」
「そう、おめでと。ごめんもうすぐだから」
「…何してるんだ」
「荷物まとめてる」
「え、なんで…」
「…なんで?私浮気するような人と付き合えないから」
「浮気なんてしてない」
「…キスは浮気に入らないって思考なの?なおさら無理なんだけど」
「そうじゃなくて…ミシェル、聞いてくれ」
「触らないで…ほんと気持ち悪い」
「…っ」
鍵投げつけて出て行くミシェルさん。
レーヴェさん放心状態で動けず。
気持ち悪い…気持ち悪い…気持ち悪い…(エコーとなって頭の中に響き渡る)
会社に行けなくなる。
というかミシェルに嫌われる=存在意義がなくなるくらいの勢いなので生きる気力も無くなる。
職場からレーヴェさんの携帯に連絡するも繋がらず。そのうち電源が入っておりませんになる。
緊急連絡先のブラウン家に連絡が行く。
お母さんが電話に出て、レーヴェが出勤していないことを聞いて、すぐさま生存確認に行く。(ブラウン家としても鍵預かってる)
ミシェルにも何か知らないか連絡する。
まずピンポン鳴らすお母さん。
無反応。
レーヴェの家の鍵を使う。
「お邪魔しますね…」
ワンルームなので、すぐさまベッドに横たわるレーヴェを確認。
「レオン君?レオン君!…どうしたの?!」
「ん…ミシェル…?」ぱた
「!レオン君!!」
意識失うレーヴェさん。
すぐさま病院に搬送。
ミシェルも連絡受けるけど行かない。
病状とか一通り聞いて帰ってくるお母さん。
「ミシェル」
「…」
「レオン君と何かあったの?今日大変だったのよ?」
「…あんな人もう知らない」
「あなたの名前呼んでたわ」
「…」
「明日休みでしょう?レオン君の着替えとか持って行ってあげてね」
「絶対いや」
「ミシェル」
「は、はい…」
「いいわね?」
「…わかった」
お母さん怒らせると怖い。
会いたくないけど、気になってるのは事実なので荷物渡しに行くことにするミシェルさん。
こんこん
「…どうぞ」
「…」
「!ミシェル…来てくれたのか」
「お母さんに頼まれて、着替え持ってきただけ…」
「ミシェル、話がしたい。頼む」
「安静にしてたほうがいいよ。帰るから」
「ミシェル、お願いだ…ぁっ!」
「!」
追い縋ろうとしてベッドから落ちるレーヴェさん。
思わず駆け寄るミシェル。
「ちょ…点滴とか大丈夫?」
「あ、あぁ…」
「…離してよ」
「絶対離さない…」
「…」
レーヴェさん全然力入ってないからミシェルでも振り払えるけど、そのままにしてあげる。
「ミシェルにプロポーズしようと思ったんだ…」
「…は?」
「でも…俺の…昔の…母親のこととか、虐待されてたこととかあるし…ミシェルのこと幸せにしたいって、思い描いても、…全部自分の手で壊してしまいそうな気がして…」
「…」
「ミシェルにはずっと隣にいてほしいと思ってるし、俺がミシェルのこと幸せにしたいとも思ってるけど…でも、俺にはそんな資格なくて、ミシェルが他の男と結婚して幸せになっても、祝福できない…ずっと、そんなこと考えてたら、胃に穴が開いた…ミシェルのせいだ…」ほろほろ
「なんでよ…」なでなで
ずっとグズってるレーヴェさん。
幼児化してる。
「…ずっと何も口にしてなかったって聞いたけど、それは?」
「ミシェルが、俺のこと…気持ち悪いって…ミシェルに嫌われたら生きる意味がなくなる…」
「…他の女に触った手で触られたのが嫌だったの」
「あ、あの女はただの後輩で、あの時は、いきなりキスされたんだ…完全に油断してた…ごめん」
「…一人にしてって言って、私を帰らせてあの子と会ってたんじゃないの?」
「違う!俺はずっと、ミシェルのことしか考えない。ごめん、ミシェル、傷つけて…許してくれ……捨てないで…」
「…」
あぁ、レオン君には弱いなぁって思うミシェル。
「私、レオン君と家族になりたいって思ってたよ」
「え…」過去形
「いや、一緒に暮らしてる時から家族みたいに思ってたから…うん、レオン君と家庭を築きたい、かな…」
「…」
「レオン君の色んなこと知った上で付き合ってるつもりだし、今さら何も思う事なんてないよ…」
「…」
「私のこと幸せに出来るの、レオン君しかいないんだから…私のために生きてよ」
「っ…うん」ほろほろ
レーヴェさんのこと支えてあげてベッドに移動させる(落ちてからずっと地べただった。
「落ち着いた?」
「…すまない、みっともないところを見せてしまって…」
「…そんなボロボロになるまで自分を追い込まないでいいから…レオン君が考えてること教えてよ…」
「わかった」
レーヴェさん退院して会社に頭下げてお許しいただく。
まぁでもちょっと忙しくなるけど。
ミシェルさんが家の事とかフォローしてあげたり。
ホワイトデーの頃にやっと落ち着く。
続く