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season3 第3話(2)

鼎は屋上でひとり、佇んでいた。イーディスとの因縁を打ち明けるべきなのか…。
しばらく悩む彼女の元に御堂と彩音がやってきた。


「やっぱりここにいたか。琴浦のやつ、すげー心配していたぞ」
そう声を掛けたのは御堂。

「鼎、寒くない?風冷たいよ」
彩音も心配そう。


鼎は2人を見た。2人を見た瞬間、悩みを打ち明けたくなっていた。

「和希に彩音…」
「屋上だとちょっと肌寒いから中へ戻ろうよ。休憩所に行こうか。そこで温かい飲み物でも飲んでさ、話聞いてあげるから」

彩音の優しい声に安心する。



場所を変えて休憩所。時間的に休憩所は誰もいなかった。

彩音は鼎に温かい飲み物を渡す。
「体、冷えてるよ。屋上にどれくらいいたの?」
「…わからない……。気づいたら20分くらいはいた…かもしれない」


しばしの間。鼎はようやく話し始めた。

「彩音に話すのは初めてなんだが、私はゼルフェノアに入隊してから最初の2年くらいは復讐代行をしていた」
「…えっ!?」
「元々この組織に入った動機は復讐のためだった。和希がいなかったら、今も復讐に取り憑かれたままだった…」


彩音、鼎の告白に言葉が出ない。
嘘でしょ!?今は時効とはいえ、そんな過去があったなんて。


「彩音も知ってるだろ。入隊当初の鼎がトラブル起こしたりしていたやつ。あれ、2年くらい続いていただろ。鼎が復讐代行していた時期と被ってんだよ…。
荒れていたのは復讐心が先走っていたと聞いた。俺は必死に止めたよ。
『こんなことをしても無意味だ。復讐なんてやめろ』とな」

「御堂さん、修羅場すぎる…」
彩音は困惑している。


「本題に入るが、敵勢力に私と因縁がある人間がいる。以前あっただろ、私を拉致した2人組のうちの1人がそいつだ。
かつての私の同業者だ」


「同業者!?」
御堂と彩音は声を揃えて反応した。


「推測が正しければそいつの名前は『イーディス』で間違いない。
ちなみにこれは通称だ。本名は不明。イーディスは現在も復讐代行をしている」


鼎とイーディスが因縁あるってなんかヤバい構図すぎる…。


「だけどよ、最近目撃された変な少女と青年はなんなんだ?ってなるよな」
御堂はそこが引っ掛かった。

「イーディスと手を組んだ勢力なのではないか?室長が言っていた。
『畝黒(うねぐろ)コーポレーション』もとい、その元締めの『畝黒家』が怪しいとな。畝黒コーポレーションは表向きはベンチャー企業だが、実態不明の謎の大企業らしい。黒い噂もある。……明らかに怪しい」


謎の大企業の元締めとイーディスが組んだとなると、面倒くさいぞ…。
しかもイーディスは鼎に因縁がある。ヤバい予感しかしない。



畝黒家。


「パパ。今日は一緒に行くの?」

明莉(あかり)が無邪気に當麻に聞いた。家族と矩人(かねと)以外には無表情で機械的な話し方をする明莉だが、家族の前では若干は子供らしさを見せる。


「そうだよ明莉。パパと一緒にゼルフェノアの偉い人のところへ行くんだよ」
「偉い人って『長官』?」

「そう、パパは長官と話しに行くんだ。
明莉はその間に隊員達と遊んでおいで。好きなだけ暴れるがいい。そうだね…死なせない程度に遊んであげな」



當麻と明莉はゼノクへと姿を消した。矩人は見送った。

「楽しんで下さいませ、明莉様」
「いっぱい遊んでくる」


明莉の言う「遊ぶ」とは戦闘を意味していた。つまり、ゼノクが一気に危険になるわけで。



休憩所では憐鶴(れんかく)から鼎へ連絡が入る。


「紀柳院さん、例の変な少女が再びゼノクへ来ました。
今回は父親と同伴ですが…なんていうか、2人とも気味が悪いです。私達特殊請負人は地下にいるので安全なんですが、防衛システムを起動させるべきか…」

「憐鶴、それはどういうことだ!?」


「明らかに人間ではありません。怪人でもない、異様なんです。
変な少女の名前も判明しました。『畝黒明莉』。父親は『畝黒當麻』だと」
「畝黒!?憐鶴は司令の指揮権があるんだろ!?資格あるんだよな!?」


