レオンが食文化とファレオがファッション文化を交流するお話。

○月×日

弟王子タクミからミソシルという茶色のスープに似た和食をごちそうになった。ミソシルというのは、米か大豆とかつおぶしを使ってミソの固まりにするそうだ。鍋に豆腐とわかめを入れて沸騰したらおたまにミソノ元を掬ってそのまま溶かして完成だそうだ。トマトスープと違いやわらかい味がして美味しかった。祖国にミソシルという食文化を広めてみたい。タクミに協力してもいい。


レオンが日記を書き終えると伸びをした。少し前タクミを間抜けな甘ったれで気にいらなかった。しかもカムイの血縁の弟王子という。弟王子の肩書きが自分に似ているところに癪に触った相手と今では、親睦を深め合う仲である。

「お父様ー。いますか。」
声が息子のフォレオとわかると部屋に入ってもいいと声をかけた。

「ピーチティー淹れてきました。果物を分けてもらったので一緒にどうです。」

美少女ー。美少女と見間違える可憐さをもったレオンの息子フォレオがお盆をもって入ってきた。

フォレオは、可愛いものが大好きで。好きが高じて手作りの女物を着るようになった心優しい息子。少し前に山賊が占拠していた街へ立ち寄った時に淑女(風貌も言葉遣いも)になったフォレオと再会した時レオンは、フォレオのことを恥さらしと罵り傷つけてしまった。

フォレオが山賊に人質に取られ退治して救助した時父に泣きながらもう父に会わないと謝罪した。

小さな自尊心で息子を傷つけてしまったことが間違いであることを知ったのは、街の人が誰一人フォレオが献身的に治療したおかげで死人も一人も出さないでいたことに感謝したのを目の前で見てからだ。

今は、異界の城で白夜王国の人と生活をしている。

「フォレオいつもの服は、どうした?」

「みんな洗濯中で。オボロさんからユカタとハカマを少し借りたのです。」

縦ロールの髪をおろして紐で少し結わえ。雪の柄のユカタの上にハカマの紐をしめたフォレオは、白夜の衣服を着ていた。

「ユカタの一着とオビだけで服になるそうです。」

「ボタンのない服でも服になるものがあるだな」

「涼しくて着やすいです。オビの色とユカタの色で組合せを変えるとだいぶ違って楽しいです。」

「フォレオ白夜王国に興味が出たのか」

「はい。キサラギさんから聞いた話では穏やかだけど平和で明るい国で暮らす人達は、優しい人と礼節を重んじる人が多いとか。ヤタイという外でも歩きながら食べれることができるとか。」

「作物が多く育ってやすい土地だからね。もっとも自分達が平和なら他国の情勢を知らないでのうのうと暮らす人達が多い。」

「お父様は、トマトが好物だとしっていますがいつ食べて好きになったのですか?暗夜王国では、作物がそだってにくいと聞いていますが」

「カミラ姉さんに誘われて作物が育ってられる土地へたまたま連れていってくれた。トマトを食べて美味しかったことが忘れなくなった。太陽と恵まれた土地へ領土を拡大すれば、美味しいものを家族で囲って食べれる日々を過ごせば民も幸せになれると僕は、戦争に加担していた。」

奪いことでしか生きることにいっぱいな貧しい暗夜王国は、白夜王国の豊かさ謳歌をしている土地から奪い取りたかった。そうしなけば生きられないから。王族も。貴族も。民も。

「フォレオ黒幕を討伐した後行きたい所あるかい。」

加害国と被害国は一時休戦をしている間は、親睦を深めている。あるものは、食文化を。あるものは、ファッション文化。あるものは、暗夜へのわだかまりがとけたものもいる。国際結婚して家族になったのもいる。

「僕は、フォレオの父親だから行きたい場所があれば連れてってあげたい。」

秘境に会いに行くことしかファレオと過ごすことしかできなかった。親子で何処かへ連れて行きたいと思っているのが初めてでいる。

「行きたい所は、フォレオが決めてくれ。決まったら僕に教えてくれ」


終わり。

暗夜王国を次に担うのは、子供たち。現第二王子レオンは、息子のフォレオに見聞の旅に行かせたい。暗夜王国に行くならファレオ自身が国父の故郷の内情知ることになるし。白夜王国に行くならタクミか王族に頼って護衛をつけるだろうし。