娘が初めて熱を出して発見したことも多くあった。
頼れるかかりつけの医者を早く見つけなければならないこと。
耳で瞬時に体温を測ることができる体温計がとても役に立つこと。
熱が出てツラくなると、娘は猪木のように顎を出すこと。
娘がツラそうなときは妻さんも僕もツラくてたまらないこと。
みんなが元気いっぱいで過ごせることの大切さ。尊さ。幸運。
金曜の夜から熱が出た。
38度を超えてとてもつらそうにしてる。
1歳5ヵ月の今まで、熱も出したことがなかったことの方が幸運だったんだと思う。
初めての病気。
凄く心配した。
ご飯もあまり食べれなくて。じいっとしてる。
いつもあんなに動きまわってるのに。
依然、ふと考えていたことを思い出した。「子供は常に動きまわって、病気したときに休ませるのは苦労するだろうな。」
こんな的はずれな心配すらしていた。
病院も、これまで予防接種くらいにしか行ったことがなかった。
先生にとっては何人も診てきたうちの一人だろうけど、こっちは初めての病気だ。話を聞こうとしない不親切な先生に不安が一層高まった。
あんな医者には、もう二度と行かないと妻さんと決めた。
食欲がない娘。食事の時間もいつもの楽しい時間じゃなかった。
料理を作ってくれる妻さんはなおさらだ。極度の心配の上に、食べてくれないイライラも重なってしまう。
僕に何ができただろう。こんな時にこそ頼れる父になりたいのに。
出張に出掛ける朝、いつもはまだ寝ている時間に娘が目を覚ましてくれた。
お父さんに会えなくなるのが寂しかったのだろうか。と、勝手な想像をしながら、「かわいい娘だな」なんて思っていた。
僕は出張前に娘をよーく見ておこうとのぞき込んでいたけど、娘はキョトンとした表情で僕を見るだけだった。
「寝起き直後だからな」勝手な想像だ。
妻さんが朝の家事に一段落つけて僕たちのところに来てくれた。
娘は妻さんを見つけると笑顔になって抱っこを求めた。
僕はその様子を見ながら、自分の想像は甘かったなと、少し反省。育児は思うようにいかないものだな。と、改めて思ったのでした。
娘は妻さんや僕たちの喜ぶことを喜んでくれる。
グッドタイミングでバイバイしてくれたり、目的地に到着したときに「着いたー」と言ったり。
ときには、でんぐり返ししそうなヨガのポーズも。妻さんと僕は大喜びだ。
それに、娘は妻さんと僕のやり取りをよく見ている。
仲良しにしていると娘もニヤッと笑って、ご機嫌に見える。
この調子で思いやりのある人になってほしいな。
三角や四角などいろいろな形の積み木を、いろいろな形の穴が開いている箱に入れて遊ぶおもちゃ。
同じ形じゃないと中に入れることができない。
娘は興味を持って、頑張って中に入れようと試みる。
入ったときは、嬉しそうに笑顔で拍手するのが、とてもかわいい。
でも、まだまだ上手く入れられないことの方が多い。
昨日もなかなか上手くいかなかった。四角の穴に三角の積み木を力づくで入れようとしたり、角度がずれてしまっていたりで、やっぱり上手くいかない。
そのなとき、ポーンと積み木や箱を放り投げ、床に突っ伏して両手で頭を抱えて「ガーン!!」って、絶望の感じのポーズをした。
そんなポーズをどこで覚えたの?
妻さんも僕も、初めは凄くビックリしたけど、小さな体なのに大きなアクション、些細な形遊びなのに限界までの絶望の表現、そんなギャップにとてもウケてしまった。
妻さんはそのあとも何度か思い出し笑いしていた。