娘が通う幼稚園で年長さんのお別れ会があった。
クラス毎に出し物をするなど思ったより立派な会だったようだ。
僕は残念ながら会社を休めなくて、妻さん撮ってくれたビデオで楽しんだ。
娘のクラスの演目は、楽器の演奏と合唱だった。
クラスの中でも背が低い娘は、舞台の前列だ。
始める前にするお辞儀がとても上手で驚いた。
娘はカスタネットを担当していた。他にも大太鼓、小太鼓、タンバリンがあって、皆楽しそうだった。
合唱でも娘は大きな口を開けて歌っていた。
カスタネットを演奏している1人がスタートから明らかに裏拍になっていたり、演奏が終わって楽器を片付ける時に小太鼓を倒しちゃったり、完成度の低さに担任の先生の苦労を垣間見た気がした。
だけど、始めと終わりのお辞儀はみんな完璧にできていた。
それだけでも大満足だ。娘の成長をたくさん感じることができた。
息子を抱っこしたまま撮影してくれた妻さんに感謝だ。
僕の息子はご機嫌にしていたと思ったら、突然泣き出すことがよくある。
こけてしまった時だけじゃなく、みんなで遊んでいるときも、僕が高い高いしているときも、突然泣き出してしまう。
そんなときはいくら頑張っても泣き止まない。
抱っこしてもダメ、人形を見せてもダメ、おもちゃを持たせようとしてもダメだ。
首を振って拒否する姿は可愛いけれど、泣き続けるから参ってしまう。
何が欲しいのかは、わかってる。
お母さんだ。
お母さんに抱っこされて満面の笑顔を浮かべる。
今はとっても甘えん坊の息子。
妻さんを取られて、「マザコンや」って負け惜しみを言ったりもするけれど、本心では、泣き止んでくれて、ホッとしている。
息子のあんよが上達してきた。
帰りが遅くなった僕がご飯を食べていると息子が台所の妻さんのところと、遊んでいる娘のところを、歩いて行ったり来たりしていた。
歩くことに集中している息子は口が半開き。
よろけたりするので腕を使ってバランスをとって歩いている。
台所に来ると、妻さんが家事の手を止めて「すごいねぇ」って褒める。
すると、息子はとても嬉しそう。顔をクシャっとさせた笑顔は妻さんも僕も大好きだ。
その後も、娘のところに歩いて行って戻ってくることを繰り返した。
その様子を見ていると、娘と二人で走りまわる光景が頭に浮かんできた。
今年の節分のことをようやく書けるようになった。
鬼が大嫌いな娘は節分の前日から警戒モードに入っていた。
「良い子だから鬼来ないよね」
心配になって聞くから、相当怖いのだろう。と思ったら、
「お父さん、鬼しないでね」
僕が鬼をしていたの知っているのに怖がるところはよく理解できない。
けれど、娘ももうすぐ4歳だから、去年よりも驚かせようか、と意地悪な気持ちになっていた。
節分の日、仕事から帰った僕は、予め玄関近くに用意しておいた鬼のお面をつけて、ドンドンとドアをノックした。
ドアの向こうでは妻さんが「誰かなー」って芝居をしているのが聞こえた。
それでもドアを開けない。今年は少し焦らす作戦。
そして、すこし開けて鬼の顔を見せると娘がすぐに泣き出した。
作戦どおり。
いよいよドアを開けて登場した僕に娘は大泣きで「い゛や゛ー」と叫んだ。
ところが肝心の豆が袋に入ったまま娘の手の届かない棚の上にあるのがわかった。
成す術がなく泣きわめく可愛そうな娘、そして、最初は意味がわからずポカンとしていた息子も泣き出す始末。
僕は苦し紛れに、鬼の圧倒的有利にも関わらずひとまず退散するという鬼を演じながら、妻さんに「豆、豆」と言った。
この一件の後、息子が常に泣いてしまうようになった。
「このまま笑わなかったらどうしょう」「とんでもないことをしてしまった」
笑顔が消えた息子に僕と妻さんはとても反省した。
そんな息子が今では完全復活して、以前にも増してやんちゃしてる。
あーよかった。