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season3 第4話(4)

「解析班取れますかー?ちょっと調べて欲しいものがあるんだけど、いいかな?」
彩音が朝倉に通信を入れた。


「彩音さん、なーに?引き受けるわよ」
朝倉の素っ気ない返事が返ってきた。

「このチャンネルの3分前に書き込まれたコメントの『K』という人物を特定出来ないかな…。
この人鼎の味方みたいで、ずっと応援コメント書いてるの。鼎ももしかしたらと心当たりがあるから確かめたいって」

「司令補佐…大丈夫なの?あの配信観たんでしょ?コメント欄が真っ二つに割れてるし、司令補佐へのバッシングがひどくて見ていられない…。
わかった、コメントなら特定出来るから。『K』でいいんでしょ?」

「あとこのKに触発されて書いた応援コメントも何かありそうだからある程度、調べられるかな…」


「がってんしょーちのすけ。私らに任せんしゃい。コメントの特定なら解析可能よ」
朝倉はたまに変な返事をする。


約2分後。朝倉から通信が入った。


「司令室のサブPC見てくれる?例の書き込みの『K』の特定が出来たわよ。
書き込んだのは『菅谷恭平』、一般市民。ちょっと気になって彼についても探りを入れたけど、数ヶ月前に怪人に襲撃されたところを司令補佐に助けられている。司令補佐が新しいシェルター視察に行った時みたい。
シェルターの防犯カメラにバッチリ残ってた。
菅谷は発作を起こした司令補佐を助けてる。シェルターで介抱している映像も見つけたのよ」

「あの時の市民が…菅谷恭平?私は2回目に遭遇した時、突っぱねてしまったんだ。『もう私に関わるな』と。
…なのに、なんで……」


鼎の声は震えている。なんで一方的に突っぱねた相手が応援コメントを…。


朝倉は続けた。

「他の応援コメント、つまりうちらの支持層もちょっと調べてさせて貰ったわよ。
そうしたら興味深い傾向にあった。司令補佐に助けられた人のコメントが多かったのよ。隊員時代に助けられた市民のコメントもちらほらあったんだよ」


画面のアンケートは拮抗していた。
「紀柳院司令補佐は司令補佐の資格があると思いますか?」という質問だ。これは配信を観た上での質問になっている。


コメント欄の鼎に対するアンチコメントはかなりひどい有り様。
彼女が傷ついているのはこのバッシングによるものだった。


「鼎、メインモニターは見ない方がいい。コメントなんか見るな。サブPCには応援コメントだけ出してある。
朝倉達、気を利かせてるな…。コメント抽出って手間がかかるはずなのに」
宇崎は鼎にサブPCを見るように促す。鼎はようやくサブPCを見た。

そこには鼎に対する応援や、ゼルフェノア支持層の応援コメント「だけ」表示してある。


「この応援コメント、お前が助けた人達も書き込んだと朝倉が言ってたよ。
味方はこんだけいるんだ」

「室長……」


「イーディスのことだから次の配信でどう来るのか、予測不能だな」

梓が呟く。


アンケート締め切りまで残り時間30分を切っている。



畝黒(うねぐろ)コーポレーションのある一室。イーディスは突然の来訪者にびくびくしていた。


「どうだい、イーディス。ゼルフェノア本部は潰せそうかな?」
「と…當麻様!?なんでここに」

「俺達はゼノクを潰すから本部は君とグレアに任せたんだが、この配信次第で決まるも同然だよね。市民がどう審判を下すのか。
配信では信者がいる君でも、どう転ぶかわからないのにね。紀柳院鼎はかなり厄介な存在だよ?直接決着つければいいのに。なんで遠回りするのかな」


當麻の声のトーンが変わった。どうやら遠回りでゼルフェノア潰しをするイーディスにお怒りのようだ。


「早いとこ、本部を潰しなさい。俺と明莉はゼノクを水面下でじわじわ攻めてるからね。あとは長官さえ消えてしまえば我々のものだよ?
イーディス、早く計画を進めるんだな」

「しょ…承知しました」



當麻は部屋を出ていった。毎回思うが、この男は怖い。人ならざる者の不気味さゆえなのか…。
知らないうちにゼノクを潰す計画はかなり進んでいたと知り、愕然とするイーディス。焦る。


本部を潰すには紀柳院鼎には失脚、または組織自体から自ら辞めて消えて貰わないと困る。
だからネット配信という形で公開処刑をしたのだが。


「イーディス、そろそろアンケート締め切りの時間が迫っていますよ。配信の準備して下さいね」
「…グレア。今ものすごく揺らいでる。當麻様はお怒りだ。早いとこ本部を潰さないと…」

