妻さんからの情報によると、息子が妻さんに「おとたん、まめ、」と言うそうだ。
「まめ」って一体何のことだろう。
妻さんもわからないようだ。
ただ、僕に向かっては言わない。
僕に向かって言わない言葉は他にもある。
僕が帰宅したときに「おとたん、きた」と妻さんに報告しにいく。
妻さんはもちろん、その報告を受ける前には僕が帰ってきていることを知っているのだけれど。
もう一つ、「おとたん、キック」
これを妻さんに言ったあと、僕のところに来て、短いキックを繰り出す。
でもやっぱり「おとたん、まめ」だけは何だかわからない。
語尾の二文字をとって強引に略語を作る息子だから、「○○まめ?」なのかな。
わかってあげられないのが悔しい。
息子のトイレトレーニングはまだ始まったばかり。
トイレに座らせると「うー」って顔をするのだけれど、全然キバってないから出やしない。
そして「も、いい」とすぐに降りたがる。
その癖にお風呂ではよくおしっこをするようで、お風呂に入れてくれている妻さんから、しばしば話を聞いている。
部屋でされるよりお風呂でされる方が良いということで諦めているそうだ。
「もうおしまい?」って聞くと
「まだ、でる」と言って少しする。
僕は現場を見たことはないのだけれど、立ってお腹をつきだして、するところが、笑えるらしい。
ここまできて、トイレに座らせないで、立ちションを教えてあげたら上手くできるのでは、と思い付いた。
これは、まさしくお父さんの役目だ。
僕は車の乗車位置にしばらく頭を悩ませていたけれど、やっぱり安全が最優先ということで、助手席に座らせていた娘を3列目のシートに座らせることにした。
寂しがるかと思いきや、娘はあっさりと受け入れて、僕は拍子抜け。
寂しがったのは僕の方だった。
唯一の娘からのクレームは、カーナビのモニターが見にくくなったことだった。
2列目の息子がまだ落ち着かないので、邪魔になる度に娘が腹を立てていた。
そこで妻さんが、リアモニターをつけることを提案してくれた。
カーナビでDVDを再生していると僕もついつい見てしまうことがあったので、リアモニターならその点でも安全性が高まる。
僕も大賛成で、早速取り付けることにした。
インターネットを駆使して、なんとか自力で取り付けた。
自分で取り付けることができたので、子供たちが車に乗るたびに「観たい」と言ってくれるのが、とても嬉しかった。
テレビに夢中になることは、あまりよくないことなのかもしれないけれど、しばらくはこの満足感を味わってもいいかな。
「おそい!」
僕が玄関を開けるなり、リビングのドアノブがガタガタと動き、ドアが開いたと思ったら、オムツをはいていない息子が出てきて、大きな声で言った。
最近は状況にあった言葉をしっかり言えるようになってきた。
また、最近は粘土が大好きだ。
真ん丸にしてあげると喜んで、何度も持ってくる。
粘土のおだんごを器に入れて、満足げで、楽しそうな顔が、とても可愛い。
粘土で何か作っているときもまた、この顔を見せてくれる。
妻さんもお気に入りの顔だ。
姉弟で遊んでいる様子を見ると、2歳の弟はまだまだお姉ちゃんに良いように扱われている。
弟が新しいおもちゃを持ってくると、お姉ちゃんは、それまで関心が無かったにもかかわらず「これ貸して」とか「これはダメ」って言って、取り上げる。
すると、弟が大泣きするので、妻さんや僕が、「貸してあげたらどう?」って言うんだけど、お姉ちゃんは頑として聞かなくて、終いには二人で泣き出す始末。
そうかと思えば、仲良く遊んでいても、次第にエスカレートしてきて、大騒ぎ。
それだけなら良いのだけれど、どこかに頭をぶつけたり、後片付けができなくて叱られたりで、最後は泣いている。
この前は、息子が笑いながら走っているかと思ったら、そのまま壁にぶつかって泣いた。
はっきりとはわからないけれど、僕の幼い頃もこんな感じだったような気がして、幸せというか、安心というか。
不思議な気持ちだった。