ここは、旅人に安息の地を約束された異界・星界。
「おーい槍鍛え直してく‥うぉ!寒い!」
鍛治屋の一角に竈の火があるのにも関わらずに建物の中が冷えていた。
「‥‥‥やぁシノノメ君。槍なら私が鍛えてあげよう」
「寒い!ジーク冷気出ているぞ。この世の終わりみてな顔になってるぞ!」
「大丈夫だ。私は溶けないから安心しろ。」
「働きすぎか?なら休め!」
「あっ。シフトの時間過ぎていた。シグレにでも頼もう。」
「手が冷たい。」
シノノメが顔色が悪いうえジークベルトの襟首を掴み鍛治屋を出た。
男湯の時間で温泉に入れさせるとジークベルトの顔色が戻ってきた。
「温かいよ。」
「目が覚めたか?」
「あぁ。シノノメ入れさせてくれたのかおかげではぁぁぁぁ」
「おい。なんだよその溜め息は。ここでも冷気出すなよ。」
桶のお湯をジークベルトにバシャッとかけさせた。鍛治屋も寒かったが温泉にまで同じ冷気を拡がるのだけは、ごめんだった。
「あつ!あつ!あつ!」
「どうだ?目が覚めたか?まだなら」
「わかったお湯かけないでおくれ。」
「よし。冷気を飛ばす悩みはなんだ。カンナか?」
「どうしてカンナだと」
「いつもジークでベッタリしているカンナがいないとなれば十中八九そうだろ。」
特に軍のなかでは、周知している。中でもリーダーのカムイが娘のカンナの口から
「お父さん。私ジークと婚約する。婚約指輪もらった。」
「お義父さんカンナは、私が立派な姫君として教育していきます。可愛いカンナとのお付き合いを認めてください」
「カンナ、ジークベルトからどうゆう流れで告白された。」
「おままごとして遊ぼうとしたら告白された。最初お父さん役してと頼んだらジークが嫌だ!って言ってきて。お婿さん役しかやらないって言うまで他の役も嫌がっちゃて。」
「ジークベルト大人の話しよう。カンナは、少し席を外してくれないか」
「え?妻の私も同席しちゃダメ?」
「レディに刺激が強い話が飛ぶからマークス兄さんとエリーゼに遊んでもらいなさい。」
「はーい。ジークベルトまた後でね。」
「さぁてジークベルト大人の話をしよう。」
大事な一人娘の一大事にカムイが半分竜化しつつもジークベルトと話し合った。その時のカムイは、ジークベルトから見て本当に怖かった。それでも試行錯誤の末に結果カンナが成人するまで正式の婚約を預けることとなったことで収まった。そういう意味でカンナとの交際を親バカなカムイに認められたことでジークベルトは、勇者である。
「カンナとケンカしたか?倦怠期にでも入ったか?」
「違う。カンナが‥‥た」
「もっと大きな声で言え!カンナが何だ。」
「カンナがフォレオとデートしていたんだ。」
「はぁ?フォレオと女子で買い物する光景なんて珍しくもねぇだろ。それだけで落ち込んでいたか?」
「いいや。声を掛けたよ。途中まで買い物に付き合ったて話もして。私が目を離した隙にカンナは、フォレオと逃げた。」
「カンナかフォレオにでも聞いてけ。」
一方噂のカンナは、フォレオといた。5月28日は、ジークベルトの誕生日。
「ふぅー出来た。」
カンナの手には窪みのある蒼のサークレットが握られていた。
「後は、オフェリエからもらった石を嵌めて。うん。完成!」
「カンナそろそろおやつですよ。」
「フォレオみてみて!サークレットが出来たよ。」
「カンナ綺麗に作れましたね。」
「えへへ。フォレオがジークベルトの額のサイズ知っていたおかげだよ。街で選ぼうにもサイズが小さかったつけられないし。大きすぎたら首飾りになっちゃてたもの。」
「ジークが来てカンナは、驚くと思っていましたよ。なにしろ本人には、内緒にしたかったことです。」
「でもおかげでジークの好きな宝石のことも色も探り入れることができたから助かっちゃった。」
「オフェリエにもジークベルトの好きな色と宝石に似たものももらえてよかったです。」
「恋する乙女が漆黒の王子のためになんてイノセンスなの!よし!これは、女神の嬉し涙と恋をした人魚が恋い焦がれし流した涙を持って生まれ変わらせておあげなさい!」
渾名をつけた宝石をポーズをつけながらオフェリエに心地よく渡されて。ジークベルトの誕生日プレゼントのサークレットに加工することが出来た。
「ジークベルトになんて言って渡そうかな。オフェリエのように言葉が言えれば楽しいのに。」
「そのまま素直に渡しても大丈夫ですよ。」
流石にかみそうだ。
「マークスおじさんのようなサークレットに似せて作ったから喜んでくれたらいいな。」
「きっと喜びますよ。僕は、ジークベルトの誕生の準備でもしています。」
そんなこともジークベルトは、知らず誕生日の日。いつもと同じ馬小屋の愛馬の世話をしようとしたら
「ジークベルトいたいた!馬小屋の馬は、私が世話するから温泉にでも入っておいで。」
エリーゼがジークベルトに温泉セットを渡す。
「エリーゼ叔母上温泉は、閉じているじゃ。」
「沸かしてあるから入っておいで。」
ちっちっと手で追い払う仕草をジークベルトに向けるエリーゼ。
愛馬の世話をエリーゼに任せてジークベルトは、温泉に向かった。
「ジークおはよう。今日の一番風呂は、貴方よ。」
浴衣に着替えたカミラが艶っぽく笑みを溢した。
「今日は、貴方の好みのお風呂の香りにしてあるからはいってきなさいな。」
カミラの言う通り温泉は、薔薇の香りがしていた。温泉から上がるといつもの服が置かれた。着替えると置き手紙を見つけて開くと
「ジークベルト食堂に来い。マークスより」
温泉には、カミラがもういなかった。手紙通りにジークベルトは、食堂に向かい扉に手をかけて開けると
「ジークベルト誕生日おめでとう!」
クラッカーの音が食堂に響き。辺りには、暗夜の王族、シノノメ、フォレオ、オフェリエ、カンナが笑顔でジークベルトを迎えていた。
「今日で私の誕生日だったのか。」
「おいおい。自分の誕生日忘れていたのか。」
「数多の星で導かれ誇り高き闇夜の王族として生を受けた。さぁ祝福を祝う司祭と楽しみましょジークベルト。」
カンナが駆け寄ると箱をジークベルトに差し出す。
「カンナ私に誕生日プレゼントかい。」
「うん。この日まで避けてごめん。」
「開けてみてもいいかい。」
「うん。」
「綺麗だね。カンナが作ってくれたのか。ありがとう。」
カンナの頭を撫でると嬉しそうに笑い返してくれた。
「ジークベルト生まれてきてくれてありがとう。大好きだよ。」
抱きついくるカンナ。
「見せびらかしくれな。」
「シノノメ手伝え。」
「おうよ。マークスさん後は、俺らがやるからジークベルトの所へ行っていいぞ。」
「いいや。まだケーキが出来てからいくぞ。」
厨房の中で第一王子とシノノメが料理の仕立てをしていた。和食の方は、リョウマとシノノメが作れても。洋菓子だけは、マークスしか作れなかった。
「よし出来た。」
「よし後は、利用運びは、俺がやる。マークスさんは、ジークベルトの方へ行っても大丈夫だな」
「あぁ行ってこよう。」
マークスお手製のケーキを運んで息子の所へ行こう。
「誕生日おめでとうジークベルト」
終わり。力尽きた。