「なんなら直接司令補佐と決着すればいいのでは?そうしたら手っ取り早くないですかね〜」
「あの女は戦えない。フェアじゃないわよ」

「當麻様のことを考えたら、それどころではないでしょうよ。ゼノクに関しては残りは長官だけだと聞きました。職員や隊員・入居者には悟られずに計画を進めていたようですよ?
ゼルフェノアのトップが潰されたらそりゃあセンセーショナルに報道されるでしょう。當麻様は人ならざる者なのですから」

「焦らせないでよ!!」
イーディスはかなり動揺していた。



ゼルフェノア本部・司令室。ハッキングされたメインモニターの配信開始カウントダウンは0を示した。

画面が切り替わる。そこには2次元イラストのイーディスが。
イーディスはゼルフェノア本部・司令室に着信を入れた。宇崎は恐る恐る出る。


《はーい♪アンケート締め切りましたよ〜。
あなたがゼルフェノア本部司令の宇崎幾馬ね》
「そうだが」

宇崎は慌ててヘッドフォンマイクを装着する。


《あなた達は中継されています。画面が分割されているでしょ?
リアルタイムで配信されてま〜す♪これがどういう意味かわかるかな?司令補佐》

鼎も慌ててヘッドフォンマイクを装着した。仮面との兼ね合いで違和感があるらしいが。


「イーディス…なんのつもりだ……」
鼎の声は力がない。

《ゼルフェノアは会見開こうとか考えていたんじゃないの?だったら今、あの私がすっぱ抜いたことが事実だったのか認めなさいよ…!紀柳院鼎…》


イーディスの声はどこか余裕がない。


「……あれは……全て事実です。数年前に怪人に対する憎悪で復讐代行していたことも。今や復讐心なんて微塵もない。市民を助けたい、守りたいんだ。
13年前の怪人絡みの事件で全身火傷を負い、名前を変えたことも。
私は…ゼルフェノアに匿われたことも事実だ。仮面の理由は以前公表したことと同じで、顔にはまだ大火傷の跡が残っている。醜い跡がな…。人前で素顔になれないのは目に深刻なダメージが行ってるからなんだ…。火傷の影響でね」


鼎はパニックを起こしかけていた。動悸が止まらない。逃げたい。


《よく出来ました。あなた…こんな大人数が観ている中でよく話したわよね。
今、このチャンネルは約10万人が観ているわよ♪》

「10万人…!?」
《モニターをハッキングしたんだから必然的に視聴者は増えるでしょ?ちなみに本部は3ヶ所ハッキングしましたので。
都内の目立つ街頭モニターは全てハッキングさせて頂きました。あんた…相変わらずよね。その仮面、叩き割りたいわ》


御堂は余っていたヘッドフォンマイクを装着、イーディスに刃向かう。


「鼎の仮面は飾りじゃねぇっ!!身体の一部だ。
それに彼女の復讐代行は過去のことで、既に終わったことだろ!!なんでいちいち蒸し返すんだよ!!」
《御堂隊長かぁ…司令補佐の味方ってこんなにもいたの?》
イーディスは司令室を見ている模様。


梓はマイクで直接口撃する。

「あんた、高みの見物してないで姿を見せなさいよ…!イーディスはビジネスネームなんだろ?
人を不幸に陥れやがって…。あんた、最悪ね。そのツラを見てみたいわ」


鼎は思わぬ援軍に驚きを見せた。梓が立ち向かってる。

《ちっ、面倒になってきたな…。配信は終わりま〜す♪バイバイ


イーディスは一方的に配信を終了させた。コメント欄は大荒れ。
イーディス支持層もゼルフェノア側に寝返る事態に。

鼎が事実を認めたことが功を奏したらしい。



ハッキングされたモニターは全て復旧した。

鼎はまだパニックを起こしていた。動悸がひどいらしい。


「鼎、もう終わったんだよ。落ち着け落ち着け〜」
彩音は鼎の背中をさすってあげている。

「彩音…」
「まだ喋らなくていいよ。パニック症状治まってないんでしょ。とにかく静かなところへ行こうか。2人で。救護所は静かだから落ち着くと思うけど…歩ける?」

「なんとか…」



都内某所では恭平がホッとしたようだった。思わず書き込んでしまったが、何もしないよりは…。

あの高校生に感謝しないとならないな〜。ゼルフェノアの学生隊員という、彼に。


とにかく何らかの形で司令補佐に伝えたかった。

補佐の本名なんてどうでもいい。「紀柳院鼎」として生きてるんだから彼女は「紀柳院鼎」だろうと。


数ヶ月前、補佐に助けられた時・逆に発作を起こした補佐を助けた時は緊張したっけ。
あの配信で見た司令補佐はかなり緊張していたように見えた。顔が見えなくてもなんとなくわかる。

