回想ー。
「ジークベルト。」
「父上なんですか?」
「母親が欲しくないか?」
「え?」
「国王に即位してから私は親として過ごす時間を短くなっているだろう。六才のお前には寂しい思いしているだろう。」
「それは‥‥」
マークスが国王に即位したことでジークベルトは秘境から暗夜王国で暮らすようになった。でも父の手元にいるからと言って過ごす時間が短い。母親代わりにしてくれるカミラとピエリはいるからそんなに寂しいと思っていない。
「父上誰か気になる女の人でも出来たのですか?あんなに見合いの手紙を燃やしていたのに。」
「貴族の下心に応えて結婚が出来ないものだから燃やした。」
「あっ。銀髪のお姉さんから父上へ手紙渡すように頼まれたんです。読みますか。」
香水の香りのする手紙を渡し父上が読む。ビリッと二枚入っている一枚破いてもう一枚を懐に閉まった。
「どうして隠すんですか何が」
「子供にはまだ早い。話を戻すぞ。コラッ拾って読まない!」
ジークベルトの手から破れた手紙をばっと取るとそれも懐に入れた。
「妻として迎え入れる女を3つジークベルトに紹介しよう。」
「なんでしょ?」
「1つは妻として迎える女は私が長年片思いした女。ジークベルトからすれば血の繋がりのない母親。2つは妻となる女には男の子一人いる。男の子はジークベルトからすれば弟のようになる男の子だ。最後は妻となる女はある病気で身体に不自由がある。」
のろけと爆弾発言が飛んできた。
「その人といつ会えるのですか?」
「今日だ。もう来ている。」
即答!
「入っていいぞ。」
ドアが開くとカミラに引かせている車椅子に乗った女性が入ってきた。車椅子の女性がマークスの妻になる女。
「綺麗な人だ。」
女の人は笑った。女の人は綺麗と可愛いを兼ね備えた美貌の持ち主だ。ピンクが混じった白い髪のウェーブ。ルビーのように紅い瞳。人を作った神様がいるならよく作られた美しさだと感動した。
「カムイ筆談はやめなさい。あれを出しなさい。」
すっとカムイの手の平から綺麗な石をジークベルトに見せた。
「‥‥あの?カムイさん。」
「‥‥‥パクパク」
「カムイはゆえ口から声が出ない。竜石からは声を聞こえるようにしてある。私は聞こえる。残念ながらジークベルトは聞こえないようだな。」
「どうしてカムイさんは足を動かせない。声が出ないのですか。」
「それは時がきたら教えよう。今日は新しい母と顔を合わせだ。」
そこで解散した。カミラに車椅子を引かれカムイも部屋に出た。もう少しカムイと過ごしたかった。カムイとは初めて会うのにどこか懐かしい感じがした。安心するような気持ちになったような。
回想終了ー。