「ありますが」

「西澤は何している!?」
「當麻と話しているみたいです。私達はPCでモニタリングしていますので。
當麻は長官と約束があって来たようですが…娘を連れて来る意味がわからない…。嫌な予感がします」

「憐鶴。そいつ…明莉には気をつけろ。ゼノクは狙われているかもしれない。
畝黒は『畝黒コーポレーション』の元締めだ。
敵勢力の可能性が高いんだよ、畝黒家は。ゼノクには入居者もいる。防衛システムは起動させた方がいいと思う。館内壊されたら終わりだろ!?
ゼノク隊員にも伝えておけ、内密にな」

「わかりました」



「――鼎、どうしたの?」
彩音が聞いている。

「憐鶴から連絡があった。畝黒家の人間2人がゼノクに来たと」
「それ…ヤバくないか!?」
御堂も少し焦る。

「父親と娘で来たと聞いたが…父親は畝黒家の当主=畝黒コーポレーションのトップだ。長官と接触するつもりなんだろうか…」



ゼノク。當麻は明莉に改めて言った。


「パパが戻るまでの間、たくさん『遊んで』おいで。隊員を死なせたらダメだよ?」
「うん」

當麻は長官がいる執務室へと案内される。残された明莉は子供らしからぬ不気味な笑みを浮かべた。


隊員はどこ?


憐鶴は地下でモニタリングしながらさりげなく防衛システムを起動した。
防衛システムはアラートなしでも起動出来る。敵にはわからないようにすることも可能。


憐鶴はゼノク隊員と職員に通信した。

「緊急なので臨時で指揮します。現在館内に入ってきた親子は人間ではありません。
私も場合によっては戦います」


そこにゼノク隊員の粂(くめ)が割って入ってきた。

「あんた執行人の憐鶴!?なんで仕切ってんのよ」
「西澤室長以外にも私にも司令資格があるんです。指揮権はあります。行使するのは初めてですが」

「執行人が司令資格あるって初耳だよ!?」
「気をつけるべきは畝黒明莉ですね。現在彼女は自由に館内を歩き回っています。東館と病院は既にシェルター起動しましたが。
防弾シャッターは使えない状況ですが、くれぐれも気をつけて下さい」


「わかったよ。じゃあ私達もこっそり動くわよ。気をつけろってことは相当危ないってことよね?」
「あの女の子はただならぬ異様な雰囲気がありますよ。子供らしからぬ不気味さがありますね。あ、二階堂さんは出撃させない方がいいかと」

「二階堂はかなり重要だよ!?」


「戦闘兼用義手と義足が破壊される可能性があります」
「それヤバいじゃん!」


ゼノク隊員に緊張が走った。
今、長官は當麻と話している。當麻も異形ならば長官も危ない状況。蔦沼はわかっていて接触に応じたのかもしれない。



ゼノク・執務室。


蔦沼は當麻と和やかに話していた。

「あなたがゼルフェノアトップ・義手の長官こと蔦沼栄治さんですか」
「君は…畝黒コーポレーショントップの畝黒當麻だね。何の用でゼノクに来たんだ?隠しても無駄だよ。僕にはわかってる。
ゼルフェノアを潰すか…乗っ取りに来たんでしょう?」

蔦沼は當麻と明莉が人間じゃないことを既に見抜いていた。


「うちの組織を乗っ取るか潰して君たちは何がしたいんだい?世界征服か?」

「それはまだ明かせないねぇ〜。うちの勢力には強力な人達もいるんだ。
まずはそいつの活躍を見てから…話を進めないか?」

「あの娘のことかな?」
「いや?…もっとたちの悪いやつがいましてね。そいつは本部をターゲットにしていますね」
「襲撃でもするつもりか?」

「襲撃はしませんよ」


さっきから違和感のある笑みを浮かべながら話している當麻。何を考えているのかさっぱりわからない。

しかしあの畝黒家がわざわざ来るとは何事か…。



明莉はゼノク隊員を見つけるなり、子供らしからぬ力で隊員を次々とねじ伏せていた。


「もっと遊ぼうよ」
「断る!!テメー仲間傷つけといて『遊ぼう』だと!?ふざけてんのか!?」


粂はキレていた。その半面、二階堂を出撃させなくて良かったと思った。
あのガキの力なら二階堂の義手は使い物にならなくなる。


見た目はかわいらしいお人形さんのようだが、不気味だった。
粂は弓矢で応戦するも、矢を簡単に折られてしまう。

「チッ!」
これじゃ全然歯が立たない…。憐鶴達が来ればいいのだが…。


上総(かずさ)も参戦するも、明莉の実力には及ばない。

「なんだこのガキ!?まるで機械じゃんか。いででで」
「上総、こいつは人間じゃないから全然歯が立たないんだよ。なんなのこの馬鹿力!?怖いよ…。
得物なしで戦ってるし、あり得ない動きをしてるんだが…」


