カムイの回想ー。
●●●●を選ぶ●●●●に暮らした。カムイと育った兄弟姉妹の家族構成が似ていたこともありカムイは、平和に過ごした。
でも周りにどれだけ優しい人に愛されたり。カムイを英雄として祭り上げてもカムイ自身の心は満たされることもなかった。
竜に変身できるカムイがある日泉で水浴びをしていると声が聞こえた。あの戦いで凶刃から身をていして守ってくれた小さなあの竜の声が。
「カムイ様。この声が聞こえていますか。」
「リリス!何処にいるの!」
「もう少し泉の真ん中にお越しください。」
いわれた通りに真ん中に来ると足を泉に取られ竜でも体が沈んだ。でも不思議と水のなかなのに息苦しくならなかった。泳ぐようにリリスがカムイの目の前に飛んできた。
「カムイ様会えて嬉しいです。」
竜の体でリリスを撫でた。
それから他愛ない話に花を咲かすとリリスはこうも切り出した。
「カムイ様は幸せですか。」
「えぇ。少しずつだけど本当の家族にもどりつつあるよ。」
「それなら何故涙を流しているのです。」
竜に変身していても涙が流れた。
「カムイ様は、両国の兄弟姉妹と暮らしたかった。母ミコト様のために●●●●を救うため身を粉にしてきた。結果親愛なるマークス様を手にかけてしまった。」
マークスの単語にカムイの胸が苦しくなった。マークスのことは、カムイにとって憧れの存在であり初恋だった。
外へ出てから血のつながりがないことを知り悲しかったけど同時に嬉しかった。初恋の相手と結婚が出来ると確信できたから。両国の戦争を終わらして平和な時代になってからマークスと結婚したかった。
「うぅぅぅぅ。」
「求婚話を持ち出されてもカムイ様の心は既にマークス様だけで一筋。」
竜から人間に戻ると両手で顔を覆い隠した。
「‥‥マークス兄さんのいない世界なんていらない。」
「えぇ。カムイ様は十分頑張られた。それならマークス様がいる星界へ行きませんか?」
「そんなところがあるのですか?」
「えぇ。そこは、「不思議の国」という星界の名前です。」
「不思議の国?秘境って名前ではないの?」
「秘境と呼ばないのです。不思議の国は少し特別な星界なのです。ただしそこへ行けば二度と元いた道の果てには、戻れなくなります。」
「連れて行って。」
これには即答だった。
「マークス兄さんが生きているならリリスお願い連れて行って!」
「わかりました。カムイ様少し手伝ってもらっていいですか。」
「何をすればいいの?」
「カムイ様が心から抱いた願望を強く念じてください。自分が望んだ幸運と理想をです。私が不思議の国の扉を開きます。」
カムイは、強く念じた。もしも一つの道を選んでも後悔の少ない未来を。
あの日一つの決断下した時にリリスに導かれた光がカムイを包み込んだ。
「お母さん」
「母上暗夜王国へよく来てくれました。」
不思議の国。カムイは、二児の母親になっていた。マークスにそっくりな長男ジークベルト。次男で母と慕ってくれる甘えん坊のカンナ。マークスの妻になれて。母になれてカムイは、幸せだった。
そうそこまでは。問題のなのはマークスの方だった。マークスは、カムイのことを「妻にした覚えがない」とも暴言を吐いた。その日の夜
「ひっく。ひっく。」
隣に裸のマークスと顔に枕を埋めてカムイは、泣いた。
「カムイ。」
返事が出来なかった。シーツは、カムイの血で染められていた。