俺はいつの間にか彼女を応援してしまっていた。



ゼルフェノア本部・救護所。鼎はバッシングの恐怖に怯えていた。
彼女が事実を認めたことで一段落したとは言え、余波はある。1日では鎮火しそうにない。


「鼎、しばらくは外出…控えた方がいいかも。そうだ、寮に泊まりに行っていいよね?何日か。鼎を守るためだから。梓さんの部屋は隣なんだっけ」
「斜め下だよ」

「救護所に行く前に室長からメモを渡されてさ。しばらくの間は鼎の部屋にいて欲しいと密命を受けたんだ。
鼎、外出するの数日間はしんどくなるけど何でも言ってね。買いたいものとか。食べたいものとか!」


そこに空気を読まない梓が様子を見に来た。

「チィーッス。鼎、パニック症だいぶ回復しているみたいだね。良かった。
彩音、あんたの密命は司令から聞いたから2人で鼎を守りましょう」
「寮に関しては私達の方が詳しいからね。いくら本部から徒歩5分圏内とはいえ、鼎はメンタルやられてるから油断出来ないよ」


「あたしらの出番だな」



畝黒コーポレーションでは。

「イーディス…次はもう後がないからね?覚悟するんだよ。Dr.グレア、君は一体何やってるの…。
君たちには失望したな〜。イーディス?本部潰し、次に本気出さなきゃ消すからね」


消す!?今さらっと「消す」と言ったような。
當麻様の機嫌が明らかに悪い。これはマズイ状況だ。

次に失敗したら…當麻様に消される。



第5話へ。


無題

話題:おはようございます。
昨日の拍手13個ありがとうございます。昨日のガンダム水星の魔女2期、ガンダムエアリアルの謎にかなり踏み込んでたが…エアリアルの正体マジかよ。
ここで、21年前の事件の伏線回収来るとはな〜。エリクト・サマヤと家族ががっつり関係してるじゃん…。

プロスペラの正体も同時に明かされたような感じだったが…マジか。やっぱり同一人物だったのね。ってことは娘が2人いたということで…でもスレッタは知らないという。
プロスペラの右腕が義手という時点で匂わせてはいたんだが、あれはフラグだったのか。


2期は昨日から見始めたんで、グエルが気になるー。

2期では地球の魔女2人も学園にいるあたり、かなり不穏なんだが。2期、おもっくそ大人の思惑絡んでいるやんけ…。デリングとプロスペラの計画も気になるところ。

2期で謎が次々解明されていくんだろうか…。水星の魔女は女子が多いせいか、めちゃめちゃ見やすいですがそこはガンダムだからな〜。



青のオーケストラは再放送で1話早速見ました。演奏シーン、作画がガチすぎる。音楽もガチだ。
まだ序盤だから高校のオーケストラ部が出てくるのはこれからなのね。青オケ、秋音の声優さんがキュアプリズムなせいか声可愛い。

秋音のキャラも可愛いよな〜。秋音はヒロイン枠?


ガチクラシックアニメというと、のだめも演奏シーンの作画と音楽がヤバかったよね〜と。いい意味で。のだめも好きでアニメ観てたな。ドラマは観てない。

アニメ版のだめで、オーケストラの演奏シーンで3DCGを取り入れた先駆けじゃなかったっけ?当時新鮮だったの覚えてる。



最近強風続いてんだけど。今朝も風強いよ。
昨日は暴風警報出ていたんだが、今日はマシな方…かな。

今日は昨日よりも気温が下がるらしいです。寒暖差で身体壊れそう。



自己満小説season3の4話、思っていたよりもハードな感じになってしまった…。4話は次で終わる。
鼎さんをいじめるつもりではなかったんだが…救済展開はあるから、そこは。

敵のイーディスの話し方はもろにベロバだな…って。ベロバをイメージした結果がこれだよ。


鼎さんはハードな展開が多いんだが、season3は精神攻撃系だから別な意味でエグい。しかも因縁あるやつの攻撃…。
season1は登場人物紹介を兼ねてたから、鼎さんの過去の描写が壮絶になったのはしゃーないが。


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