DL版に配信された追加ストーリ「泡沫の記憶」が開始される少し前の話です
お話の軸はギュンターが息子のカンナを連れて逃亡をしています。
「ひっぐ。‥‥えっぐ。」
「泣くなカンナ奴等に気づかれてしまうぞ。」
ギュンターは幼い息子を馬にのせて森を走ていた。
ギュンターはどうしてこうなったのか思い巡らせていた。
戦乱の世。二つの国の王族が争い合っていた時代は、長い時間をかけて平和条約を結んだ。それに至るまで犠牲が多かったわけがなかった。
ギュンターは戦乱の世の犠牲者の生き残りだった。最愛の人。大切な者。帰る場所。それを傲慢な国王に奪われた。彼に報復するため生き延びた。しかしそれは過去の話。
傲慢な国王が世を去った。王が世を去る前カムイの逆プロポーズを受けとっていたギュンターは晴れてカムイと再婚した。
もうギュンターは年老いていたので静かな余生を送ろうと妻と一緒に片田舎に引っ越した。
そうして息子のカンナが産まれた。
「もうギュンターさん泣かないの。」
「うぐ。ひっぐ。」
きゃ。きゃ。と赤ん坊は笑った。
「カンナ。お父さんのところへ生まれてきてくれてありがとう。」
「赤ん坊の名前か?」
「はい。ねぇカンナ。」
「きゃー。」
「明るい笑顔で照らされる子でいてください。」
ギュンターは思った。カンナが大きくなるまで長生きしようと。
区切り。