泡沫の記憶篇が始まる前の話です。
カンナは、暗夜王国が勝利した後から産まれた子供です。ベビーシッターのジョーカーが引き続き子守りをしています。
「カンナ。カムイ様は、何故白夜王国を捨てて暗夜王国に味方をしたか聞いてるか?」
「うんとね。お母さんのことを育っててくれたお兄ちゃんとお姉ちゃんを裏切れなかったから。」
「その通り。カムイ様には、兄のマークス様や姉のカミラ様の他に弟のレオン王子と妹のエリーゼ王女がおりました。」
「お母さんは、五人兄弟でうーんと‥三番目の子供だったんだ。」
「はい。その通りです。カムイ様は三番目です。」
「じゃ白夜王国にいる兄弟は、何人いるの?」
「昔は、五人は、いました。けれどもそのうちの長男と次男が戦争で亡くなり。今では、カムイ様の姉と妹が生き残り。姉妹で白夜王国を治めています」
「ねぇ戦争ってなぁに?どうしてお母さんの白夜にいたお兄ちゃんと弟は、亡くなったの。」
「亡くなったよりも先代の暗夜王の臣下がお二人を嵌めたのです。」
「嵌めたって?」
「そうですね。嵌めたというのは、カンナ失礼します。」
「わぁ!」
ジョーカーがカンナを持ち上げる。カンナは、身体をジョーカーに後ろ向きでくつかれた。
「わっ!暗いよ。いたたっ。」
カンナの目が暗い何かに塞がれ視力を奪われた。その次に両手を塞がれた。首に冷たい物が当たった。
「暴れないで大人しくしろ。暴れても刃物が食い込むだけだ。斬られたいか?」
「ひぃぃ。」
どうしよう。ジョーカーの冷たい声がカンナは、怖い。身動きが取れない。暴れたい。でも刃物が首に当てられて動けない。
「ひっぐ。ジョーカー怖いよ。目が見えないよ。」
すぅっと冷たい物が離れる。カンナの目の前が明るくなった。ジョーカーがカンナを床に降ろした辺りで目隠しの布を取ったことに気づくまでカンナは、泣いていた。
「怖かったよ。ジョーカー。急に僕に刃物を向けて。」
「刃物?いいえ。刃物じゃありません。」
「嘘だっ!あっ。」
ジョーカーの手には、スプーンを持っていた。
「刃物を向けるわけないじゃないですか?カンナの勘違いです。」
「ひどいー。僕怖かったんだから!?」
「怖かった?ハハハ。」
「何笑っているの。」
「カンナこれが「嵌める」というものです。カンナを怖がらせることが出来たのならね。」
「むぅー。」
ふて腐るカンナに対しジョーカーは、爽やかな笑みを浮かべた。
区切り。