「お姉ちゃん達、もっと遊ぼうよ」
無表情で迫る明莉。怖い。とにかく怖い。

「だから断るって言ってるだろうが!!ガキに殺されたくないっつーの!!」
粂は恐怖に怯えていた。


ゼノク隊員vs明莉の異様な攻防は続く。


黄砂


話題:おはようございます。
昨日の拍手8個ありがとうございます。今日も風が強い。昨日ほどじゃないですが、今日も黄砂で山が霞んでます。

そんでもって黄砂の影響か、昨日からくしゃみめっちゃ出てる。



朝から北のミサイルで他の番組はミサイル速報やってんけど、地上波…ラヴィットだけはいつも通りだったので安心した。

朝の番組はTIME,→ラヴィットパターンに完全になってんな〜。
TIME,のライバル番組のZIPは見る気になれない。今週は映画PRを兼ねた、コナンウィークで視聴者を釣ろうとしているようですが。コナンファンを釣ろうとしてる?

月曜日はゴルフでTIME,がなかったんで、8時までは仕方なくZIP見てた。ナレーターが灰原だった。


昨日のラヴィットは神回でしたな。松本梨香さんがポケモン歌うんだもん。なんつーサプライズ。



昨夜は解体キングダム観ないで、ワールド極限ミステリー見てた。
野生のイルカちゃん2頭が手(胸ビレ)を繋ぐ映像にほっこりしたよ。
イルカちゃんって…やっぱり賢いのね。

早速うちのイルカちゃんのぬいぐるみでおててを繋いでみた自分。何やってんだ。
イルカのぬいぐるみはハンドウイルカちゃん(イルカちゃん)とカマイルカちゃん(カマちゃん)がいるんで、ぬいさんのイルカ同士でよく遊ばせてる。めちゃめちゃ癒される…。


解体キングダム、再放送今日深夜なのか…。1時半過ぎって、マジかよ。もうちょい早い時間帯に再放送出来ないのかよ。
所さん事件ですよ!か、アメトーークを観てから寝そうだな、これ。木曜はだいたいどっちか観てから寝るパターン。


今日はベイクオフ3とハルさんの休日があるだけマシか…。
モニタリングは観ないですが。3時間はキツいし、モニタリング自体好きじゃないんだよね〜。人間観察バラエティってコンセプトがそもそも嫌い。


解体キングダムはリアタイで観た方がいいとわかりました。

昨夜はなぜか天然素材NHKを観ていたんだが、あまり動かないアニメがシュール…。番組自体もシュール…。ナレーション、チコちゃんの人?違うかな。
NHKアーカイブの中から貴重な映像を出しつつも、昔はそんな斜め上な番組をやっていたんかと。意味不明だよ。



自己満小説、急にハイペースになってる。どうした自分よ。
season3は1・2と比べて展開が早いせいもあるんだが。解析班が活躍しまくりなseason3…。

…あ、自己満小説の詳細設定追加しないとな。season3の敵勢力はかなりわかりやすい方だけど、補足は必要だし用心棒の梓の詳細も必要だよねと…。


season3 第3話(1)

「ここが実験場?演習場の中にあったとはな。これだとわかるはずもない」

鼎はゼルフェノア本部・演習場内にある実験場にいた。用心棒の梓も一緒だ。
彼女達は司令の宇崎から、解析班が捕獲した怪人解析の様子を見に行ってくれと頼まれていた。


演習場は広大。その一角に宇崎と朝倉しか知らない実験場がある。今日はそこでこの間捕獲した機械生命体の解析をするというのだ。


朝倉達は解析後、すぐに怪人のコアを一発で破壊出来るようにしている。一発でコアを破壊出来るものは破壊力抜群の兵器を使うことにした。


「あ、司令補佐!来たんですね。待ってました〜」

いつもの朝倉とは違う。怪人を直に解明するのが楽しみなんだろうか。
作業は危険を伴うため、周囲には戦闘可能な解析班の人員数人が配置されている。さらに戦闘メインの隊員数人まで配置。

