吹雪が吹き荒れる外を見つめながらカムイの言った単語を思い出す。
うさぎのぬいぐるみを大好きだったレオン。
明るい空も暗い空も見れる桃色の花。
暗い夜道のなかレオンとカムイを迎えにきたマークス。
どれもこれもマークスには記憶にない。当然のことだカムイは元々白夜王国の王女で父王が無理矢理「娘」にされた子供だ。加えて暗夜王国の王族にもされている。
白夜王国で過ごした思い出のことをカムイは覚えていて言っていったのだ。
レオンがうさぎのぬいぐるみが好きなのも。恐らく白夜王国にいるタクミ王子のことを言っている。
暗い夜道で迎えにきたマークスと言うのは白夜第一王子のリョウマのことを差して言っている。
それをマークスはカムイに夢だと言いくるめた。あのあとレオンに毒舌を言われ泣き出す義妹を落ち着かせるのは大変だった。
「カムイは嘘をついてない!嘘をついてない!」
と怒鳴りながら泣き出す義妹にマークスは胸を痛めた。
カムイは平気で嘘をつくこともない。それはカムイを妹のように過ごす中で知っていること。
カップが空っぽに気づきポットから注ごうと立ち上がると
ダダン。ダダン。窓を叩く音がし窓を見ると飛竜に乗ったカミラが雪まみれになって窓を叩いていた。
「カミラ。今窓を開ける。」
窓を開けると吹雪が部屋に入りカミラがマークスにしがみつくように袖を掴んだ。
「お兄様!カムイが‥‥カムイが‥。」
「カムイがどうしたんだ?カミラ?」
「カムイが北の城塞にいなくなったわ!」
区切り。