これは、「暗夜の皇太子殿下と竜神の嫁」の前日談です。

ジークベルトside

父上に連れられて新・透魔王国国王カムイ様の謁見するため馬車で向かっていた。

白夜王リョウマから譲り受けられた土地の風景は、綺麗だった。緑豊かで野菊が咲いていた自然が多かった。

「嬉しそうだなジークベルト」

「えぇ。一年ぶりにカンナに会えるから」

「謁見が終わればしばらくはカンナに会えなくなるぞ。」

「えぇ。わかっております。ですが暗夜も色々変わる時がこの時期。来る者を拒まない争いで解決せず国民が笑って暮らせる暗夜王国にしたい。」

「お前も私の跡を継ぐ暗夜王だ。私は、父上が撒き散らした混乱を。争いで亡くなった者を慰霊しながら訪問しよう。」

祖父の話を出すときの父上の顔が悲しいような寂しいような顔をした。

祖父・先代のガロン王は、突然行方をくらました。遠征中でガロン王の衣服だけがあり遺体が未だに見つかっていない。というのは、表向きの話で元凶であったハイドラに見限られて生け贄となったのを白夜と暗夜連合軍で目の当たりにした。


もしも気難しくも勇敢でカリスマ性のある父上の慕うガロン王と孫の自分を入れてどんなことをして過ごしたのだろう。悪逆非道な先代の祖父の人柄を確かめる術もないジークベルトは、あれこれ思うのをやめた。


「父上」

「なんだ。」

「お祖父様のことを聞かせてくれますか。」

「聞こうとしない話を振るとは。ほとんど聞いたことと変わらないぞ。」

「いいえ。もう私は、秘境の世話係の話を鵜呑みにした小さな子供でなくなりました。父上から憧れの先代の暗夜の王の話を次期暗夜王へお聞かせください。」

父から聞いたガロンは、ほとんど変わらない内容だった。ただ王城で過ごしたことがないジークベルトは、話のなかで祖父の意外な一面が聞けた。

若いころのガロン王は、その勇敢でカリスマ性から何人の貴族の子女は、虜となり妻になろうと色仕掛けしたり。子供を儲けてガロン王の権力に繋げようとしたりしたそうだ。

妻となったのは、ガロン王と相思相愛のエスカテリーナが妃となった。そうして待望の長男マークスが生を受けた。

「父と母の夫婦の仲は、私の理想で幸運な子供時代であった。反面エスカテリーナの派閥であった貴族がふんぞり返ったことで妾同士の内乱がひどかった。本妻の子供でも威厳と力がないことをいいことに妾の子供同様に貶されることも少なくなかった。」

腐敗の血肉争いと言えばいいのか。

「母が亡くなったとき私も父も嘆いた。母の墓前で強い王族になると誓い苦手な勉学と剣術と色々な分野を克服しよう結果出してきた。」

そのせいか皺が増えたり記憶力が助かりと気遣いが周囲が引くほどのレベルになった。

「神器を除きサークレットは、父上から賜ったものだ。」

「ジークフリードは、お祖父様から譲られたのでは、ないのですか。」

「譲られたものとは、違う。」

「?」

馬車が止まりカムイの居城に着いたことを知らせてくれた。

正門に着くと横から走ってくる音が聞こえた。どんどん音が大きくなりジークベルトに突進してきた。

「ジーク久しぶり!!マークス義父さんようこそ新・透魔王国へお越しになられました。」

白いフリフリをあしらった水色のワンピースを基調に。背中までウェーブのかかった髪をおろしたカンナがジークベルトに抱きつき熱烈に歓迎してくれた。

続くかも。





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