「後悔しませんか?その先にどんな結末が待っていても」
ダリオスを救出するためにもう一度要塞に入ったアイトリスの軍隊。
ダリオスを牢屋から出して。あと一つで宝石を填めて完成する炎の盾を保管している玉座にいる魔物を倒した。そこまでは、よかった。
そこからダリオスは、リアンとシオンを襲い完成した炎の盾を奪った。
そうしてダリオスは、囚われていた城塞を破壊し。
リアンとシオン率いる軍は、裏切り者ダリオスを除いて命からがら逃亡した。
また振り出しに戻ってしまった。
未完成の炎の盾を持ったダリオスが敵に囚われて。
異形の者を倒す為の二本の神器を振って完成した炎の盾とダリオスを救出する目的が。
信用できないダリオスに裏切られて水の泡になってしまった。
「裏切り者は、塵になるべきだ」
「ダリオスは、何か事情があるんです。」
「ずっと姉さんと俺を支えてくれた仲間だ!」
双子は、ダリオスを庇っていた。
暗夜王国弟王子と赤の剣士ナバールは、裏切り者を粛清する気でいた。
僕は、元々ダリオスを信用していなかった炎の盾が奪われた時のあーやっぱり。信用できない奴だよ。
馬鹿だよ。アイトリスの双子は、信用できないやつを信じたから。
ここぞとばっかりに牙をかれることになったんだ。
「後悔しませんか。その先にどんな結末が待っていても。」
ダリオスを罵っているとカムイ姉さんの声が響いた。
僕は、意識をカムイ姉さんに向けた。
僕は、カムイ姉さんと一緒に出撃することがあったもののあまりカムイ姉さんと話したことはなかった。
戦いに行くとき以外は、自分から話に行かない。カムイ姉さんも僕には、声をかけない。
軍と戦う姉さんは、夜刀神片手で戦っていた。身体の一部を竜化して荒々しく敵を薙ぎ払っていた。
姉さんの近くで戦っていた僕から見てカムイ姉さんは、僕の知っているカムイ姉さんだ。
サクラも。ヒノカ姉さんも。リョウマ兄さんも。カムイ姉さんとして見ている。
だけど僕は、カムイ姉さんのことをこう思っている。
カムイ姉さんは、僕の知っているカムイ姉さんでは、ない。
崩れる城塞を尻目に眺めて。完成した炎の盾を
取り戻すこと。双子を裏切り者から守ると決心した。