戯れの泉

『なんとか槍が届かない範囲でクロム様と距離を取ってください。』

『はぜ散れ！』


フレデリクとサイゾウのことを交互に思い浮かべた。

『衛生兵ー！』

『うぐっ。甘い菓子をこっちに近づけるな。ぐわっ。』

『お二人に大ケガをされでばエメリナ様が悲しみます。』

『お前はバカか！？俺が危ないことを手伝えと言っていない。そんな怪我をしたらお前の父君はなんと言う！？』

母に警戒心を露にするフレデリク。

危害を加える者に自爆をしてでも倒そうとするサイゾウ。

肉が嫌いで逃げだすフレデリク。

甘いおかしの薫りに失神するサイゾウ。

主君を想うフレデリク。

あぶないことをしてカナに怒るサイゾウ。

「サイゾウは、怖い顔をしていて。お父さんと故郷に危害を加えたら自爆してでも倒すよ。」

「自爆！？貴方の故郷の臣下はどうゆう教育しているのですか！？」

「分かんない。お父さんとお母さんが一緒になる前にはすでにサイゾウは自爆できるように身体に仕込んであったもん。」

「全身を武器に倒そうとする人なのですね。」

「サイゾウは体力も。悪運も強いよ。ちゃんと拠点近くに戻っては、よくサクラおねえさんとアクアおねえさんが治療することが多いよ。」

「王族から治療されるほどに信頼が厚い方なのですね。」

白夜王国の王女は自ら治療をするのは当たり前になっている。ちなみにサイゾウの手当方法は白夜王女で違う。

アクアは自分の服を包帯に応急処置。本格的な治療は巫女のサクラ。

「あとあたしがお手伝いしていて大ケガしそになったときは身を挺して庇ってくれたよ。それから叱ってた。『父君が悲しむことをするな！？』」

くわぁと眼をか開きながらサイゾウらしい物真似をするカナに。フレデリクの抱いたサイゾウの印象は

『危険人物。でも王族から信頼が厚い主戦力。厳しい人柄で。主君の娘に対しても怒る硬派な人柄。』

「ハイスペックな臣下なのですね。とっても私には王族を叱る真似はできませんね。」

「えーフレデリクもサイゾウに似ているところが多いよ。忠義に厚いところとかあとね‥「いいえ。私は王族を叱る真似は出来ません。」

カナの言葉をフレデリクは強引に遮った。

「さぁ貴方の故郷の手癖の悪い猿を退治いたしましょ。お別れです！」

そう言ってフレデリクは馬を走らせクロム兄妹の近くにいる見えない敵を凪ぎ払いに攻めた。

その頃サイゾウは

「どこに置いた激辛調味料の元。」

シノノメの仕置きの調味料の元を自室で探していた。

区切り。