大掛かりだ。


「分析はどのようにして行うんだ?」


鼎と梓は実験場の中心にいる拘束された仮死状態の機械生命体を見ながら聞く。

実際は距離が離れているため、双眼鏡必須だが。仮面姿の鼎からしたらかなりキツそう。


そんな鼎を見た梓はタブレットでライブ映像を見せてあげている。

「鼎、見えた?どう?もう少し映像拡大しとこうか?」
「…すまない。ありがとう」


朝倉は説明した。

「サンプル採取は全て遠隔操作で行います。このロボットアームでね。拘束具が外れたら最後。仮死状態の怪人は暴れだす。
だからそこに自走砲と戦車を配置したわよ。万が一のためにね。怪人の体の一部、皮膚片を採取するのが目的よ」


だから戦車があるのか。
…ってか、この組織に戦車なんてあったか?自走砲はまだわかるのだが。


「ちなみに戦車は陸自から借りましたよ?」

しれっと付け加えた朝倉。


「借りた!?」
「ゼルフェノアのネットワークを使えば、自衛隊の装備を借りることは出来ますよ〜。近くの駐屯地から借りました」

鼎、それを聞いて少し驚いた声を出す。
「そんなあっさりと許可が出たのか!?」

「補佐〜、そんな反応しなくても。
めちゃくちゃ危険な作業だから戦車が必要って言ったら『いいよ。持ってきな』って。ついでに戦車乗りの隊員も借りれたわよ。
…あ。これから採取行いますんで、ここから先は怪人に近づかないで下さいね〜。下手したら死にますから」


さっきからさらっと怖いことを言う朝倉。2人はその場で怪人のサンプル採取を見ることになる。

梓はタブレットを使い、鼎に遠方の映像を見せながら「今はこんな感じですよ」と教えている。
鼎は仮面越しゆえに、視界が狭い。梓は用心棒の使命を全うしながらも彼女に気を使う。



実験場では淡々と作業が進んでいた。緊張感が漂う現場。
万が一、怪人の拘束具が外れたら・枷が壊れたら最後。危険な作業だ。朝倉達解析班は命懸けでサンプル採取を行う。


「皮膚片、採取完了しました!」神(じん)の声がした。
「よし、コアを破壊するわよ!ターゲットの拘束具はそのままで!自走砲と戦車でコア破壊出来なきゃマズイからね」
「破壊出来なかったら不味くないですか!?」

波路(はじ)が不安そうに言う。朝倉は実験場にいる隊員達に伝えた。
「こっち側を見なさい。そこにでっかいもんがあるでしょう?
超短距離ミサイル搭載の兵器もお借りしたわよ。最悪これでコアにぶちこむよっ!!」


朝倉は単に兵器を使いたいだけに見えるんだが…気のせいか?
鼎と梓はそう感じた。


朝倉はキャラが変わっていた。イケイケモードになっている。
「まずは自走砲発射っ!!」

怪人に命中するも、コアは破壊されず。


「次っ!戦車お願いします!!」

戦車からコアに向けて砲撃が。自走砲よりは怪人にダメージは行ったが、コアはいまいち。


朝倉は少しイラついていた。
「自走砲と戦車、同時に撃って!!」

2台同時に砲撃。するとようやくコアに命中→怪人は派手に爆散した。



朝倉は機械生命体のコア破壊は飛び道具よりも、近接装備の方が遥かに有効だという、報告書を宇崎に提出した。

自走砲と戦車でやっと破壊されるって、どんだけ硬いのよ…!
こりゃ暁のブレードのような近接装備じゃないと無理だわ…。それも攻撃力が高いものじゃないと意味がない。



約1週間後。解析班の持ち場では隊員達がバタバタしていた。


「チーフ!早いとこ司令室に報告して!!この機械生命体は『マキナ』という怪人だ」
矢神がいつも以上に慌ててる。

「マキナ!?」
解析班全体がざわついた。
「矢神、ちょっとデータ見せて!」


朝倉は矢神が解析したデータを見た。やっぱりこいつは人間が作った怪人だ…!

