第二王子の子供が父から神器の使い方を習うお話。


癒し手である僕フォレオは、お父様から神器の魔導書ブリュヒルデを開いて励んでいる。お父様のブリュヒルデの魔法は、大地と重力と生命を操ることができる。なにもないところから林檎の樹が地面から湧き敵を飛ばす魔法攻撃。

「何故でしょ?苗木しか生えてこない。」
ストラジアスである僕は、色々な魔導書を使えるようになっている。なのにお父様のようにブリュヒルデが発動しない。

「フォレオなにしているのー」

「キサラギさんお父様からブリュヒルデを習っているのです」

「どこも林檎の樹がなていないよ。」
キョロキョロ辺りを見るキサラギ。

「ねぇ食堂に行かない?僕神風弓の練習でおなかすいてきちゃった。」

ぐぅぅぅぅぅ。

「腹がへては、狩りが出来ぬ。行こう。」

キサラギさんに手を引かれ食堂へと向かった。


「キサラギさんフォレオさん。食べにきてくれたのですか」

「二人ともお腹すいたでしょ。今日は、私とサクラでごはん作るからね。」

食堂の番頭にサクラとエリーゼが迎えてくれた。

「僕白夜料理ぶり大根」

「クリームシチューをお願いします」

サクラとエリーゼが厨房に入った。

「待たせたな。キサラギぶり大根」

「フォレオお待たせクリームシチューよ」

注文した料理をヒノカが和食とカミラ洋食を運んでくれた。

温かい香りが鼻孔にくすぐり食事をした。

「おかわりー」

ごはんをヒノカに差し出す。

続けてキサラギがごはんを頬張る。

「ひえのんーはむ」

「口に食べ物入れてから話せ」

ゴクンっ。

「ヒノカ伯母さん風神弓の歴史が聞きたい。」

「フォレオ傷は、もういいの?この間貴方が負傷兵を治療していた隙に襲ってきて。レオンが早く来なかったら軽傷ですんだのよ。」

「ご迷惑おかけしました。カミラおねえさん」

「フォレオからブリュヒルデを学びたいと主張した時は、驚いたわ。どういう風の吹き回し。」

「それは……」

「治療中の兵士が伏兵からフォレオ庇ったことに負い目に思っているのでしょ」

「………はい。ブリュヒルデは、暗夜王国が建国された時に神器として代々王族にしか扱えない魔導書と聞かれています。」

「神器は、扱える人を選ぶわ。おねえさんでも神器を扱うことは、できないわ。」

「僕には、高い魔力を秘めているとおっしゃってますが苗木しか生えてこない」

「フォレオは、ブリュヒルデ習ったばっかりでいいのよ。レオンもできるようになるまで時間かけてでも発動できたんですもの」

暗夜王国の長男も長女も扱うことが出来ないというブリュヒルデをフォレオの手にある。お父様が馬にまたがりブリュヒルデで敵をなぎはらう神器の魔導書。


「風神弓の所持者は、雷神刀の所持者の伴侶として譲られるものだ。タクミは、たくさん努力して前の風神弓の所持者女王である母上のミコトから譲り受けたものだ。」

聡明で美しい義理の母は、風神弓から認められた揺るぎない精神をもった人だった。反面涙もろく純粋なひとだった。母と認めず妹を取り戻したいと息巻いて怒りをぶつけた時の傷ついた表情は、忘れなれない。

「キサラギ風神弓は、美しいか。」

風神弓の本体をヒノカ伯母さんに見せた。

「まだまだ風神弓の弦を出すことを認めるまでたくさんして父上のように近づくだ。ごちそうさま」

「片付けてから外へ出なさい」

ぐぇっと声をあげてカミラに襟を掴まれて食べた食器を返却口に返した。

「また来てねー」

エリーゼが二人を見送った。


あとがき

食堂の当番で天真爛漫な妹姫と控えめな妹姫に看板がやらせて満足。

看板娘相談が出来る淑女なカミラおねえさまと頼れるアネゴのヒノカが神器の歴史を教える役になってもらいました。けっしてヒノカのアネゴがメシマズで料理の当番と看板娘を妹姫と交代してたわけじゃない。