「あのカムイさん。」
「なぁに?」
身振りでカムイは返事をした。簡単な返事には筆談しないで身振りで返す。
「カムイさんは父上どう思っているのですか?」
はにかみながら微笑んだ。
『厳しくもあり心優しい人でした。』
過去形?
「カムイさんに男の子がいると聞いたのですがその子父マークスの子供ですかか?」
違うと首を横に振った。
「貴方は何処から来たのですか?」
『白夜王国王家の出身です。肩書きは白夜の第二王女であった者です。』
「白夜王国!ってあの」
はっと口を塞いだ。白夜王国。暗夜王国のないくらい豊かな王国。というのは最近の話。白夜王国は統治者が不在。戦争の中次期国王リョウマは亡くなり。リョウマの代わりになる兄弟姉妹は行方不明。具体的な理由は知らない。
くいっと袖を引っ張られた。カムイはなにかメモを見せた。
『私は白夜王国のために暗夜王国に嫁いだのです。』
暗夜王国と白夜王国の政略結婚。一国の王家にとってなにも珍しいことじゃない。どの時代の王国によくあること。
「カムイさんの子供の名前はなんというのですか?顔を合わせたら名前を呼びたい。」
ガラガラっ。馬車が目の前にきた。扉が開くとカミラが飛び出すや否やカムイに抱き締めた。
「カムイ良かったわ。無事で。何処か怪我してない?魔物に襲われたりは?」
カミラの美乳がカムイの顔に挟まっている。カムイの手はカミラの髪を撫でた。
「さぁ帰りましょ。ジークベルト。」
「はい。」
「ベルカに護衛をつけさせるから帰れるわね。私はこの子を馬車に乗せて帰るわ。」
「わかりました。」
「任務了解。ジークベルト様の護衛を引き受けます。」
ジークベルトの後ろからベルカが立っていた。そのままカミラがカムイを持ち上げて馬車の席に座らして帰っていた。
区切り。