今までの怪人データには存在しないものが含まれている。


コアの残骸からも解析された。

「朝倉、コアの分析結果…見るか」
神は相変わらず淡々としている。

「コアは有機的なもので出来ているのね…。機械的なものと有機的なものの融合体か…」



司令室。宇崎は解析班からの分析結果報告書を見ていた。


「マキナ…。人間が作った怪人だと!?」
「室長、どうしたんだ?」
鼎は気になった様子。

「怪人の分析結果が出た。人間が作った機械生命体『マキナ』だ」


マキナ…。イーディスと関係しているんだろうか。


「鼎…どうしたんだ?深刻そうに見えたけど…」

宇崎からしたら鼎がずっとうつむいていたため、心配している。
彼女の顔は仮面で隠れているせいか、表情はわからないが…とにかく深刻そうに見えたのだ。


「いや…なんでもない」
「何か引っ掛かることでもあるのか?言いたくなかったら無理して言わなくてもいいんだよ」


「………そうだな」
鼎の声に強さがない。

「お前が…言いたいタイミングで話してくれ。聞いてあげるから。別に誰も怒らない。
無理だけは絶対にするなよ」

宇崎は鼎の肩を軽くぽんぽんと優しく叩くと、司令室を出た。



司令室を出た宇崎は、ナチュラルに肩の肩に触れてしまったことを気にする。

これってセクハラにならないかなー。あいつはそういうことを一切言わないやつだが…。
和希の場合は鼎と付き合ってるから別として。晴斗も鼎からしたら弟のように可愛がっていた存在だ。俺…アウトかな…。



そんな宇崎の心配をよそに、鼎本人は安心していた。


梓が心配そうに声を掛ける。
「鼎…さっきから様子が変だけど大丈夫か?」
「あ、あぁ…。大丈夫だ」

「あんたの大丈夫は大丈夫じゃない。あたしはわかっているよ。
昔からそうだったから」


見抜かれてしまったか…。

親友の彩音にも同じようなことを指摘されたこともある。「鼎の大丈夫は大丈夫じゃない」と。


「司令も言ってたけど、話しやすい人に打ち明けたらどうかな…。別に用心棒のあたしじゃなくてもいいからね」
「………梓、ちょっと席を外すよ」
鼎は椅子から立ち上がった。どこか元気がないように見える。

「へ?」
「少しだけ1人にさせてくれないか。館内にいるから」

「わ、わかった…」


鼎は司令室を出てしまった。
梓はいつもとは違う鼎を見逃さなかった。


声に力がなかったな…悠真。敵に心当たりでもあるんだろうか…。



畝黒(うねぐろ)コーポレーション・地下研究所。


イーディスは楽しそうに何かを目論んでいる。Dr.グレアは気になったのか、聞いた。


「どうしたんです?やけに楽しそう」
「今回はマキナを使わないで行くわよ。私のターンでいいかしら?グレア」

「ちょうど良かった。残りのマキナを一斉強化させたかったので。ゼルフェノアは厄介だからね。
アップデートが必要になるなんてな〜」


「グレア。私はあの女・紀柳院鼎を暴こうと思うのよ♪司令補佐になるような人間じゃないわよ、あいつはね!
ここじゃない部屋にネット配信の機材は揃っているから、そろそろ公開処刑でもしようかと…。タイミングを見計らっていたんだけど、計画が早まったわ」
「以前出来なかった配信、するのかい」

「ゼルフェノアの闇を明るみにするチャンスだからね。ゼルフェノアを潰す、いい機会になるんじゃな〜い?
『仮面の司令補佐』を叩きのめせばあいつ…壊れるわよ。精神的にね」


「イーディスは彼女についてどれくらい暴くつもりで?」

「あいつの本名、わかっちゃったのよね〜♪仮面の理由は本当よ。全身火傷と顔の大火傷は事実。
でもね、あいつは名前を変えて生きていたことがわかったのよ。ネット上でも『仮面の司令補佐』の正体を暴こうとする輩がいるから味方は一定数、いるよ」


「イーディスってネット配信するんだ…」
「一応チャンネルはあるわよ?」


あるのかよ…。イーディスならやりかねないか、こいつなら。

グレアはイーディスがこれからやろうとしていることの怖さを予感していた。
この女は恐ろしい。計画のためならなんでも利用する。
だから畝黒コーポレーションにも近づき、元締めの畝黒家とも親密になっている。異形ですら利用するイーディス。


畝黒家もイーディスを利用しているあたり、利害関係は一致。ウィンウィンの関係になっている。
まさか私まで利用されるとは思わなかったが、好きなだけ怪人を作れる交換条件を受けたからね。


當麻様は謎に包まれてるお方だが、戦うとかなり強いとは聞いたような。
危険なのは娘の明莉(あかり)だが。

ゼルフェノア潰しのためなら手段を問わないイーディス達と畝黒家。一筋縄でいかないのは確か。

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