ルキナのいた闘技場の周りには、砂漠がなかった。
ウードから聞いたルキナの話。ルキナ本人に聞こうか。だけど相手は、話したことがない姫。
その相手が
「あのレオン王子?」
目の前にいる。ウードが口添えしてルキナをレオンの元へ来るようにさせた。
ルキナは、クロムの娘でウードの母親リズの姪になる王女。
あんまり話したことがない相手にどう切り出せばいいかレオンは、分からなかった。
「レオン王子。」
「何だよ。」
「シャツが裏返しです。」
「えっ!?わわわっ。」
慌ててルキナから離れて天幕に戻って直そうとした。
どんっ!
「おい。前を見ないで走ると危ない。ってレオンか?」
「いてて。クロム王子」
「レオン何故ボタンを逆に閉めているんだ?流行りなのかい?」
「そんなわけあるか!!」
僕の大声がルキナのいるところまで聞こえたそう。
「それでルキナに聞きたいこととは、なんだ?言いづらいなら俺が聞いてやる。」
「レオン王子お父様を同席してまで聞きたいことというのは、重要なことですか?」
あのあとシャツを直してルキナのいるところへ戻ろうとしたらクロム王子がついてきた。
ルキナとクロムが並んで座るとまるで兄妹に見える。だけどこの二人は、父と娘。
「僕がルキナに聞きたいことと言うのは、ウードから君のいた闘技場のことを聞いた。君のいた闘技場には、砂漠がないことを。」
「お父様の生きている過去のことですね。はい。お父様が同盟になる国にあった闘技場の周りには砂漠がなかったです。闘技場までの道のりにも砂漠がありませんし。オアシスまでもありません。」
「そんなものは、なかったぞ。闘技場まで行く道は、歩きやすく整っていた。」
ウードの言ったことは本当のようだ。ただ僕自身もクロムとルキナのいた場所のことは、行っていないし。確かめていない。
次から次へと質問してみた。
「チキ様は、アイトリスでは、子供の姿でした。だけど私のいた時代ではチキ様は、落ち着きのある大人です。」
「チキとは、会ったことがないぞ。」
ルキナが見たことがアイトリスに来てから違っていた。
クロムは、アイトリスに来る前は、チキと面識がない。
カムイ姉さんが竜に変身すると4本足で移動している。だけどアイトリスに来てからカムイ姉さんがオーラ出して向かってくる兵隊に光線のように放つのを見たのは初めて。
チキは、大きな竜に変身して薙ぎ払える。低空飛行して移動している。
「ルフレさんは、ギムレーの力でお父様に攻撃していました。」
「あのときは、怖かった。友が急にリズやフレデリクを攻撃しながら俺に襲いかかってきて。あんなこと一度もなかった。」
「シオンさんとリアンさんの的確な指示でどうにかルフレさんを止めることができたのは、良かったです。」
「ファウダーは、竜の祭壇の力を使ってルフレさんを操つり。だけどファウダーが退却したあと竜の祭壇にある祭具を壊しました。もう二度ルフレさんが利用されないように。」
「祭具を壊すとルフレは、ギムレーに乗っ取られなくなるのかい?」
「いいえ。もう一つあります。邪竜ギムレーの遺骨の全身。ただギムレーの遺骨の全身は、アイトリスには、なかった。それは、不幸中の幸いです。あのまま遺骨も来たら。奴も一緒にアイトリスに来たと思えばゾッとします。」
「ルキナ顔色が悪いぞ。」
「すいません。お父様がうっうっ。」
ルキナは、泣き出してしまった。
ルキナの言うギムレーの遺骨全身と「奴」は、ルキナにとって怖いものである。
忘れがたい場面にルキナは、遭遇していることを匂わせていた。
アイトリスに来なかったギムレーの遺骨の全身と「奴」は、クロムの死に関係するものなのかもしれない。
だけどこれ以上は、クロムに肩を抱かれて泣いているルキナに追及ができない。
「ギムレーがルフレ操りにきたらまた倒せばいい。俺もついている。ルキナは、もう一人ではない。仲間がいる。」
泣く娘をクロムは、励ましていた。
子供が父親と変わらない年齢になっても。親からすれば大切な子供であることは、変わらないだなとレオンは、思った。
話に協力ルキナとクロムのために飲み物を用意しよう。
レオンは、席から離れて飲み物を用意することにした。