ここは原発最前線の町

常葉町の市街地から５ｋｍ程。船引駅から１５ｋｍ。
殿上山の上に『カブトムシ自然王国 こどもの国ムシムシランド』はあります。
常葉きっての観光地でちょっと交通の便は良くありませんが、虫好きの子供達に人気のスポットでした。
しかし、昨年は開園することができませんでした。
ムシムシランドがある常葉町山根は原発から約３３ｋｍ。同部落の一角が３０ｋｍ範囲の緊急時避難区域に入っていたからです。
しかも常葉町の中では北西に位置し、原発から北東に流れた放射性物質の影響を受け、田村市の中でも放射線量のかなり高いスポットになっていました。
その為、昨年は開園を見送り、カブトムシの放虫と通信販売などのみを行っていました。

しかし、今年、二年ぶりムシムシランド内のカブトムシ自然観察園がオープンしました。カブトムシが森全体を囲う網のドームの中に放たれ、子供達は自然に近い状態でカブトムシに触れ親しむことができる施設です。
今日、セレモニーが行われ大事に育てられた１０００匹以上のカブトムシが、放虫されたとニュースでやっていました。

森の中の除染は難しいですが開園に先立ち、市の職員やボランティアの方達で徹底的な除染を行ったそうです。落ち葉や土を避け、網を取り換え、結果毎時０．５マイクロシーベルト以上あった数値が今日の開園時には０．２９マイクロシーベルトにまで下がったそうです。
私は仕事で行けませんでしたがきっと森には子供達の笑い声が木霊したことでしょう。
昨年はカブトムシの通信販売も放射線量を気にしながら行っていたと聞いています。
生き物相手であるだけに一度途絶えてしまうと、リカバリは難しいので、昨年、施設の職員の皆さんは大変な苦労をされたようです。
そして迎えた今日。
きっと感慨深かったことと思います。

まだ全施設が再オープンできたわけではなく、完全再開にはまだもう少し時間がかかりそうです。
でも常葉きっての観光地の再開はきっと田村市の復興に弾みをつけてくれると信じ、願っています。